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新型コロナウイルス米国対策法第二弾可決で次は100兆円規模の「ピラー3」

マンハッタンの街角からこれだけ人影が消えるとは・・。Midtownは殺伐としていて、JFKもTSA Preだろうが一般のレーンだろうが列なし。普段はうっとうしいな~としか思えなかったあのごった返した人混みが今となっていは懐かしい。唯一混んでるのはWhole Foodsの冷凍食品売り場くらい?あと、なぜかどこ行っても結構ミルクとかパスタとかが売り切れてるんだよね。パスタは日持ちするしクックするの簡単だし、失敗の可能性も低いから何となく分かるけど、ミルクね。不思議。子供たちがHome Schoolなのでシリアルでも食べまくるのかな。

で、一瞬にしてWork From Home(WFH)とHome Schoolの同時進行っていうのが米国のNew Normになり、そんな中、OECDもWFHらしい。パスカロ氏も「デジタル課税の議論をデジタルでやるのも中々乙なもの」とか言って、今ではコロナウィルスのホットスポットになってしまった欧州からBEPS 2.0の順調な進捗ぶりをアピール。Home OfficeとHome Schoolの同時進行状態の日常は全てインターネット頼みで、デジタルの恩典の大きさを再認識させられる。あんまりみんなでDSTとか言って締め付けてイノベーションが低下しないようにしないとね。

NYC見てても思うけど、ここまで事業活動を制限されては一気に大不況になるのは当然。このままだと近々に米国労働者の半数がレイオフまたは賃金カット、航空会社は全社5月までには倒産、とか信じられないシナリオが報道されてる。Amount A、B、CとALPに関して書いてる途中だったけど、昨日の夜、米国議会でコロナウィルス対策法の「第二弾」が可決したので、チョッと速報しておく。コロナウィルス対策としては、既に10日程前に医薬研究・開発、公共衛生機関支援、小規模事業支援などにフォーカスした第一弾の法案が可決され、数日前にはトランプ大統領が「国家非常事態」を宣言し、当宣言をもって、従業員が負担する一定の費用を雇用者が非課税で補填できる制度のコロナウィルス絡みの費用への適用がトリガーされている。第一弾前後の様子は「新型コロナウイルスの感染拡大で2008年のTARP再来?」を参照して欲しい。

で、今回の第二弾。正式には「The Families First Coronavirus Response Act」と言われる。和訳は何になるんだろうね。コロナウィルス対策家族保護法、とかだろうか。ここではコロナウィルス「対策法第二弾」としておく。トランプ政権は繰り返し「中国ウィルス」とか言ってるけど、さすがに法律の名称は「コロナウィルス」。

で、対策法第二弾の目玉は、一定要件を充たす雇用者に対してコロナウィルスにかかわる有給休暇制度を強制する一方、そのような有給休暇のコストを税額控除として認め、実質、連邦政府がコスト負担する仕組み。有給休暇は最初の2週間がコロナウィルスに感染したまたはテスト待ち、等の状況に規定される治療休暇で通常の給与の100%。または同期間、家族を含む他人の介護を行う場合には2/3支給。その後の10週間は、17歳以下の子女が休校等の理由で家で面倒をみないといけない目的に限り2/3の報酬で家族休暇。この家族休暇は17歳以下の扶養子女が家にいないといけない。ただ、全国的に学校は閉鎖されているので、対象となる年齢の子女がいれば大概において適格可能性がある。本当に家にいるかどうかどうやってチェックするんだろうか。孫とかおばあちゃん、おじいちゃんとか面倒を見ても適格ではないように見える。

例外とか多くてあんまり自信ないけど、最初の2週間の治療休暇は、従業員が50人未満のおよび500人以上の雇用者は免除、と読める。ということは、500人以上の大手企業は有給制度があるところがほとんどだろうけど、コロナウィルス治療目的で有給休暇を与えてもコストを税額控除が認められないのでコスト自前となる。これって逆に言えば、対策法第二弾に規定される治療休暇制度の適用は50人~500人の従業員を持つ雇用者ということになる。ちなみに米国のプライベートセクターの従業員ほぼ半数が500人以上の従業員を有する雇用者に雇用されているらしい。4分の1は50人未満の雇用者の元で勤務しているということだから、適用対象となる従業員は全体の4分の1ってこと?なんか中途半端な感じもあるけど、500人以上の企業を対象外としている点に関してNancy Pelosi曰く「税金で大手企業を援助するようなことはできない」って民主党っぽい理由をあげ、大統領府代表のMnuchin長官も「大手企業は元々この手の恩典は自ら提供しているはずで政府の援助は不必要」とのこと。まあ、Mnuchin長官が以前属していたGSやOneWest Bankはもちろん手厚いベネフィットがあったんだろうから、自らの経験に基づいて言ってるのかもね。

