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外国法人による米国への貸付と米国課税(1)

ロサンゼルスとニューヨークを仕事で行ったり来たりしている間にかなりの時が経過してしまった。オバマ政権の国際課税改定シリーズが一段落してホッとしていたけど、その間にもFIN 48のSEC対象外の企業への適用決定を始めその他いろいろとあった。前回チラッと触れたビートルズのRemasterのボックスセットはAmazonでオーダーしたにも係わらずまだ在庫がない状態が続いている。このセットが届いたら近所のゲームソフト屋でWiiのビートルズも購入する予定なのだが、この分だと先にゲームを買うことになるかも。

アマゾンでビートルズのセットが一体いつShipされるかをチェックしていたら、面白い出版物が目に止まった。筋金入りLibertarianで、歯に衣着せない切り口で前回の米国大統領選挙を楽しませてくれたRon Paul先生が新しい本を出版していたのだ。この前の出版であるThe Revolution(John Lennonではなく、Ron Paulの)は結構、そういう考え方もあるのか・・・という感じで米国憲法に基づく国のあり方を考えさせられた。

今回の本はもっと凄い。なんと「End the Fed」つまり「連邦準備銀行を撤廃せよ!」というものでまたしてもとても勉強になった。日本に当てはめれば「日銀を撤廃せよ」ということになる。連邦準備銀行とか日銀、その他たくさんある中央銀行の存在は現在の経済活動に欠かせない存在であると鵜呑みにしていたが、必ずしもそうでないことが分かったし、また見方によっては中央銀行が諸悪の根源である、という視点があること、ある意味目からウロコだった。そういえば、つい先日、街でカバンを抱えて歩いているグリーンスパンとすれ違ったが、どことなく元気がない(?)雰囲気だった。

Ron Paul先生の意見には一理あるとしても、現実にはすぐに連邦準備制度の撤廃はないと考えるが普通だ。となるとヘッジファンドとかレバレッジの世界は今後もしばらく続くのかもしれない。

たまたま、ヘッジファンドである米国外法人が米国に貸付を行う際の米国課税関係に関してIRSが興味深い「Generic Legal Advice」を作成していたことが分かったので今回はその点に触れる。

*外国法人に対する米国課税

いままでもいろいろなポスティングで触れているが、外国法人は米国事業に関連する所得のみが米国で申告課税所得となる。この種類の所得を「ECI」と呼ぶ。ECIは「Effectively Connected Income」のことだが、これだけでは意味を成さない。実際には「Income Effectively Connected with U.S. Trade or Business」のことだ。米国に事業活動があり、その事業活動に実質関連している所得を意味する。ECIはそのまま「イー・スィー・アイ」と発音するが、対義語である「Non ECI」は「NECI」となり「ネッキー」と言われたりする。

ECIの考え方は米国内国法のものだが、租税条約がある場合には、申告課税の対象となる所得の決定条件が緩和される。租税条約下では、米国に恒久的施設がある場合に申告課税の対象となり、その際に課税所得となるのは恒久的施設に帰属する所得に限定される。このことから、米国内国法ではECIとなり、申告課税となる場合でも、租税条約により申告課税ではなくなるというきわどいケースもある。

ECIでない(租税条約のある国的に言えば恒久的施設に帰属しない)米国源泉の投資所得がある場合には申告所得ではなく源泉税の対象となる。源泉税率は内国法上は30%だが、租税条約があれば減免されている。ちなみに日米租税条約下では配当で0%~10%、利子は一般に10%、ロイヤリティーは0%だ。

*米国への貸付活動

米国への貸付活動から発生する利子所得がECIかどうかは外国企業、外国銀行にとって重要な検討事項だ。その決定次第で、利子を米国で申告課税とするのか、利子には源泉税が課せられるのか、と取扱いが全く異なるからだ。ここで注意するべき点は必ずしもどちらが得となるかは一概に決め付けられない点だ。申告課税となると面倒な気がするかもしれないが、申告課税ということは必要経費を差し引いてネット所得に課税されるということだ。このことから外国銀行は敢えて利子をECIにしたいと望むこともあり、税法は銀行の受け取る利子がECIになり難いように規定されたりしているので面白い。

今回のIRSによるLegal Adviceは外国法人であるHedge Fundが米国貸付から受け取る利子所得がECIとなるかどうかという検討事項に係わるものだ。