掲示板での会話において、Roth 401kには否定派だという話をだしました。
それの理由に関してちょっと述べておきます。
特に目新しい話では無いかと思いますが、こういう考え方もあるんだね~程度で。そこは間違ってるんじゃね?という時はツッコミをお願いします(笑
ちょっと長いです。
- post-taxでの利回りとpre-taxでの利回りは違う!
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同じ$17,000の拠出、引き出し前の実利回りは見方によっては違うのです。
例えば$17kを5%運用で30年間運用した場合、
17000 * 1.05^30 = 73473.0204
およそ$73kになります。post-taxで$17kというのは例えば25% marginal taxの人が出す場合、それは
17000 / (1 - 0.25) = 22667
のpre-tax金額と同等です($17k出すのに$5667税金をpre-taxに比べて多く払う事になるからです)。
これを踏まえたpost-tax(Roth 401k)の実利回りは
$22667を30年掛けて$73473にする利率
と同等ですから、4%になります。実に30年間1%損し続けるのと同等です - 401kの拠出はTop Bracketから、引き出しはBottom Bracketから
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例えばありがちなBracket、25% Marginal Taxの人が$17kをTraditional 401kに拠出した場合は17000*0.25=4250の税金分お得というわけです。
さて、この拠出を上の例同様に5%、30年運用して$73473になったとしましょう。
この人が、引退時に一つ上のBracketかつ2013年からのBracket、31%のMarginal Tax Bracketに居るとした場合、引き出しに幾ら税金を払うことになるのでしょうか?実は73473 * 0.31ではありません。Marginal Tax Bracketというのは、FI Planningの説明にもあるように、増額分にかかる時の税率です。
引退後は幾ばくかのPassive収入とRetirement Planからの収入が主になるはずです。現役時代のようにActive Incomeはありません。むしろActive Incomeがあったら、まだ現役です(笑
Passive Incomeが$200,000とか行くならばいいのですが、普通はそんなに大きなPassive Incomeを得られる状況にある可能性の方が低い、すなわちRetirement IncomeがIncomeの大きな割合を占めるのが普通です。
例えばSS、401k、Roth IRAとTaxable Accountの運用(Saving, CD, Equity等)が老後の収入だったとします。Roth IRAの引き出しはそもそもGross Incomeに組み込まれません。Taxable Accountの運用は自分の税金を考慮しつつGainを得たりLossを計上したり(自己裁定)です。したがって、主な収入ソースはSSと401kとなります。
例えば、2012年現在のBracketで考えると、Tax Bracket Married Filing Jointly Single 10% Bracket $0 – $17,400 $0 – $8,700 15% Bracket $17,400 – $70,700 $8,700 – $35,350 25% Bracket $70,700 – $142,700 $35,350 – $85,650 28% Bracket $142,700 – $217,450 $85,650 – $178,650 33% Bracket $217,450 – $388,350 $178,650 – $388,350 35% Bracket Over $388,350 Over $388,350 引き出し最初の$17,400に対して10%、次の$53,300に対して15%、その次の$70700に対して25%、と下から順番に掛かっていきます(Filing Jointlyの場合)。
したがって、401kからの引き出しの大半部分がMarginal Taxの利率ではなく、それよりも下の課税率が適用されるはずです。Marginal Tax BracketとEffective Tax(実課税率)には、それなりの差があります。ここの左下の表等によれば、$1Mオーバーの人でも実行税率は25%です。来年31%のMarginal Taxという程度のAGIだと、20%以下は間違いありません。
当然Marginal Tax Bracketが大きく変わる可能性もあります。上にも下にも。自分の収入的にも。
しかし、拠出時にはMarginal Taxが掛かり、引き出し時にはEffective Taxしか掛からないというのは、High Taxな人(35%,33%)だけでなくMiddleな人達(28%,25%)にも重要な話だと思います。
むしろ15%までの人はRothに入れるべきで、15%超える人はTraditionalのが課税率的にはお得になる可能性が高いのでは無いでしょうか? - Rothは選択肢を自ら消している
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株価が上下するのと同様に、人生も上下します。ものすごく良いサラリーを貰ってTax高すぎッ!と文句を言ってる人が、次の年にはlayoff喰らって無職、などというのも無い話ではありません。
IRAだろうが401kだろうが、Pre-TaxをPost-Tax(Roth IRA)にするのはいつが一番いいのでしょうか?
