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ブローカーはアドバイザー?

ブローカーの顧客担当者から来たメールの中に「私はあなたのファイナンシャル・アドバイザーですから・・・」という一文があり、それがやたら気になった。

おそらく「不安要素の多い今こそ、頼れる存在をアピールして顧客のハートを掴み取る時」というブローカーの営業戦略なのだろう。

ブローカーは基本的にはセールスマンで。顧客に金融商品を売ってコミッションを稼ぐことで商っている。コミッションが高いほどにブローカーは儲かるが、顧客はそのコミッションを何らかの形で払う立場なので、両者の利害は必ずしも完璧には一致しない(ブローカーが顧客の利益よりコミッションを優先させてしまう可能性があるから)。

金融業界の古いジョークにこんなのがある。NYハーバーに来た観光客に、観光ガイドがブローカーやバンカー達の豪華ヨットを見せていた。「じゃあ、お客さんのヨットはどこ? Where are the customers' yachts?」と観光客が質問したが、実は客のヨットはどこにもなかった。 ブローカーや金融業者の持ってくる「儲け話」は、ブローカーや業者達は儲けても、必ずしも顧客が儲けるとは限らないという教訓を含んだジョーク。

( ”Where are the customers' yachts?”は、金融業界の内情を書いた有名/古典的な本の題名。こういった業界の実業は70年前からもさほど変わっていない。)

ブローカー達にはSuitabilityというユルめの法的義務がある。売った商品が顧客に”Suitable(適切)”でさえあれば、ブローカーはそれ以上の責任は負わない。このSuitability Standardは中々甘くて、「とんでもない商品を売りつけやがって」と顧客がブローカーを法廷やFINRA(米国金融業界の自主規制機関)で訴えるのは時々起きることだが中々難しい。

私の使っているブローカーは自主的に行動する個人投資家には使い勝手が良いのだが、いくつかの(時には苦い)経験からこのブローカー(というかブローカー一般)の薦めてくる商品やお得な話はあまり信用していない。顧客担当者は良い人っぽいのだけど、営業だから当たり前だろうし、それにほだされないよう気をつけている。善意で薦めてくる物が必ずしも無害だとは限らないからだ。

アドバイザーは、アドバイスする側とされる側に知識差があるのが前提。知識差があり、かつ両者の利害が一致にしないアドバイザーと顧客の関係は危険性がある。顧客の無知につけこんで、アドバイザー自身が儲けられる機会が出てくるからだ。

一応、そういった事態を防ぐため、SEC(米証券取引委員会)に登録したRegistered Investment Advisors(RIA)と呼ばれる投資アドバイザー達は、業務上顧客の利益を常に優先するべき Fiduciary Dutyという法的責任・義務を負っている。Fiduciaryについてはまたいずれ別に書こうと思う。

今現在(2011年11月)SEC(米証券取引委員会)はブローカー達にも投資アドバイザー同様のFudiciary Standardを適用しようという規制改革を進めている。金融業界の水面下で、この新規制の行方を決めるため、ブローカーと投資アドバイザー(RIA)の間で激しいバトルが日々続いている。このバトルも結果が出た時点でこちらで報告したいと思う。

客の無知に付け込むようなブローカーもいるだろうがごく一部かもしれない。顧客を家族のように良く面倒を見るブローカーも一部いると聞く。大抵のブローカーは、自分の事情(自分の利益やノルマなどの会社での立場)と顧客の事情(顧客の利益や評判)の微妙なバランスをとっているのではないかと思う。

料金も払っていないし、契約もしていないのに、突然アドバイザーと名乗る人(つまりはブローカー)が目の前に出てくる度に、その人のバランスがどこにあるのか気になってしまう。

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