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Meredith Whitney 2番目の大予言

「2011年末までに数十から百件の自治体の大型破綻が起き、Municipal Bond(アメリカの地方債)のデフォルトは$何百ビリオンにも達するだろう」

風雲のアナリストMeredith Whitney がTV番組60 Minutesのインタビューでそういった内容の予測を語ってちょうど1年が経とうとしている。

総額$3トリリオンと言われるMuni Bond市場は、当時この予告に反応して投げ売りが続き大荒れした。Muni Bondの典型的投資家はリスクを嫌う富裕層のじいちゃん・ばあちゃん達なので、ある意味当然の反応かもしれない。あまりにYieldが上がったため、カリフォルニア州などは一時州債の新発行を停止したほどだ。Muni市場が普段の平静を取り戻すのには何ヶ月もかかった。

その2011年ももうすぐ終わろうとしているが、現時点でのデフォルト額は2ビリオンちょっと(これも定義次第でかなり変わる)。大型破綻はアラバマ州のジェファーソン郡だけ。ペンシルバニア州首都Harrisbergも破産申告方向に進んでいる。どちらも2年ほど前からいつかは起きると予測されていた。というわけで、実際の結果はMeredith Whitneyの予測とはほぼ2桁下回る(小型の破綻・デフォルトは色々あるが)。初夏ごろからは金利も下がり、大半の自治体は新規発行や借り換えを難なくこなしている。

Meredith Whitneyは2007年にCitibankの資本状況に疑問を提示し、同社の配当カットを予測して一躍有名になった株式アナリスト(専門は銀行・金融業界)。このMuni破綻予言は彼女の2番目の大型予測で、Oppenheimerから独立して打ち立てた彼女自身の会社の基盤(Muni Bondの格付けサービスの新事業)を固めるはず・・・だった。

そのMeredith Whitneyも今年の夏頃からフォローに回っている。でもアメリカのことなので、お騒がせ・ご迷惑を詫びるわけでもなく、間違いを認めるわけでもなく、「皆、私の言ったことを曲解して揚げ足を取ろうとしている」といった感じの自己弁護。

彼女の指摘した自治体の財政問題、特に公務員ペンション・老後医療費の資金が圧倒的に不足しているのは非常に深刻な問題なのだが、これがMuni Bond市場全体に直接影響するはまだ先のことになりそうだ。予測は時期早だったのかもしれない。

加えて、Municipal Bondというのは非常に特殊な市場で、たとえ優秀な株アナリストであっても中々浸透できない部分があるのだと思う。銀行業界では、信用が落ちれば商売が干上がるし、不安はたちまち伝染する。一方、格付けが落ちてもアナリストに騒がれても、自治体が税金を収集する権利には影響が無い(債券を新発行するには障害になるが)。Muni市場が荒れていた頃はMuni 専門アナリスト達がメディアに出てきて「株式アナリストはすっこんでろ」といった意味の発言をしていた。もちろん、逆に彼女の尻馬に乗って一緒に騒いだアナリストも少なくない。

こういったイベントをMuniアナリストはHeadline Riskと呼んでいた。Muni市場や自治体に関するネガティブ・ニュースがバンバン流されて債券価格は下がるものの、発行自治体の信用度や債券のファンダメンタルズが変わるわけではない状況。見方によっては買い時なのだろう。

Meredith Whitneyのアナリストとしてのキャリアがこの先どうなるのか心配する向きもある。でも、彼女のアグレッシプな発言が話題を呼ぶ限り、メディアはエンターテイメント目的に彼女を追いかけるのではないだろうか。

コメント

株や債券もメディア(主にテレビ局)にとっては視聴者を呼び寄せるためのエンターテイメントでしかないのかもしれません。うまく自分を売り込めるアナリストがいればタレントとして使うというか。

そうそう、CNBCなんか、ビジネスチャンネルというよりエンタメチャンネルですよね。ダウ応援団と一緒にスポーツ観戦してるみたい。そういう雰囲気を意図的に演出してるんでしょうが。アナリストもタレント風になっても不思議はないのかな。

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