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米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(2) – 国際課税(9) 留保所得一括課税

Max Hata
さて、今回は留保所得一括課税と外国税額控除。外国税額控除を整理して、さっさと留保所得一括課税は終らせておかないと、GILTIの規則案が今にも出そう。出たらそちらに移らないといけないので。なんと言ってもGILTIは今回の税制改正によるクロスボーダー課税地殻変動のキラー的な存在なので注目度が一段と高い。。キラーと言うとその昔、隠れ家的なお店を求めてフラフラしてたキラー通りを思い出す。外苑西というか、表参道の先と言うか、チョッと裏道っぽい感じがよかった。最終バーゲンとかで盛り上がってたベルコモンズとか今どんなになってんだろう。なぜあんなにいい感じの道をキラー通りと言うのかは当時から諸説あったけど、単純に青山墓地があるからっていうのが最もそれらしい。コシノジュンコ(みんな知ってるかな?)が命名したとか言われてるけど。

キラー通りと並んで、南青山と高樹町を結ぶ骨董通りもメインストリートっぽくない感じが良かった。骨董通りと言えば、中華料理の「ふーみん」って未だ健在みたいでビックリ。記憶が確かじゃないけど、ふーみんって遠い昔は代官山とかあの辺りにあったはず。その昔、旧山手通りを挟んで西郷山公園の反対側にあった安藤忠雄のコンクリート打ちっ放しビルで働いてたことがあるんだけど(バブル~)、その頃良く行った覚えがある。他の中華料理屋と記憶がごちゃごちゃになってる可能性もあるけど、その後、今の小原流会館の地下に引っ越したはず。それも80年台後半かな。ねぎワンタンとか、中華サラダとか逸品だった。

だんだん当時の記憶がフラッシュバックしてきて勢い付いてきたけど、外苑西の辺にあった「あんり」っていう総菜っぽい和食屋とかも良かった。バブル真っ盛りで沢山いいお店があった。渋谷公会堂辺りの裏のビルの3階にひっそりとした感じで佇んでいた「カフェバー」のBack Pageとか隠れ家っぽくて気に入ってて良く行ったし。もうチョッとメジャーだけど広尾日赤病院前のセントパトリックとか。あの頃は未だ広尾ガーデンヒルズもなくて、日赤病院が広大な土地を所有していたはず。う~ん、あの頃の店は格好良かったけど、幼くてレベルが低かったから全部格好いい店に見えてたのかも。仮に今見たら、どう映るんだろうか。格好よく感じるのかタイムマシンで旅して確認してみたい。

キラーで脱線してるけど、脱線ついでに、キラークイーンの話し。この前、夜中に急にQueenのBrighton Rockのブライアンメイのギターが聴きたくなって、Sheer Heart Attack聴きながら寝たんだけど(普通の人はあの曲では寝れない?)、アルバムの構成上、Brighton Rockの次に来る曲がキラークイーン。ブライアンメイってJimi Hendrixが好きだってよく言ってたけど、確かに通じるものはあるとしても、Hendrixのように動物的本能がDriveしているギターとはむしろ正反対に、きちんと計算されたギター。それにしてもブライアンメイの音の歪(Distortionの掛かり方)は美しい。彼はロンドンで物理学か何かの博士号を取得してたはずで、ちょうど同じ頃、More Than a Feelingで有名なボストンのTom ScholzがMIT出身だったので、ついに米英のロック界にも学歴社会到来とかジョークで言われていた。でも、実際、ピアノとかギターとか弾いてる人は分かると思うけど、音楽はコード進行とかスケールとか算数。バッハとかバロックは特に。Hendrixが算数できたかどうかしらないけどね。

で、キラークイーンの歌詞は、さすがJames Bondが暗躍する英国産のRockならではの奥深さがあって改めて感動。聴いたことない若い方はYouTubeでスタジオバージョンを聴いてみて欲しい。歌詞の意味は諸説あるけど、超ハイエンドなロンドンのコールガールのことっていうのが、まあ普通に聞いたらそうなるだろうけどっていう解釈。でも、ケネディーとかソ連(ロシアではない)のフルシチョフとかがいきなり出てくるし、Man from Chinaとか芸者Minahとか、国際政治の裏側を匂わせる内容で、実はジャッキーケネディーのこと?みたいな解釈もあるらしい。それにしてもゴージャスな歌詞。まさにExtraordinarily Nice。今ではLVMHの共同所有者でもある「Moet et Chandon(Moet & Chandonではない)」をPretty Cabinetに入れてとか。キャビア、シガレットにパリのパフューム。でも車には全く興味なし、っていう部分があるけど、僕みたいにテスラXが・・とか直ぐに考えてしまう庶民と違って反ってリッチな感じ。

マリーアントワネットみないに「だったらケーキを食べさせたら?」って優雅に話したり。この一句は、知ってる人も多いと思うけど、フランス革命前に、フランスの農民がパンがなくて苦しんでいます、という状況を聞いて、オーストリア王家からフランスのルイ16世の御妃として嫁いでいたマリーアントワネットが「だったらケーキを食べたらいいんじゃない?」と言ったというもの。庶民とはかけ離れた感覚を露呈しているとしてパリの庶民から酷評されたという問題の発言。でも実際にはマリーアントワネットの発言ではなく、彼女を貶めるために面白可笑しく噂を敢えて広めていた一派がいたということは後世はっきりしてるし、マリーアントワネットはどちらかというと恵まれない子供のためにチャリティーを企画したり、実は心優しい人だったと言う説もある。Fake Newsは昔からだったよう。で、キラークイーンでは、Gunpower, Gelatin、Dynamite、Laser Beam、とその後も派手な形容が続くけど、その昔聴いてた頃は、他の3つは分かるとしてもGelatin(ゼラチン?)がなぜ出てくるのか理解できなかった。まさかデザート?ってこともないだろうし。今、大人になって考えてみれば、毒殺に使うカプセルのことだねって40年振りに納得。昔の曲聞いて当時理解できなかった歌詞が理解できたりすると成長を実感できてうれしい。

