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Safe Harborに到達

以前にも書いたことがあるが、地雷だらけのアメリカの税金システムにおいては、給与の天引き額が不十分だと確定申告(tax return)時にペナルティを課されるという罠もある。筆者の場合、これまでは給与外の所得は課税口座にある株式や投資信託からの分配と銀行の利子程度で、給与に比べればこれらはかなり少ない上に、一部は国外で税金支払い済みのためにforeign tax creditが効くこともあって、あまり深く考えなくてもペナルティにかかるようなことはなかった。

しかし、今年はなぜか源泉徴収されない給与外の所得が想定外に増えてしまった:

  • 諸事情で売却した株式のキャピタルゲイン
  • Rothからtraditional IRAにrecharacterizeした資金のRothへの再convert(大元の拠出額より増えていたのでその分は課税対象になる)
  • ESPPのディスカウントと売却益(リンクした記事にも書いたように、筆者はpurchase day後すぐに売却することにしている上、offering dateの価格がかなり低い時期のものだったのでゲインも結構出た)

年の途中頃からこの見込みが高くなってきそうなことがわかったので、今年はうっかりペナルティにならなように意識的に調整してきた。まずはペナルティに該当する/しない条件を正確に把握することが必要である。

FederalについてはIRS Pub 505に記載があり、実際の税金の総額の90%以上、または前年の確定税額以上が源泉徴収(およびその他の前払い、実際の税金についてはクレジットで引かれた分も含む)されていればペナルティはない。ただし、前年のadjusted gross incomeが15万ドルを超えている場合、後者については「前年の確定税額の110%以上」が条件となる。カリフォルニアの場合も同じ条件が適用されることがFTBのFAQからわかる。

ペナルティを回避するためのこうした決まりのことは、俗に”safe harbor (rule)”と呼ばれている(らしい)。IRSの公式文書(Pub 17)にもsafe harborという用語は出てくるが、明確に定義されているわけではなさそうなのでおそらく俗語だろう。

Safe harbor入りのためには、前年の税額を基準にした規則を目指すのが安全かつ有利だろう。年の後半にもなれば概ねの所得額は計算できそうとはいえ、実際に1099の類に記載される値とずれていることもあるだろうし、控除やクレジットなども考慮して正確な税金の額を予め算出するのは無理がある。また、今回のように臨時所得で税金が高くなってしまいそうという場合、safe harborの基準をそちらに合わせると事前にそれだけ多くの源泉徴収を受ける必要があり、むざむざアメリカとカリフォルニア政府に無利子貸付をしていることになって寝覚めが悪い。

そこで、夏頃から、毎月末にsafe harbor条件の源泉徴収額に月数/12をかけた値(安全にsafe harbor入りするためにすでに徴収されていることが望まれる額)と給与明細に記載の源泉徴収税額の年間累計の値を確認して、前者が後者を上回ったときには源泉徴収額を少し増やしたりして調整してきた。結果的には、今年は四半期ごとのボーナス(業績によって多かったり少なかったりゼロだったりする)がかなり多めに出てその都度源泉徴収されていたので、残り半月にして無事safe harborに到達した。おそらく途中の徴収額の調整も不要だったかと思われるが、それは結果論なので仕方ないだろう。ということでこれで一安心である。

次の課題は来年のペナルティ回避をどうするかということである。今年のような臨時所得はおそらくないので、来年は逆に大きく所得が下がると思われるのだが、前年(執筆時点での今年分)の税額を基準にするとsafe harbor入りに必要な源泉徴収額がかなり大きくなってしまうことが予想される。それをむざむざ払うのももったいないし、かといってペナルティを受けるのも癪、となると、かなり精密な予測と計算に基づいた調整が要求されそうである…