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医療制度改革-税金への影響

2010年3月23日にオバマ大統領がサインした医療改革法、The Patient Protection and Affordable Care Act (PPACA)は医療制度の改革を目指したものです。法律の骨子は基本的に任意加入だった医療保険を皆保険制度に変えるものです。それに伴い、既に医療保険に加入している人もさまざまな影響を受けることになります。

この法律の良し悪しの議論は置いておくとして、多くの人にとってどちらかというと増税に働く項目が多くなっています。FSAやHSAを活用して節税に努め医療保険にも加入している場合、今まで使っていた節税方法が使えなくなるので対策が必要です。そこで、この法律が個人の税金に与える影響を、施行年度ごとにまとめて見ましょう。

2010年

日焼けサロン消費税

2010年7月1日以降、室内の日焼けサロンはお客から10%の消費税を徴収することが義務付けられます。

Adoption Credit

法律が施行された今年からすぐに影響があるのは養子を引き取る際に認められているクレジット、Adoption Creditです。$12,170だったクレジットの上限が$1,000引き上げられて$13,170となりました。さらにこのクレジットはRefundable、つまり個人の税金を減らすだけではなく、税額が0になった場合、お金がもらえることになります。

アクションプラン

養子を引き取る場合、2010年の確定申告でクレジットとして申告します。予定がある場合は節税プランの一部として考慮しましょう。
日焼けサロンの消費税は「なぜ日焼けサロンだけ?」という疑問もありますが、法律ですから仕方ありません。

2011年

FSA/HSAで認められる支出

FSA(Flexible Spending Account)やHSA(Health Savings Account)では今まで医療費として市販薬(Over-the-counter medication)など広範囲な支出が認められていました。2011年からは認められる範囲が狭くなり、薬は処方箋薬のみとなり、市販薬は対象外となってしまいました。

HSAからの引き出しペナルティ

医療費など認められた支出以外の理由でHSAからお金を引き出した場合、今までは10%のペナルティでした。これが2011年からは20%に引き上げられます。

アクションプラン

FSA/HSAに拠出する人は対象となる支出を確認し、必要に応じて拠出額を見直す必要があります。FSAは使い切らなかったお金は失効してなくなってしまいます。HSAは繰り越して積み立てられますが、ペナルティに注意が必要です。

2013年

FSA拠出限度額

FSAへの拠出限度額が現行の$5,000から$2,500へ引き下げられます。これは法律上の上限であって雇用主によってこの金額以下の上限が設定されている場合もあります。

医療費控除の認定額引き上げ

現在は医療費がAGI(Adjusted Gross Income=修正総収入)の7.5%を超える場合、超過分が控除として認められています。これが2013年からは10%を越える部分だけとなります。

メディケア税

高額所得者に対して追加のメディケア税が課されます。通常は1.45%ですが、一定金額を超える労働所得がある場合、2.35%の高い税率になります。労働収入が夫婦合算申告の場合は$250,000、夫婦別申告の場合は$125,000、それ以外は$200,000以上の場合に対象となります。
今まではメディケア税は労働所得(Earned Income)だけが対象でしたが、この年から投資収入も対象となります。AGIが一定額を超えると純投資利益(Net Investment Income)に対して3.8%で課税されます。AGIが夫婦合算申告の場合は$250,000、夫婦別申告の場合は$125,000、それ以外は$200,000以上の場合に対象となります。

アクションプラン

FSAの拠出限度額引き下げ、医療控除の認定額引き上げはどちらも医療費の支出が多い人にとっては増税となります。自分の雇用主の上限が現在、いくら設定されているかを確認しましょう。また、それが2013年にどのように変更されるか見極める必要があります。あらかじめ予定を立てることができる歯科矯正、レーシックなどの治療は2013年までに受けると良いでしょう。
メディケア税に関しては給与所得者の場合、通常の節税対策を利用する以外、できることはあまりありません。対象となる人は雇用主に確認し源泉徴収されるようにし、過不足は確定申告で精算されます。

2014年

無保険者へのペナルティ

免除されている場合を除き、この年から医療保険に加入していない人に対してペナルティが課されるようになります。ペナルティ額は2014年は$95ですが、2015年には$325、2016年には$695と段階的に引き上げられ、以後はインフレーションに応じて調整されます。
免除の対象となるのは非合法滞在者、Native American、保険料が世帯収入の8%を超える人などです。また90日未満の短期間だけ未加入状態になる場合はペナルティの対象とはなりません。

保険料補助

ペナルティが導入されるのと同時に低所得者向けの補助金も導入されます。貧困レベル(Poverty Level)の400%以下の収入の人が対象となります。貧困レベルの定義は世帯にいる人数によって代わり、2009年の場合、一人世帯は$10,803、二人世帯$14,570、3人世帯$18,310、4人世帯$22,050などとなっています。

アクションプラン

多くの人は医療保険に加入しているでしょうし、未加入の場合はペナルティの有無に関わらず、すぐに加入したほうが良いでしょう。注意したいのは留学生や駐在員など長期的にアメリカに滞在する予定でない場合、あるいはこちらで学校を卒業して仕事に就くまでの期間など、意図せずに未加入状態になってしまう場合です。また自営業などで自ら保険に加入する必要がある場合も注意してください。
短期間の未加入はペナルティの対象とはなりませんが、リスクの点から未加入期間が一切ないようにするほうが良いでしょう。
補助金に関しては実際の手続き方法はまだ発表されてませんが、年収の証明が必要となることが考えられます。補助そのものは保険料の減額という形で保険会社から提供されるようです。該当する場合、どのように申請するか把握する必要があります。