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不況

最近のニュースで景気の後退をいちばん実感させられたのは、「あなたの銀行は大丈夫?」とか「FDICはどのように働くか?」という記事である。

アメリカの銀行で口座を開くと、当座預金や定期預金には “FDIC-insured” と記載されてある。 FDIC とは Federal Deposit Insurance Corporation の略で、一定額まで個人の銀行預金を国が保証するという制度である。これは1920年代の大恐慌の際、多くの銀行が倒産、それに伴って口座保持者が預金引き出しのために窓口に殺到するという、いわゆる「取り付け騒ぎ」が頻発したため、その反省から生まれたものらしい。

わたし自身これまで、漠然と「一人十万ドルまで保証」という数字は知ってはいたものの、これが一口座当たりなのか、一銀行当たりなのか、それとも一人の個人の最高限度額なのか、あまり考えてもみたことはなかった。しかしカリフォルニアの IndyMac 銀行が倒産し、その処理のために連邦政府が乗り出して以来、新聞やネット上の経済欄で「FDICの仕組み」という記事をしばしば見かけるようになった。それによると、「一人十万ドルまで」というのは、一銀行における一個人の全口座の合計で、もし、ある銀行に当座、定期預金合わせて十万ドル以上持っていたら、十万ドルを越える部分に関しては保証されていないらしい。つまり、安全のためには、一つの銀行(支店ではない)には十万ドル以上預けるな、ということである。

ところで FDIC の保証が受けられるのは、一般の銀行預金だけで、株やファンドなどの投資口座は保証の対象外である。わたし個人の経験なので、これがどれほど一般的なことなのか今ひとつ分かりかねるのだが、アメリカの銀行ではあまり「預金」を勧めない。 Checking account は月々の住宅ローンや光熱費の支払いといった生活に必要な額だけ、それに付随した savings account に少々の予備のお金を置いて、残りは投資するように勧められる。税金の上でも、普通の口座から得た利子は、給与所得と同じ税率で税金がかかるが、投資で得た利益は最高税額が低く抑えられている。日本では余分のお金があれば、まずは堅実に定期預金、と思うのだが、アメリカではこちらから言わないかぎり、向こうから定期預金を勧めてくることは、これまでの経験上一度もなかった。アメリカの投資の原則は、堅実に行くなら国債、上がり下がりはあっても長期的に見るなら株、というのが一般的なところのようである。従って、多少の貯蓄のある家庭でも、FDICの限度を越えて銀行預金を持っている家庭は意外と少ないのではないかと思う。