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過少資本税制最終規則「文書化要件」ようやく撤廃

オバマ政権末期の2016年10月21日に駆け込みセーフ的に最終化されて大きな議論を呼んだ「Debt/Equity Classification」(俗にいう「過少資本税制」)の財務省最終規則。

トランプ政権発足の暁には、TPP脱退と同じ勢いで即撤廃かと期待していたんだけど、意外にしぶとくて、ようやく2017年10月になって、税制改正を待って対処するようなNoticeが発行されていた。その際のコメントから、BEAT、163(j)、Anti-Hybrid、GILTIと、これでもかという位Base Erosion対策が充実した今、満を持して全章撤廃か、と思いきや、先週の金曜日(2018年9月21日)、財務省は新たな規則案を公表し、最終規則の一部となる「文書化要件」を撤廃するに留まった。

関連者間ローンに関して、文書化の存在が問われるのは当然といえば当然なんだけど、最終規則の文書化要件は、通常の関連者間ローンばかりでなく、チョッとした未払金とか場合によっては買掛金とかが対象になり得たり、グループ内キャッシュプーリングのような反復して取引が行われるものにも厳しい要件が突きつけられていて実務的な対応が困難と言うか、納税者側の負荷が高いものとなっていた。

また、文書化するべき内容も、返済可能性にかかわる詳細なサポートとか、債務不履行時に契約通りに法的措置を実行している実績記録など、必ずしも従来の関連者間ローンでは網羅されていないであろう条項にも突っ込んで要求していた。また、恐ろしいことに、最終規則の要件に準じる文書化が整備されていない場合には、どんなに安全かつ返済間違いないローンでも、文書化がないというその事実のみをもって借入を自動的に資本とみなすという「反証不可」の事実認定が規定されていて、チョッといくらなんでも行き過ぎでは、と思われていた。規則発表時には、2018年1月1日以降の関連者間ローンに適用とされてたけど、その後、それが2019年1月1日に延期され、今回とうとう廃案となっている。

今後、財務省は新たな文書化要件を規則化するかもしれない、というようなことが規則案の前文に記載されているけど、その際には、納税者の負荷を考えてよりシンプルなものにしてくれるそうだ。

ただ、油断大敵なのは、上で触れたような最終規則下での厳し過ぎる文書化要件は撤廃されたけど、判例ベースの過少資本税制下で従来から必要とされている文書化要件はそのまま存在する。なんで、普通の関連者間ローンは今まで通り、文書化はMustと考えておいた方が無難。特に過剰なレバレッジを利かせるようなケースでは、返済可能性もCash Flowのモデリングその他の文書化でサポートしておかないと判例ベースで資本とみなされるリスクは充分に存在し続ける。

ちなみに、文書化要件と並び、最終規則には、実はもっと複雑で恐ろしい「Funding規定」っていうのがある。これは一定額以上の配当、グループ内株式譲渡、資産取得型適格組織再編、という取引が関連者からの借り入れ前後3年、計6年以内に存在すると、借入を税務上、資本同様と取り扱うというもの。これは今でも現存しており、さらに適用開始は2016年だったので、既に法的な効果を有している。こっちは撤廃されてないことから、こちらのコンプライアンスは皆さん大丈夫でしょうか。