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2019年大晦日「ゆく年くる年」

2019年も残すところ数時間。日付変更線の向こう側、日本では既に2020年を迎えているはず。こちらTimes Squareは恒例のBall Dropでもちろん午後からオフィスも立ち入り禁止。立ち入りOKでもこんなややこしい日にあの辺りに行くつもりは毛頭ないけどね。Broadwayには「20」っていう大きな数字のオブジェみたいなのが設置されたりして、Times Squareもカウントダウンの準備万端整いつつある感じ。今年のカウントダウンパフォーマンスの「トリ」はPost Maloneらしい。古くは、って言っても2~3年前だけど「Congratulations」とか、それよりチョッと最近の「Sunflower」とか良いよね。最近良くプレーされる「Circles」もいい曲だし。Circlesって、てっきり「Run Away」っていうタイトルだと信じてて、「最近良く聴くRun Awayって曲いいよね?」と言っても「Run Away?」みたいな反応だったのでサーチしたらタイトルはCirclesだった。最近のMale Vocalってこういう感じの曲が多い気がする。Ed SheeranがKhalidとコラボしてる「Beautiful People」も似た感じの曲調だし。

Ed SheeranのBeautiful Peopleって、内容的にはJohn Lennonがその昔、(少なくとも米国のCapitol Records的には)The BeatlesのMagical Mystery Tourに収録されてた「Baby You’re Rich Man」で徹底的にバカにして軽蔑してるように聞こえる「Beautiful People」と同様の類の人たちを歌ってるような印象。John Lennonの歌詞に関してはいろんな解釈があるようだけどね。Baby You're Rich Manのコーラス部分はMcCartneyが付け加えたって言われてるけど、元々のJohn Lennon部分はタイトルが「One of the Beautiful People」だったそう。他にもJohn Lennonが歌うSexy Sadieとか、And Your Bird Can Singとか、Cynicalな感じの歌詞がJohn Lennonっぽくていいね。Ed SheeranのBeautiful Peopleは、米国の都市の中でもL.A.でしか感じることができない、あの独特の皮相的で表面的なバブリー・カルチャーが良く表現されてる。Rented Hummers…(苦笑)。英国出身のEd Sheeranからしてみるとその浅さにピックリだったのでは。

で、Pop MusicよりもズッとExcitingなクロスボーダー課税のここ一年に目を向けると、2019年12月で米国税制改正TCJAの可決から2年が経過したことになる。う~ん、まだ2年なんだね、TCJAは米国クロスボーダー課税の在り方を根本から変えてしまったので、それ以前の世界を思い出すのに苦労する。個人的には2017年12月22日を境にこの世の中BCとADになっているような感じ(大げさ?)。本当のBCもそうだけど、BCの世界に身を置いている時は自分がBCに居るってもちろん知らない訳だけど、2017年までのクロスボーダー課税制度と格闘してた自分たちも、振り返ってみるとそんな感じ。

普通の人にはおおげさに聞こえるかもしれないけど、ここ2年はWhole New Worldで、実際寝ても覚めて、四六時中TCJA一色だったと言える。他の規定より一足先に2017年課税年度より適用が開始されたSection 965の留保所得一括課税を除くと、GILTI、FDII、BEAT、163(j)、Anti-Hybrid、960下のFTC、諸々のその他のTCJA新規定は、2018年課税年度から適用となった。2019年は、そんな「TCJA Fully Loaded」となる2018年の申告書を実際に作成する最初の年。米国の申告期限は延長が当たり前なので、提出まで結構間が開いていて、基本12月決算となる米国法人は翌年10月15日、3月決算だと、翌年の1月15日となる。したがって、米国法人は暦年2018年12月の申告書を10月に提出したばかりだし、2019年3月期(これは2018年課税年度に当たる)を採択している日本企業米国子会社の申告書はようやくドラフトが完成している(といいけど?)ようなタイミングと言える。実際にはBE%や、GILTIバスケットに配賦する支払利息の金額が未だに定まってなかったりするようなケース満載だろうけどね。

米国法人による申告書作成コンプライアンス業務は従来から負荷が高かったと思うけど、TCJAで更に激しさを増している。一度、実際にTCJA下で申告してみることで、どれだけ大変で、かつどれだけ追加税コストが発生するのか、だいたい当りも付き、また、財務省規則も規則案も含めると徐々に大物は公表されつつあることから、今後はTCJA下のADの世界におけるOptimization的なプランニングのフェーズに入っていくことになる。考えただけでワクワクものだ。もちろん米国だけでなく、欧州等の他国やBEPS系の動きも加味して複合的な検討が必要となる。

で、今日は大晦日なので、TCJAを受けて、周りで米国MNCを担当しているチーム、DCの重鎮、NYやDCの大手弁護士事務所のタックス部門パートナー達、その他の専門家との会話から見て取ることができる、2020年以降に予想されるプラニングのトップ5リストで、一年の締めくくりとしたい。ちなみに、思いつくまま書くので順不同だからね。また、各々の検討は相互に影響があり、個々に検討しても意味がなく、全てを複合かつ総合的に、また定量モデリングしながらベストなストラクチャー等を決定していく必要がある。

