拠出して税額を減らす

自分のお金が控除になる

いずれは自分で使うお金を、ある決まった方法で一旦給与から差し引き、特別な口座に拠出すると、その額が税金控除として申請できる場合があります。結局は自分で使うお金なのに控除できるというのはとても「お得」な制度といえます。

リタイアメントプラン

リタイアメントプランは税金を先送りする(Tax Deferred)タイプの税金控除です。リタイアメントプランに拠出した年はその額に関して税金控除になります。しかし、引き出すときに(利回りも含めて)税金が掛かることを忘れてはいけません。 リタイアメントプランで税金を先送りする事のメリットは2つあると一般に言われています。1つは税金を今払わなくて済む分、投資に回せる事が上げられます。税率が27%の人は、税引き前に$1,000拠出すれば、税引き後の$730に比べて$230も元手が多くなるので、長期で運用した場合、大きな差になります。 もう1つのメリットは、老後は仕事を辞め、収入が減るので低い税区分になり、先送りしたお金に対してより少ない税率が適用されるというものです。しかしこれは(FIを目指す人に取っては)大きな間違いです。まず老後には収入が低くなるという考えは危険です。将来はわかりませんが、執筆時点(2003年)では、リタイアした後に支出はむしろ増える傾向にあります。支出が増えるという事はそれをまかなう収入が必要ですから、仮に社会保障などの非課税分があったとしても収入は増えなければなりません。また、将来の税率がどうなっているか、現時点ではわかりません。 そこで、税金控除になるリタイアメントプランは1番目のメリットだけを考えて運用しましょう。

税控除になるリタイアメントプラン

RothIRAを除いて、ほとんどのプランは税金控除の対象になります。401(k)、IRA、403(b)などはすべて税金控除(正確にはTax Deferred)です。稀な例外としてNondeductible IRAがあります。Nondeductible IRAは拠出額に対して普通に課税されますが、運用益のみTax Deferredになります。RothIRAは常に先に課税され、引き出す際は非課税です。

Flexible Spending Accounts

Flexible Spending Accounts(もしくはArrangements)とは企業が従業員に対して提供する節税プランの一つです。給与から一定額を税引き前控除し、そのお金で保険でカバーされない医療費などを支払います。控除額は連邦税の課税対象になりません。州税もNew Jersey州を除いて非課税になります。税引き前のお金を使う事ができるので、その分、節税が出来ます。

FSAの仕組み

このプランを会社が提供する場合、毎年12月に次の年にFSAを利用するか、利用する場合はいくら控除するか、聞かれます。FSAに参加する場合、年度の途中では変更できませんから、よく考えてから決めてください。 例えば、次の1年間で$2,600の医療関連経費を自費で負担しなければいけないと分かっていれば、この額をFSAの控除額にします。多くの(米国の)会社は給与は隔週払いですから、1回の控除額は$100になります。医療費が発生するたびに領収書と払い戻し用紙を会社に提出すると、年間の拠出額を上限に医療費が返って来ます。 医療費の支払請求は、年間の拠出額に達していなければいつでもできます。例えば1月に$1500の自費医療費を払ったとします。この時点では払った拠出額の合計は$200だったとしても、すぐに$1500の請求が可能です。 医療費はその年に発生したものでなくてはなりません。しかし、医療費の支払いがその年であれば、請求は次の年になっても支払日から90日以内であれば可能です。例えば12月の終わりに払った医療費を1月になってから前の年のFSAの費用として請求できます。FSAの欠点を回避するために、12月中にメガネを作ったり、薬を買っておく場合、この事が重要になります。

FSAの対象となる費用

FSAは医療保険で支払われない、自費で払った分が対象となります。医者に行ったときのCo-payment(初診費用)、Deductible(保険の免責金額)、歯科矯正やメガネ、コンタクトレンズなど保険で支払われない医療費がカバーされます。また、2003年から処方箋なしの一般薬(Over-the-counter = OTC Drugs)もFSAの対象になりました。会社ごとにプランの詳細が違いますから、自分の会社のプランがどのような費用や薬をカバーするか確認してください。

FSAの欠点

自費で支払う医療費分が非課税となるFSAですが、拠出した分はその年に使い切らないといけません。使わずに残ってしまった分はForfeit、つまり無くなってしまいます。そのため、申し込むときに良く考え、必ず使い切る額を拠出するようにしましょう。

FSAの年度中の変更

FSAは先に述べたように、1年を通じて変更する事は出来ません。しかし、これには例外があります。仕事を変った場合、新しい会社でFSAを利用する/しないの選択が出来ます。また、家族構成に大きな変更があった場合、FSAの利用や拠出額を変更できます。家族構成の変更は結婚、離婚、子供の出産などがあります。また、仕事環境が変ったときも、FSAを変更する事が出来ます。これには労働時間の変更や配偶者の失業や転職があります。

Dependent Care Account

FSAには医療費の口座とは別にDay Care(主に託児所)の費用をカバーするものがあります。Dependent Care Reimbursement Account とも呼ばれ、会社が提供している場合は、年間で最高$5,000までFSAと同じ仕組みで拠出する事が出来ます。

Dependent Care Accountの制限

DCA(Dependent Care Account)の対象になるのは、13歳未満の子供か同居家族でケアが必要な場合です。あくまでもDay Careが対象なので24時間のFull Careは対象外です。サマーキャンプなども対象になりますが、泊り込みのキャンプは対象外となります。在宅介護も対象になりますが、これも日中のサービスだけになります。つまり、どのような場合でも「Day」Care、つまり日中のサービスだけが対象になります。 基本的な考え方は、両親が共働きで子供を預けなければいけないから、その分の経費を非課税にするというものです。配偶者の一方が働いていなければDCAには拠出できません。また、パートタイムの仕事など年収が$5,000を下回る場合は、拠出できるのはその年収額までになります。ただしこれには例外があり、一方の配偶者がフルタイムの学生である場合や、障害があって子供の面倒を見れない場合は、子供(あるいはケアの必要は家族)が1人の場合は$2,400まで、2人以上なら$4,800まで拠出できます。 $5,000の拠出上限額は1世帯についてであることに注意しなければいけません。共働きで両方の会社がDCAを提供している場合、上限を超えないようにどちらか一方を利用するか、合計額を計算して調整するなどしてください。 その他にも拠出した分はその年に使わなければいけない、年度中の変更は特別な事情に限られるなどFSAと同じ制限があります。

Commuter Flexible Spending Account

アメリカでは税法が日本と違うため、従業員の交通費は会社としても個人としても税金控除の対象になりません。そのため、アメリカの会社では交通費は支給されないのが普通です。しかし、もし会社がCommuter FSAを提供していれば、一定の限度額まで交通費が非課税になります。 *1

Commuter FSAの対象となる交通費

対象となるのは駐車場代と、電車、バス、フェリー、バンサービスなどの公共機関の運賃です。車で通勤する場合のガソリン代や有料道路代は対象となりません。

仕組み

Commuter FSAは毎月一定額を給与から拠出し、使った分の交通費を払い戻してもらいます。拠出した分は課税されないので、その分が節約になります。Commuter FSAの特徴は、その年に使い残した額があっても、次の年に繰り越せることです。さらに拠出額も毎月変更可能です。他のFSAと比べて、柔軟性があるのが特徴です。 2008年度の拠出限度額は、駐車場代の場合、毎月$220まで、公共交通機関の場合は毎月$115までとなっています。
*1:このセクションの情報は、知り合いの税理士(Enrolled Agent)の方から教えていただきました。