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米国税法改正(Tax Cuts and Jobs Act)「Unplugged」(3) – GILTI (2)

さて、GILTI財務省規則案の公表から一夜明けて、落ち着いて考えてみたけど、やっぱり、そんなに大きな驚きはない規則内容っていう印象は変わらなかった。どうしても腑に落ちないのは米国パートナーシップが持つCFCの扱い。ポリシー的な議論はとても良く分かるけど、規則案で提案されている解決策は法文解釈上、無理がある気がしてならない。ここは引き続き考えてみるけど、この部分の困難さも、前から言ってる弊害のひとつで、つまり、元々CFCレベルの属性となるSubpart F所得合算課税のインフラを流用して、米国株主側の属性として規定されているGILTI課税を実行しようとして無理というか、矛盾が生じているひとつの代表例だろう。他にも、この不整合を理由に余計な規則を決めないといけない点は多くみられる。留保所得の一括課税システムにも同様の問題が存在する。なので、留保所得の仕組みを良く理解することが、今後の米国のクロスボーダー課税の理解の一助となる。

GILTI合算課税のメカニズムの全容は、GILTI合算、50%控除、外国税額控除、と「3本立て」で構成されるけど、今回のGILT規則案は最初の「GILTI合算」という基本的にメカニカルな部分のみにフォーカスしているので、比較的、挑発的(?)なものになり難かったんだろう。「3本立て」って言うと、その昔、まだ小学生から中学生になる頃、ビートルスの映画を見に行くと間違いなく「A Hard Day’s Night」、「Help」、「Let it Be」の3本立てだった。要はロードショー落ちしていたってことなんだろうけど、新宿武蔵野館とか有楽町のスバル座とかでたま~に思い出したように上映されてたものだ。もちろん未だYouTubeとかない時代だったし、「動いてる」外国のアーティストの演奏姿を見るには、ライブに行くか、記録映画みたいなのを見るか、ファンクラブ(!)主催のフィルムフェスティバルっていう今ではないかもしれない企画に行くか、位のチョイスしかなかった。

ビートルズのフィルム、特に本当のライブを収録しているLet it Beとか見た時は感動したし、勉強(?)にもなった。耳でコピーしていると分からない微妙なコードの押さえ方とか。ピアノのような鍵盤楽器と異なり、ギターは同じ音程のAでも、押さえるフレットのチョイスが3つくらいある。そのうち、どこを押さえているのかは、各アーティストの癖(これは絶対にある)、その音の伸びとか、Distortionの掛かり具合、さらにビブラートの掛かり方で解放弦かフレット押さえているか、次のコードに移る時にどれだけ難なく指を動かせるか、等を総合的に判断して耳で推測するけど、必ずしも当らない。目で見れば直ぐに分かることなんだけどね。Led ZeppelinのマディソンスクエアガーデンでのNYCライブ映画「The Song Remains the Same」を見た時にJimmy Pageがリフを構築する際に、どれだけうまく解放弦を利用しているのかを知って、かなりショックを受けたこともある。Heartbreakerのリフも、プラス、ソロの部分も解放弦が多用されていて、チョーキングの代わりにギターのヘッドの弦を巻く部分にピックを差し込んで、音を上げたり、一度目で見ると、簡単に本人と同じ感じの音が出せるようになる。

ビートルズも、特にJohn Lennonのコードの押さえ方って、何となく独特で、Dとか、フレット2を人差し指でバシっと全部押さえて、2弦は3フレット、4弦は4フレット、5弦は5フレットでやってることが多いし、またAは、普通に2弦、3弦、4弦は2フレットを押さえるんだけと、プラスで1弦の5フレットを小指で押さえるんだよね。更にそのまま、2弦と4弦の3フレットと4フレット(1弦の5フレットは押さえたまま)を乗せるとDになり(5弦の解放弦まで音を出すとD on A)何ともビートルズっぽい響きとなる。ロンドンのSeville Rowのビル(あそこは最近はA+Fのお店になってるけど、何回言ってもビートルズの香りがするビル)のRooftopのI’ve Got a Feelingなんて、その2つの押さえ方でほぼ曲ができちゃってるしね。Gも基本の1弦3フレット、5弦2フレット、6弦3フレットに加え、大概のケースで2弦の3フレットも押さえている。