当然収入が減ってTax Bracketが落ちた時です。
Layoffされて、ある年の収入がガタ落ち、今年のTax Bracketはどう考えても15%以下なんていうシチュエーションでは、Pre-TaxをRoth IRAにConvert/Rolloverするチャンスです。しかしRoth 401kに入れてしまっている場合、そのチャンス自体無意味です。なぜならRoth 401kをPre Taxに戻すような術はありません。Roth IRAに移すこと自体はできますが、Tax Bracketが落ちたことによる恩恵は0です(言い換えればTax bracketが変わっても変わらなくても関係が無い)。もっともRoth 401kもMatch部分はPre-Taxなので、その部分だけなら移し替えで得はできますが。
- AMTを忘れない
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Traditional 401kにあって、Roth 401kに無い、ないしは代替えを得るのが難しいものはなんでしょうか?
それはTraditional 401kがVoluntary Payroll Tax Deductionな事です。
他のExemption/Deductionと何が違うかといえば、Traditional 401kへ拠出したことによって減ったIncomeは政府(IRS)から見ればそもそも収入(Gross Income)として存在していないのです。したがってAMTに引っかかる可能性を減らしてくれます。これは同じTraditionalでもIRAと401kの大きな差です(Traditional IRAに拠出出来る人がAMTに引っかかることは無いと思いますが 笑)。また、Gross Incomeを減らすことによって、様々なCreditを受けれる可能性が出てきます。
- RMD! RMD!
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Roth 401kはRMD(Required Minimum Distribution)を持っています。Roth IRAにはありません。
70.5歳になった春から、最低引き出し価格分引き出さないとペナルティを受けます。RothなのでTax自体は掛からないものの、引き出しによって口座のBalanceを強制的に減らすことになり、運用益が好む好まざるを得ず減っていきます。
Rolloverしちゃえばいいだけですけどね。 - というか私の場合老後もCAで暮らしてるかなあ???WAとかでいい気がする(笑
- State Taxが掛かる州に居る場合、Traditional 401kに拠出して老後に州税掛からない所に移れば州税まるまるお得です。この場合州税はTax Deferredじゃありません、実質Tax Exemptです。
まあ、細かいことを探せばまだまだ出てくる気がしますが、個人的には
- 老後の引き出し実効税率と現在の限界税率の違い
- AMT
- 州税
だけの理由でRoth 401kは却下です。
Roth IRAに大賛成なのは
- RMDが無い
- そもそもTraditional IRAに拠出出来ない(笑
のが理由です。
通りすがり様、本日こちらの書き込みを拝見しました。 Rot
山本(ゲスト) 2015/07/09(木) - 22:45通りすがり様、本日こちらの書き込みを拝見しました。
Roth 401Kがいいか悪いか、はその方の状況次第だと思いますが、通りすがり様はRoth IRAには賛成で、Roth 401(k)には否定的のようですね。
しかし、Roth IRAは収入の制限がありますし、入れられるお金も年に5,500ドルとわずかです。
カリフォルニアの共働き夫婦だと、$183,000の年収を超えることは難しくありません。
また、Traditional 401(k)とRoth 401(k)それぞれに同じ額の資金を投入した場合、Pre-taxであるTraditional 401kの方が断然有利であると、仰っていますが、それは今現在だけを見た時にのみ当てはまる事ではないでしょうか?
アメリカの税率は現在歴史的に見てもかなり低いのはご存知でしょう。社会保障もMedicareも資金が10年から20年ほどで底を尽きる計算です。しかし、アメリカはそのまま尽きさせるような事はしないでしょう。国家の債務もまだまだあります。それを考えると、税金が将来上がるのは避けられない事のように思われます。そうなると、この先果たしてPre-taxの方が有利であると言えるでしょうか?
以上、ちょっと気になった事を書いてみました。通りすがり様が書いてらっしゃるように、こんな考え方もあるんだな、と思って頂ければ幸いです。
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