で、もっと成長が実感できてうれしいのは、留保所得一括課税のような公表当時は謎に満ちた複雑な規定に関して、徐々に紐解きながら少しずつ理解が進んでいく時。人によっては、留保所得一括課税は2017年に歴史上一回起こるだけだからそこにエネルギーを費やすんだったら、他の条文に時間使った方がいいのでは、みたいな感覚を持ってるみたいだけど、とんでもない話し。課税済所得とか株式税務簿価とか今後何年も影響がある。しかも、これをSubpart Fとしている点は今後の国際課税制度を概念的に理解する際に不可欠なブリッジとなる。

とてつもなく前置きが長くなって、キラークイーンの話しでサボっている間にGILTIの規則案が公表されそうだけど、そろそろ留保所得一括課税下の外国税額控除。元々、留保所得一括課税を規定している法文そのもので、留保所得にかかわる外国法人税のうち、留保所得に対して所得控除が認められている部分に対応する部分の金額は外国税額控除および所得控除の対象としない点が明記されている。ここで言う留保所得にかかわる外国法人税というのがどこまでのものを意味しているかは、法文および立法趣旨を見ても明らかでなかったが、ここをどう規則案がアプローチしているかは後述する。

留保所得に対して所得控除が認められている部分の減額に関してだけど、この所得控除に関しては前回のポスティングとなる「米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(2) – 国際課税(8) 留保所得一括課税」で極簡単に触れているが、実効税率を15.5%や8%とするための想定所得控除額のこと。留保所得の課税部分を減額してあげているのだから、対応する外国法人税額も同様に減額しなさい、という趣旨で当然と言えば当然。ただ、ここでとても面白く、かつ最初は意味不明に見えても実は「なるほど」となるのは、所得控除%と「Applicable %」と言われる外国法人税減額%が必ずしも一致するとは限らないこと。

所得控除の%は実際に米国株主側の合算年度の適用法人税率を基に逆算する。一方、Applicable %はキャッシュポジション部分(税率15.5%部分)は「0.557」、それ以外の部分(税率8%部分)は「0.771」で固定されている。例えば、日本企業の多くが3月決算なので、大概のケースで合算年度となる2018年3月期の法人税率は混合税率で31.55%となる。仮に控除前の課税対象留保所得額がキャッシュポジションに満たない場合、留保所得全体が15.5%で課税されることとなるが、その場合、31.55%掛けて15.5%となるには、留保所得額に「0.507」掛けた金額を所得控除する必要がある((1 - 0.507) x 0.3155 = 0.155)。ここは単純なMathだけど、普通に考えれば、外国法人税も同じ%、すなわち0.507をApplicable %として減額しそうなもの。でも、Applicable %は米国納税者の合算年度に実際に適用される法人税率とはかかわりなく、常に(キャッシュポジションに関しては)0.557と規定されている。元々、上院で法案が議論されている過程では、所得控除%も固定だっただけに、2017年12月22日、最初に法文を読んだ際には、所得控除%はいろいろな適用税率があり得ることに気づいて慌てて修正した一方、さすがの上院財政委員会も外国法人税にまでは深夜の修正で頭が回らなかったか、と早合点してしまった。後から考えると、頭が回ってなかったのは自分の方で、というのは、どのような米国株主も適用法人税率にかかわらず、所得控除を考慮した後の段階では、全員15.5%(キャッシュポジションを超える部分は8%)で課税と統一されているので、その後の計算となる外国税額控除にかかわる外国法人税減額を所得控除前の異なる税率に合わせては反って変。う~ん。やっぱりさすが上院財政委員会。結果として、Applicable %は固定となる。で、どこで固定しているかというと、ここは仮に全員35%だったらという前提でバッサリと処理している。

ちなみにキャッシュポジションの方がApplicable %が低いのは、一瞬アレって思うかもしれないけど、キャッシュポジションの範囲で留保所得は15.5%とより高い税率で課税されるので、その分、所得控除は低いこととなる。それに準じて外国法人税の減額率であるApplicable %も低くなる。

で、全員に同じApplicable %がキャッシュポジションおよび他のポジションに適用されるんだけど、実際には、各米国株主はキャッシュポジションと他のポジションの比率が異なるので、その意味では各々、最終的に使用するApplicable %は異なる。また、Applicable %は合算年度毎に決定される必要があるため、もし特定外国法人の課税年度の関係で、一人の米国株主でも2017年度と2018年度とか、2年に亘り留保所得の合算があるようなケースでは、当然、各々の年度で留保所得に占めるキャッシュポジションとその他の比率が異なることから、Applicable %も異なることとなる。さらに、米国株主がパススルー主体の場合、パススルー主体レベルでApplicable %が決定されるので、その部分の外国法人税は、パートナー側でもパススルー主体レベルで決定されるApplicable %で減額された外国法人税を使用することとなる。

かなり長くなってきたので、今日はこの辺で、次回のポスティングで外国税額控除をラップアップ‘できるといいね。キラークイーンの話しにならなければ大丈夫かな。

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