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米国税法改正案「Tax Cuts and Jobs Act」(17)「税法改革はクリスマスプレゼントではなくお年玉に?」

昨日12月20日に両院を通過し、ホワイトハウスの「South Lawn」で派手に祝賀会まで催された米国税法改革だけど、ここに来て大統領による署名は1月明けとせざるを得なくなる立法プロセス上のギミックが生じている。祝賀会でもホワイトハウスが昨日ポスティングした公式声明でも「米国民に最高のクリスマスプレゼント」と自画自賛されているが、ひょっとするとクリスマスプレゼントではなくお正月のお年玉になってしまう可能性があるらしい。6月に「米国税法改正は七面鳥かチョコレートか」というタイトルで税法改革成立のタイミングを占った記憶があるが、まさかクリスマスプレゼントかお年玉の選択となるとは。

これは米国の財政赤字増加抑制目的で規定されている「2010年Pay-as-you-go」法(略して「PAYGO」)という財政法に基づき、減税など歳入減や新たな歳出を法制化する際には、義務的経費を削減したり増税したりして財源確保をしないといけないというきまりを原因とする。

12月に署名され法律として成立してしまうと即、義務的経費の削減が法的に必要となり、Medicareの支払いなどが抑制されてしまうということだが、これを1月明けの署名とすることで抑制を2019年に先送りできるというギミックだ。そのためだけに税法改革の署名を1月にという戦略が浮上しているとのことだ。なんだかな~って感じだけど制度だから仕方がない。

で、今回の税法改革に基づく減税額に見合う義務的経費を2018年にしても、2019年にしても削減するのかというと、実際には議会がPAYGOの要件を特定の法案に関して「Waiver(免除)」することができる。ただし、Waiverは予算決議に基づいて通過した税法改革法と異なり、通常の手順を踏む必要があることから、上院では50票ではなく、60票の賛成が必要となり共和党だけではWaiverを通すことができない。

税法改革を共和党の派閥政治で通過させた今、民主党がWaiverに賛成するとは考え難い。ただ、一説によると今週ギリギリにWaiverを通すと、トランプ大統領はフロリダ州パームビーチにある別荘Mar-a-Lagoに行ってしまっているのでホワイトハウスではなく別荘で署名することとなる。すると報道の際に「やっぱり富裕層のための税法改革か・・」と受け取られ易いのではないかという民主党側のイメージ戦略もあり、そのためだけにWaiverに賛成するかも、という声もあるようだ。

ただ、米国憲法に基づき、大統領に送り込まれた法案は10日以内に署名しないと法律となるか、または議会が散会している最中に10日経つと実質拒否権発動同様となるという規定がある。まだ法案そのものがホワイトハウスに送られてない可能性もあり、どこから10日を数えるのか、また休日とか祭日とかをどのように数えるのか、とか細かい点を考えないといけない。まさか、数え間違えて法案失効なんて間抜けな真似はないと思うけど。

なんにしても署名が1月1日とか2日になると12月31日とかと違って財務諸表に影響を取り込むのが3月決算の企業だと第4四半期になり、12月決算企業だと翌期の第1四半期にずれ込み、後発事象で開示とかはあるかもしれないけど、若干クリスマスとかお正月にリラックスできるかもね。いずれにしても税法自体は予定通りに1月から効果を持つこととなる。