Jimi Hendrixも最初に「動いてる」の見たのは、新宿の厚生年金ホールでBiography的な記録映画を3日限定で(しかも日によって中野サンプラだったり場所が違って)公開した時。学校を「早引き」して新宿でチケットを買ってドキドキしてた頃だ。こちらも、レコード(CDとかMP3ではない)で聴いて想像してたのと全然違って、文字通り腰が抜けそうに感動したのを覚えてる。OpeningのモントレーポップフェスティバルのRock Me Baby。今ではYouTubeで毎日見れるけど、いつ見ても格好いい。このRock Me Baby、曲とかリフは同じだけど、歌詞だけ変えてLover Manっていう別名でライブで演奏しているバージョンもある。でも、やっぱりデビュー当時の未だクリーンな感じの時期のライブとなるモントレーのRock Me Babyの方が断然切れ味がいい。最初のリフのところで唸ってる部分は親指を駆使してたのか~、とか目で見ないと計り知れない発見があった(ギター弾かない人のために言っとくけど、普通親指で弦を押さえたりしない)。ちなみにLover Manは Hendrix in the Westっていうライブアルバムに入ってる。このアルバムは中学の頃、Red Houseとか含めて「まるごと」ギターでコピーしたアルバム。なんで、音のすみずみまで頭に叩き込まれているけど、近年、同じアルバムをiTuneでダウンロードしてみてビックリ。何と、Voodoo ChileとLittle WingのライブTakeが昔のビニール版(すなわちレコード)と異なるTakeになってた。どっちの曲も間違いなく、レコードに収録されていた過去のバージョンの方が出来がいい。で、気になったのでいろいろ調べたところ、昔レコードに入ってたバージョンは著作権絡みの問題が発生して、公にできないバージョンとなったそう。ということは、MDRの倉庫に眠っている僕の12インチのプラスティックは超貴重品ってことか。でも、今頃カビが生えてもう音出ないかもね。

と、またしても別の話しで盛り上がり過ぎないように、この辺でGILTIに戻るけど、つまり、今回の規則案は、3本立ての映画見に行ったつもりが、「A Hard Day's Night」だけ見て、「Help」と「Let it Be」は各々、秋と冬に後日上映と言われているような感じ。

規則案では、冒頭にGILTIの基本的なストラクチャー的な規定をしているけど、仕組みの話に入る前に、まずはGILTIの概念について個人的にお説教(?)させて頂きたく。

1962年のケネディー政権時から米国にも長く存在するSubpart F所得合算規定とか、他国の所謂CFC課税とかは既にそれなりも歴史もあり、各国のアプローチも多かれ少なかれ似てて、国際税務に関与している者にとってはその既成概念から脱するのは難しく、GILTIも一瞬、それらと同類に見えるかもしれない。でもGILTIの背景や趣旨は全然異なる。CFC課税っていうのは、簡単に外国に移転できるタイプの特定の所得をターゲットにして、本当は米国とか本国の株主が直接認識するべきだから、不当に外国に流出しているので合算してしまうというもの。配当課税が普通だった以前は基本Anti-Deferralの機能を果たしてたけど、多くの国がテリトリアル課税になってからはAnti-Deferralではなく、本来は本国で最初から課税されるべき所得っていう趣旨に変わって行ってたと言える。

GILTIはそうではない。GILTI導入の背景は、米国外のCFCが相対的に大きな利益を上げ過ぎている、それも価値のある無形資産の利用を含む比較的、付加価値の高い活動が合法的に海外に配置されてしまっていることで海外の利益が最大限化されているという懸念に基づくものと言える。なので、Anti-Deferralとか、本来は米国の所得なので米国でその分は課税というアプローチではなく、外国で認識するべき所得というのは、そうなんだけど、それはそうと認めた上、それに対しても米国でミニマム税を課そうというもの。すなわち、所得のタイプを問わず単純に米国課税ネットを全世界に拡大している法律だ。

GILTIの正式名称は「Global Intangible Low-Taxed Income」だけど、敢えて日本語に訳すと、「米国外軽課税無形資産所得」とでもなるだろうか。ただ、GILTIという名称はかなりMisleading。CFCが高税率で課税されていても、無形資産を見ためは保有していなくても、機械的な算定式に基づきGILTI合算課が発生する。

ここからはGILTIの仕組みに移るので次回。