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Wall Street meltdown

大統領選挙に国中がはしゃぎ回って(これはどう見ても、はしゃいでいるとしか思えない。アメリカの大統領選というのは、要は四年に一回のお祭りなのだ。)いる間に、経済が大変なことになっている。さすがにここ二三日、オバマがペイリンを豚呼ばわりしたかどうか、などというしょうもない話題はニュースのトップから影をひそめ、代わりに「大恐慌」と言わんばかりの報道がひっきりなしに続けられている。(しかし、マスコミというのは、どうしてこういう風に、火に油を注ぐような報道ばかりするんだろう?)

実は住宅不況のまっただ中にもかかわらず、シカゴの家がまずまずの値で売れたので、その収益をどう運用するかで、この一二ヶ月、はじめて「投資」というものを真剣に研究してみた。ここオマハは投資の神様、ウォレン・バフェット(Warren Buffet)の本拠地でもあり、同じ空気を吸っていれば、わたしにも少しは投資のご利益が回ってくるのではないか、という根拠のない願望が混じっていることも否定はできない。

アメリカではほとんどの職場から年金制度がなくなり、代わりに退職後のために自分で資産を運用する仕組みになっている。「年金」という制度では、資産の運用がプロの手に委ねられていたため、ほとんどの勤労者は資産運用のことなど心配しなくてよかったのだが、反面、雇用主にとっては、その資金を運用する専門家を雇う(または投資会社に外注する)必要があり、また、退職後に会社が倒産した場合、あてにしていた年金が失われるという心配もあった。おまけに、転職が盛んなアメリカでは、ここの会社で三年、あそこの会社で五年、という風に働くため、退職後、それぞれの会社から少額の年金を集めるのは現実的でない。そんなこともあって、自分で資産を管理する方がアメリカ社会の実情に適している、とは思う。(ただ、大多数のアメリカ人は「宵越しのカネは持たねえ」主義(?)なので、退職後の生活に向けた十分な貯蓄がないのであるが、これは別問題である。)

では、どうやって素人の個人が自分の資産を運用するか?アメリカには個人投資家(自分の退職資金を自分で運用しなくてはならないのだから、国民の大多数が個人投資家の予備軍である)向けの無料、有料情報が山のようにある。それも、「投資を始める前に、まずは高利の借金を返済しましょう」といったレベルから、有望株の見分け方、投資口座の種類と所得税との兼ね合い、個別の株とファンド(投資信託)のメリット、デメリット、といった、ありとあらゆる種類の情報が手軽に入手できる状況になっている。

現在の日本の貯蓄、投資状況はよく知らないのだけれど、アメリカでは、特に退職資金のためには、定期預金はあまり勧められない。定期預金の利率は、大抵の場合、インフレ率より低いので、長期間定期預金で持っていると、結果的としてお金の値打ちが元の額より目減りしてしまうからである。だから、定期預金は短期間(一二年以内)に必要なお金を入れておく場所、とされている。

残りは、株式と債券である。債券は安全だが利率が低く、株はリスクはあるが長期的には利回りが良い、というのが「アメリカ流投資学」の大前提である。だから、退職資金を貯める場合、退職までの年数が減るにつれて、株式の割合を減らし、債券の割合を増やすというのが基本とされている。

…などなど、詳細は省くとして、わたしもこの機会に、これまであちこちの銀行や証券会社に散らばっていた口座を整理して、銀行業務(小切手のやりとり、現金の引き出し)以外は一つの証券会社に集め、ちょっと真面目に資産運用をしてみることにした。職場がスポンサーする退職資金口座はファンドしか買えないので、自己資金口座でいくつか個別の株を買ってみた。ついでに山のようにある投資情報サイトの中から、わたし自身の個人的な金銭哲学に合うサイトを購読することにしてみた。買った株はもちろんこのサイトのお勧め情報の中から選んだものである。

さて、今回の「大恐慌」はわたしの買った株にどのような影響を及ぼしたか?

結論から言えば、あんまり影響はありませんでした。

上がった株(この状況でも、上がる株は上がるのだ)が半分、下がった株が半分といったところ。

ファンドしか持っていないときは、ダウの上り下がりを見ても、あんまり直接のインパクトを感じなかったが、個別の株で持つと、その特定の会社の業績はもちろんのこと、業界の方向性、業界を取り巻く政治状況など、いろんな要素が絡み合っていることが切実に実感できる。

あと、月曜日の夕方に、購読しているサイトの編集部からメールが来て、「市場は大荒れですが、投資家の皆さん、パニックに陥って、軽卒な行動に走らないよう」とのことだった。こういうメールはもちろん、購読者全員に自動配信されているのだが、それでもこういう「励まし」のメールをもらうと、「ああ、購読していてよかったな」と思わせるものである。

ということで、今回のWall Street meltdownに関しては、わたしの第一印象は「アメリカのパワーというのは、まだまだ捨てたものじゃないな」というところである。

アメリカにおける日本語で読める一般人向け投資情報としては、たとえばこちら。(このサイトの投資傾向は、わたしには少し保守的すぎるように思うのだが、まあ、それは個人の好みの問題だろう。)