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三軒目の家(6)〜Devil’s Advocate

F Fries

このエバンストンでの家探しでいちばん役立ったのは、同居人がDevil’s Advocateの役を果たした点だと思う。(これは意識してそういうことをしたのではなく、とにかく普段から文句の多い性格だというだけなのだけど。)

Devil’s Advocateというのは、もともとはカトリックで列聖審査の際に、列聖に反対する意見を述べる人のことを指すらしいが、そこから転じて、「いちゃもんをつける人」という意味で広く使われる。家を買うというのは結構フィーリング、感情に左右される部分が大きいので、そこで冷静にいちゃもんをつけてくれる人というのは重要なのである。

エージェントは?それに家を買う前にホームインスペクションってのをするじゃない?

エージェントは売買がまとまってはじめてコミッションが入る。だから、いったん買い手が買う気になったら、わざわざそれに水を差すようなことは自分からはしない。ホームインスペクションも、あまりに厳しくて(本当のことを言い過ぎて)買い手が尻込みしてしまうようなインスペクターはエージェントたちから総スカンをくらって仕事があまり入らなくなる。

だから、売買に関係していない人の意見というのは本当に大切。

たとえば、最初の方に見た家だが、これは予算の上限よりかなり安く、家はまあまあ、敷地は広く、この値段でこれだったら許せるかなという物件だった。ところが家の外に出たとたん、同居人がリビングルームの出窓を指さして、「ほら、あの出窓のところ、外壁の色が違ってる。これは出窓の部分が崩れてやり直したのかもしれない。」そう言われてみれば、確かに壁の色が微妙に違っている。(でも普通は気がつかないような差。)そのひと言で、この物件は「まあまあ」から「ボツ」に転落した。

別の物件。エバンストン北西部、同じ街のなかでもやや値段が高めの地域。(High Schoolはどこも同じなのだが、ここはElementary Schoolの人気が高い。)よく手入れの行き届いたきれいな家で、壁の色も家具もマッチして、非常に見栄えがよい。「この家が良さそうに見えるのはインテリアデザイナーの力量。家自体はすごく小さいし、敷地も狭い。それに家具は売り手が持って行ってしまうんだから、いくら今、良さそうに見えても、物件の価値には関係ない。こんなデザインにだまされるヤツの気が知れん。」

とにかくどの物件も片っ端からこの調子。確かにわたしが見てもこんなのヤダと思うようなのもたくさんあったけど(小さい傾いたような家に、キッチンだけ今風のステンレスの製品を押し込んでGourmet Kitchenと歌っていたり、屋根裏を無理矢理改造して二階建てと称してみたり、この「二階」はわたしでも頭がつかえそうなくらい天井が低かった)、これではわたしと同居人の両方の気に入る物件なんか存在しないのではないかとだんだん不安になってきた。

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