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米国タックス行く年・来る年(9)下院改正案「A Better Way(The Blueprint)」

2017年明けましておめでとうございます!

大晦日のTimes SquareはMariah Careyがまたしてもボーカルで失敗してチョッとビックリだったけど、TVで見る限りその他はかなり盛り上がってた。MariahのボーカルはNYCのこの手のイベントでは「いわくつき」の問題で、2014年のロックフェラーセンターのクリスマスツリーの点灯式でも「All I want for Christmas is you」で全然声が出なかったハプニングがある。何でも、ロックフェラーでは本来はボーカルをPre-recordingしてリップシンク(クチパク)にするはずが、Mariahが3時間遅刻してきたので本当にライブパフォーマンスとなってしまい、元々声域が異常に広かった歌手だけに当時は高域を駆使した曲が多く、後年ではそれが裏目に出てしまい、全然声が出ないと言う状況を露呈してしまったという事件だ。

それだけに今回の大晦日に当然全国放映のTimes Squareカウントダウンイベントの「トリ」として登場した歌姫がまたしても大失敗というのはチョッとリスク管理に問題があるのでは?というか何か悪い陰謀でもあったのでは、と思ってしまう。今回は用意周到に「We belong together」をリップシンクで披露するはずが、なぜかバックに掛かり始めたのはMariahの1991年の大ヒット曲「Emotions」。またしてもリップシンクではなく急遽ライブパフォーマンスとなってしまいロックフェラーセンターの悪夢の再現、というかそれを上回るパフォーマンスとなってしまった。声は出てないし、その上歌詞も忘れているように見えて、数秒で歌うのは諦めて適当にMCしてステージから降りてしまったのだ。こんなことがなぜ緻密に計画されているイベントで起こりえるのか本当に不思議。

ちなみにこのEmotions(Mariahの曲のタイトル)って曲、1977年のThe Emotions(バンドの名前)の「Best of my love」とリズムとかリフが同じなので当時は何かのジョークなのかな、と思っていた。この2つの曲の12インチを買ってターンテーブルで友達と8小節毎に交互に聞いたり、ズッと重ねてみたりして遊んだものだ。後で知ったけど、やっぱりThe EmotionsがMariahを盗作で訴えたそうだ。許可なく使っていたとしたら、しかもバンド名を曲の名前にして、結構大胆。

同様に大胆なのがここ何回かのポスティングで取り上げている米国の抜本的税法改正の叩き台となる「The Blueprint」だ。このThe Blueprint、米国を投資対象国として世界一魅力ある国にするという高尚な目的を掲げながら、合計僅か35ページと簡明にまとめられた読み易い文書だ。あちこちに定義が散らばっていて常軌を逸して読解困難な過少資本の最終規則518ページを読んだ後だと何を読んでも分かり易い。

The Blueprintでは国民1人当りのGDPを指標とし、それが低迷しているのは、勤勉な勤労、貯蓄、投資に課税する現状のできの悪い税法のせいだとバッサリ切っている。GDP総額は「人口X生産性」なので、人口が異なると比較しても余り意味がないし、国民1人当りのGDPは生活水準を図るには有益だ。生活コストを加味せずに単純にドル換算した数字はあちこちで出ているので大体の感触はみんなも知ってると多いと思うけど、ルクセンブルグ、スイス、ノルウェーが1人当り10万ドル前後で上位というランキングを出している統計が多く、米国は5万ドル後半で10位以内だ。ちなみに日本は3万ドルの真ん中辺で25位くらい。200国近い中でなので日本も悪くはないが人口が減少傾向なので1人当りの生産性を他国より高めて全体のGDPを押し上げる努力、政策は欠かせないだろう。日本版Blueprintで大胆な政策が望まれるが、海外から日本の国会の在り方を見ているとどうなんだろうか?って思うことは多い。日本はタックスヘイブン税制を強化したりBEPSに一生懸命だけど、国際的な会計事務所の国際税務部に居て世界中の企業の在り方を目の当たりにしている立場から言うと、日本企業は大概において他国のMNCと比べても極端に真面目に納税しているケースが多く、アクティブにBase Erosionなんてしているケースは全体像として少ないのは間違いないと肌で感じている。これ以上、日本企業にコンプライアンスを強いるようなことは考え直して日本版Blueprintで世界一投資したい国に導いて欲しい。

で、現状の税法がダメだったらThe Blueprintではどういうアプローチを取るかというと、ズバリ「所得ベース」からより成長推進型(Pro-Growth)の「消費ベースのタックス」に移行すると宣言している。え~、遂に米国も法人税とか所得税を撤廃して連邦VATとか消費税?と考えてしまいそうな出だしだが、実際にはそうではないと直ぐに釘が刺されている。消費ベースの課税システムは必ずしも消費税でなくても法人税の規定を大きく変更することで達成できるとしている。The BlueprintではVATや消費税は論じないと断ったうえで、21世紀に相応しい「消費ベース型の法人税」を導入提唱をしている。その骨子は低い税率、シンプルな税法、有形・無形の事業資産取得コストの取得時一括費用化、仕向け地(消費地)のみでの課税(これが国境調整)、そして海外子会社配当益金不算入のテリトリアル課税、となる。

貯蓄を奨励するため、オバマケアで導入された3.8%のNIIT(プラス0.9%の追加給与税)は即撤廃し、さらに従来は通常税率で課税されていた利子所得もキャピタルゲイン、配当と並び、通常の税率の半分で課税されるようなインセンティブを設ける。個人所得税は極端にシンプル化され、ポストカード一枚に収まる申告書となるそうで、実際にポストカード申告書のサンプルまで入っている。本当にこうなったら凄い。香港みたいだ。

The Blueprintではここから事業所得に対する課税の新しいアプローチに入る。