有給コストを税額控除を通じて連邦政府が負担するっていうのは上述の通りだけど、更に有給相当額の支給額は社会保障税(FICA)の雇用者マッチが免除される。税額控除で減額が認められる連邦税は、雇用者が四半期毎に納付するFICAの雇用者マッチ額。フリーランサーって今はもう言わず、最近で言うところのギグワーカーとかの自営業者がコロナウィルス関係で欠勤(?)する場合には、FICAと同じだけど雇用者相当分も自分で払う自営業税(SECA)に対して税額控除を計上することが認められる。自営業ね。どうやって欠勤してるって判断するんだろうか。自分一人で「今日は病欠しますね」って宣言して税額控除もらえるのかな。何となく不思議な規定。公務員にも同様の権利が認められるらしいけど、税額控除はなし。気の毒なことにヘルスケアとか救急対応関係の職種は対策法第二弾の有給休暇の対象ではないらしい。休まれては困るってことなのかもしれないけど、最前線でリスクも高いと思うけどね。

税額控除には上限があり、治療休暇で給与の100%を支給しているケースは1日511ドル。治療休暇だけど、2/3を支給しているケース、また子女介護の家族休暇は一日200ドルまで、ということらしい。法律結構難しいんでHRとかPayroll部とか結構大変そう。ADPとかのプログラムも至急アップデートしないといけないし、みんなWFHで対応できるのかな。これらの措置は2020年末で失効する。

対策法第二弾が可決したので、次は来週早々にも「第三弾」と言われている。OECDはピラー1と2だけど、米国コロナウィルス対策はピラー3が間近ってことだね。OECDもピラー3でFDIIとか全世界に展開してくれるとピラー2とバランスがとれるんだけどね。で、米国対策法ピラー3では、航空会社、ホテル、ボーイングその他悪影響が激しい業界の巨額のBailoutが盛り込まれると予想され、プライスタグは1Tドルと言われている。9/11の直後でもここまで飛行機空いてなかった。Bailoutはいいけど、自己株式のBuybackに使わないように、って民主党は釘をさしてるみたい。共和党的には別にBuybackでも悪くないじゃん、みたいな感覚はありそうだけど。トランプ政権が押している社会保障税減税は賛否両論。また、各納税者に$1,000~1,200の現金支給も検討されている。

1Tドルといえば、100円単純換算で100兆円。2008年のTARPは500Bドルだったからその倍。対策法第二弾の10倍のコスト。トランプ政権としては再選をかけて100兆円いれるんだろうけど、これだけ経済活動をシャットダウンしてしまったら100兆注入しても、200兆注入しても焼け石に水じゃないのかな。なりふり構わない感じだけど、みんなに$1,000配給するより、どうしたら一日も早くみんなが社会復帰できるか考えた方がいい。もう感染を封じ込めるのは無理そうだから、何か代替案を検討しないと「Shelter-in-Place」策の経済的なツケは余りに大きい気がする。今後、未来永劫、基本的な社会システムが変わったり、もう立ち直れないようなレベルのダメージにならないようにって願うけどね。でも政策を策定している当事者たちが、今後どうなるか分かってないのが露呈されているので有効な対策を打てるのかチョッと不安というか疑問。そもそも感染者の数も全然分からないだろうから、致死率のデータとかも実際通常のインフルエンザとどう違うのかも不明。

まあこんな事態は想定外ってことで不意打ちされたように見えるけど、実は連邦政府はコロナウィルス感染のような事態は何年もシミュレーションを繰り返していたそうだ。特に昨年実施された「Crimson Contagion」というコード名のシミュレーションは中国で呼吸器系の新型ウィルスが発生し、シカゴ経由で全米に瞬く間に広がるっていう、コロナウィルスそのものの展開を想定して練習していたそう。その際に多くの体制不備が浮き彫りになっていたにもかかわらず対応策が十分に論じられることはなかったらしい。今となっては後の祭り。

対応策ピラー3絡みで、米国税務面では、TCJAで導入されたばかりのNOLの80%使用制限を適用停止する案が有力らしい。随分と短命だったね。ちなみにNOLが発生する年は単年でマイナスだからBEATになり難いけど、2020年に大きなNOLを計上すると、翌期以降にBEATになり易いんで最悪。まさかTCJAの効果がこんな形で反映されるとは。第二弾が小規模事業主に重荷になるっていう認識もあるので、第三弾では小規模事業主対策の拡充も想定される。個人所得税申告、延長時の支払いを4月15日ではなく7月15日に延期する説もある。IRSは4月15日って今日言ってたけど、行政府のAgencyの言うことだから、議会が申告日変えたらもちろん従わざるを得ない。

ちなみに議員さんにも当然、コロナウィルスに感染の疑いがあったり、感染した人と接触したので自己検疫したりしてるケースが増えてきてるけど、現状の法律では議会の投票はDCで実際に行わないといけない。定数行かずにピラー3可決できないとかなったら面倒だし、命かけてDCに来るのも大変そうだし、これを機にOnline投票が認められるように法改正されるべきだよね。