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米国税法改正案「Tax Cuts and Jobs Act」(11)「上院可決から一週間」

この金曜日の夜中でちょうど上院本会議が税法改革の上院案を可決してから一週間となる。あの後、数日東京に行ったりしたせいか、とても長い月日が経過した気がする。先週の金曜日は上院の可決を待って結局夜中の2時まで起きてるはめになったけど、今週はもっと早く床に付けるから安心と思っていたら、いろいろあって実はもっと遅くまで起きているはめに。う~ん。来週後半も数日東京だしチョッとここらでちゃんとした睡眠を取らないとね。

で、この一週間の進展を見てみると、月曜日には早々に下院が両院協議会に参加するメンバーを選抜、上院も週中には正式に任命している。しかし実際の調整はこの前から水面下で熾烈に進んでいる。今日時点の憶測では来週(12月11日の週)はまだ調整に充てられ、両院での投票は翌週明けと言われている。月曜日が18日だから自主的に設定しているに過ぎないとは言え「Drop Dead Date」と言われる22日にかなり近づいていくこととなる。

争点となって炎上しているのは予想通り、個人所得税の州税控除、子女税額控除、医療費控除、と有権者にとって身近なものばかりだ。法人関係で手が付けられる可能性が高いのは上院案のAMT温存案。金曜日の夜に急に数字合わせ的にまずは個人のAMT温存が決まり、そのついでっぽい感じで法人のAMTも温存が決定されたが、拙速に決定されその影響等が余り熟考されていないのは明らか。先週日曜日のポスティング「法人税率は本当に20%?」で触れたけど、従来は通常税率が35%で、AMT税率が20%だったので、確かに「Minimum税」と言えた。しかし通常の税率が20%(22%かもしれない点は前回のポスティング通りだけど)に低減してAMT税率を20%のままキープというのは余りにおかしい。課税ベースはAMTの方が高いケースが多いので、このままだと全法人AMTというような変な状況が想定される。

「どっちでも20%払えばいいからいいじゃん」と思うかもしれないけど、二つ大きな問題がある。まず過去に支払ったAMTのクレジットを使える局面が激減すること。そしてR&Dクレジットのような通常の税金は減らせるけどAMTは減らせないクレジットの使い道が無くなることだ。これらの問題からAMTに関しては両院協議の過程で廃案に戻るのではないかと期待されている。

これら諸々の手当てをする際には当然新たな財源が必要となる。既に規定されている恩典を削ることでも手当はできるが、そんなことでもしようものならようやく取り付けたサポートが台無しになり兼ねない。先週もNYCのトラフィックレポートと同時に書いたけど、そこで噂されているのが法人税率22%という裏技だ。上院案が可決するまでは法人税率は聖域でそこに手を付けるのは禁じ手と考えられていたが、それが先週末に流れが変わった。法人税率は1%上げると歳入が10年で$100B増えると言われているが、22%にする方向が濃厚になると「それでは・・・」ということで「こんな恩典も温存、または追加して下さい」というリスエストが殺到するに決まっている。もう既に来てると思うけど。来週一週間でこれらの難問を解決させ、可決に必要な票を集めるプロセスを終了させないといけない。なかなか大変そうだけど、ここまで来て失敗は許されないだろう。いよいよ天王山ウィーク。