【FTC】 GILTIバスケットと支店(QBU)バスケットの2つの新規導入でクロスクレジットがより困難に。しかもGILTIバスケットは繰越・繰戻不可なので二重課税のリスクが増大。Section 902のPooling廃止で毎期、GILTIやSub Fを含む各所得タイプに適切に帰属すると取り扱われる外国法人税のみがFTC対象という厳しいマッチングのNew World。これらの理由も含め、FTCプラニングは今後のますます緻密なモデリングに基づいて行う必要が増してる。GILTI後のクロスボーダー課税の世界ではFTCの最大限化は国際課税プラニングの主役になる。FTCバスケットにExcess CreditとExcess Limitationが混在する場合にはFTCの最大限化のためのクロスボーダーReorganizationも視野に入れたプラニングが開始されるだろう。他のプラニングも同様だけど、各CFCの課税ポジションやプロファイルが毎年同じじゃない部分をどう定量的に加味するかはチャレンジング。

【GILTI】 クロスボーダー課税の既成概念を打ち破ったGILTI。FTC計算時の米国内での費用配賦の関係で米国側の負担が思ったよりも大きいケースが多い。GILTIは、コンプライアンス時にとてつもなく複雑な計算を伴うが、最終規則も出て一応基本的なメカは明らかになったといえる。従来のSub Fだけの世界ではCFCがプラスかマイナスかってい言うのは余り気にならなかったけど、GILTIの世界では、Tested Lossを生み出すCFCはQBAIも使えないし、法人税もフローアップして来ない。GILTI非課税枠を作り出すみなし動産リターンから差し引かれる特定支払利息は、一定額を超えるとTested LossのCFCの額も関係してくるなど、Tested Lossが見込まれるCFCはCTBして他のCFCの支店化するなどのReorganizationの検討がいよいよ実践フェーズに入りそう。ちなみに、規則案として公表されている「High Tax Exception」がどれほど使い勝手いいものに変更されるかは、今後のGILTIプラニングを大きく左右。

【BEAT】 CFCの所得を毎期合算するGILTIの世界で、その悪影響を低減させるのは、Section 250の50%所得控除と同時に何と言ってもFTC。せっかく費用配賦とか工夫して、多額のFTCを計上することができても、BEATミニマムタックスを算定する際に、通常の税額(FTCを引いた後)と比較する修正BEATタックスにFTCは認められない。BEATミニマムタックスを支払うということはFTCが無に帰することだから、何とかBEATの適用対象にならないようなプラニングが重要となる。BEAT規定の公表当時から注目されている、SCM、CSA時の契約関係の見直し、ロイヤルティ等の費用の棚卸資産計上、適格デリバティブ、Debtの外部化、などに加え、規則案として公表されている損金算入の自己否認でBase Erosion %を3%未満とするための策の探求が続くだろう。

【キャピタルストラクチャー】 米国MNCの定石だった全ての借入を米国で行う従来キャピタルストラクチャーは、法人税引き下げ、新Section 163(j) 、Anti-Hybrid、BEAT、等の影響で再検討要になっている。Section 956を使った最後のPoolingを利用したFTCプラニングも規則で不可能になっちゃったし。Section 163(j)の規則は草案の状態にあるけど、最終化の暁にはCFCへの適用法がこのままか、また極限に広いSection 163(j)対象の「利息」の定義に何らかの緩和が見られるか、等、注目度が高い。

【M&A】 Sub CやSub Kの規定はTCJAで余り影響を受けてないけど、TCJAで中古資産でも一定要件下で適格資産には即時償却が認められるようになったことから、ステップアップの検討価値がアップ。以前から、M&Aの税務ってバイヤー側のステップアップとセラー側の二重課税回避、この2点の綱引きに基づく検討がかなり主だったと言えるけど、その傾向に拍車がかかっている。ただ、ステップアップしても償却を取れないと意味がないので、特にGoodwillとかに関してはAnti-Churningとならないよう、ステップアップのさせ方に要注意。ファンド系のM&AでRollover株主が関与する場合は特に慎重にストラクチャーを検討する必要があるし、Rollover株主に帰属する部分も含めてアップフロントに100%含み益を認識するような形態はできれば避けるように。日本企業による米国M&A時にも、ターゲットがS Corporationだったりパススルー扱いされているLLCとかのケースも多いので、この辺りはよく検討する必要あり。でも、みんなが即時償却すると税務簿価が取得時にゼロになるから、次のM&Aでバイヤーにステップアップをデリバーする際のセラー側のコストは当然高くなる傾向にあり、より慎重にモデリングしないとね。

ということで2020年も引き続きよろしくお願いします。