リタイアメントプランの利点

老後のための資金を取っておくだけならリタイアメントプランではなく普通にお金を貯めても構いません。しかし、リタイアメントプランには次のような特徴があるため、アメリカで暮らしていく人はぜひ活用するべきです。

税金の優遇措置

リタイアメントプランでは普通に資金を運用する場合と比べ、税制面での優遇措置があります。アメリカ政府はこういった優遇措置を設定することで自分で老後資金をためることを推奨しています。税金の優遇措置は主に次の2つのタイプに分けることができます。この2つのタイプの違いは重要ですので、自分がリタイアメントプランを選ぶ際にはどちらにするか、または両方を状況に応じて使い分けるか、などを考えることになります。

税金の先延ばし

税金の先延ばし(Tax Deferred)というのは、今、収入に掛かる所得税を払わずに、将来払うことにする、という意味です。給与の一部、例えば$3,000を401(k)に拠出したとします。この$3,000は本来、給与ですから税金が掛かるはずです。しかし、401(k)に拠出したことにより、税金を計算するときには収入が無かったとみなしてくれ(=控除できる)、その分、所得税が低くなります。税率が28%の人は、$840分の税金が減額されます。定年後、プランからお金を引き出したときに、そのときの所得に応じた税率で所得税が課税されます。 Tax Deferredという考え方には賛否両論があります。税金を先延ばしにする事によって、働き盛りで収入が多いときに、高い税率で収めずに済み、得だ、という意見があります。一方、老後に収入が減るとは限らない、逆に税率が分かっている今、税金を払って引き出すときは非課税のほうがいいという考えもあります。また、「老後は労働収入が減るから、税率も下がる。だから先延ばしのほうがいい」というのは「老後に貧乏になるためのプランだ」という人もいます。Tax Deferredだけを見ると、どちらも一理あり、結局、老後になってみないと分からないことになってしまいます。

運用益に対して非課税

給与の一部を拠出してから老後に引き出すまでは、運用して配当金や利息、キャピタルゲイン(値上がり益)の形でを得ることができます。普通にお金を運用すると配当金、利息には税金がかかりますが、リタイアメントプランで運用している資金には税金が掛かりません。運用している最中に利益に税金が掛からないので、運用先の変更を税金を気にせず行うことができます。例えば普通の投資口座でファンドを売り買いすると、売ったときに発生した利益に対して課税されてしまいます。リタイアメントプランで運用している場合は、あるファンドから別のファンドに買い換えても、売ったファンドの売却益に対して税金が掛かりません。

非課税で運用する

税金の先延ばしではなく、今のうちに税金を払っておき引き出すときは非課税にしたい場合、Rothというタイプのリタイアメントプランを使います。Roth IRA、Roth 401(k)、Roth 403(b)など、Rothがつくリタイアメントプランはすべてこのタイプになります。

目的が明確である

リタイアメントプランは老後に使う資金を貯めるという目的がはっきりしているのも利点です。働いている間はさまざまな出費(例えば住宅購入や子供の教育資金など)があります。気をつけないとそういった出費でどんどんお金を使ってしまい、老後資金の貯蓄が後回しになってしまうことも考えられます。リタイアメントプランを使うことで、プランのお金は老後のためであり、他の資金とはっきり区別をつけることができます。

自ら強制的に拠出する

リタイアメントプランは職場を通して提供されるタイプ、つまり401(k)や403(b)では給与から天引きされてプランに拠出されます。天引きされるので手取りは少なくなりますが、多くの人は手取りで何とかやりくりするものです。積み立て期間で解説したようにリタイアメントプランは生活レベルを一定に保つための仕組みと考えられますから、手取りが少なくなってもやりくりするように努力することで自然とその仕組みの通りになります。自ら強制的に貯蓄(Forced Saving)をすると言えるでしょう。 職場にリタイアメントプランの制度が無い場合でも自分でIRAやRoth IRAなどで老後資金を貯める事ができます。給与からの天引きはされませんが、口座から自動引き落としで拠出することができます。給与が振り込まれる日に自動的に引き落としがされるようにしておけば同じ効果が期待できます。

制限

リタイアメントプランの目的が明確であることはまた、その目的以外では使わないようにするための制限があるということでもあります。

引き出しの制限

老後資金のためですので、歳をとる前に引き出すことは目的外です。目的外の使用を防ぐために、59歳半になる前に引き出すと一般的には10%のペナルティが課せられます。

収入条件

リタイアメントプランは労働収入の一部を老後資金にするためのものです。労働収入が無ければリタイアメントプランを利用することはできません。労働収入さえあれば利用することができるので、例えば学生の間でもアルバイト収入をリタイアメントプランに拠出することができます。例えばIRAには$5,000まで拠出できます(2010年の場合)。しかし労働収入が$3,000しかなければ、最大でもその金額までしか拠出することはできません。 この労働収入の条件には例外があります。これはとても大切な例外ですので、該当する人はぜひ注意して置いてください。夫婦のうち、一人だけが働いていて、もう一人は働いていない場合(Non-working spouse)、働いてないほうの配偶者は労働収入がなくてもIRAに拠出できます。リタイアメントプランは常に個人名義になります。夫婦共同名義にはできません。401(k)など、共働きであればそれぞれが加入できますが、一人しか働いていない場合、それが働いている配偶者だけの名義になるのはどうかと思います。Non-working spouseもIRAを持つことで、二人で共同で将来の準備をしていることになりますし、夫婦二人分の合計の拠出額の上限も増えます。