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John C. (Jack) Bogle の世界

ポピー

年末Jack Bogleさんがラジオでインタビューを受けていた。お正月はポジティブな話題が良いと思ったので、Bogleさんについて書きたい。

ご存知の方も多いと思うが、BogleさんはIndex Fundの生みの親であり、大手投資信託会社Vanguard Groupの創始者でもある。低コストのIndex型投資商品というのは、今にしてみるとアイスクリームのバニラ味のようにあって当たり前の基本商品だが、それはこのBogleさんが考え出し何十年もの情熱を掛けて世に広めたコンセプトである。この人の貢献がなかったら、今の小型投資家の選択はもっともっと限られていただろう。プロであれ、素人であれ、投資家は多かれ少なかれこの人の作り上げた世界に関わって生きている。

それに加えて、このBogleさんは昔も今も徹底した個人投資家の味方である。 金融業界が様々なマーケティングを駆使していかに個人投資家達から高い手数料・信託料を巻き上げるか、そのことについて批判の手を緩めることはない。大抵の人は、ここまで成功を収めた後は、政治的に巧妙に振舞ったり、同業者を悪く言わないよう気をつけたりするものだが、Bogleさんはそういった妥協は一切しない。この人は本当に掛け値無しで信念に従って生きている稀な人。

ついには、BogleさんはETFの是非を巡って、自分の設立した会社Vanguardとも対立してしまう。この仲違いは、Bogleさんが引退した後のことだが、ちょうどVanguardがETFを売り始めた頃に、Bogleさんが盛んにETF批判をして回ったのが原因らしい。投資は長期保持が基本だと信じるBogleさんは、頻繁に売り買いが可能なETFをあまりよく思っていない(低コストの広域をカバーするインデックス型ETFには多少好意的になったようだが)。絵に描いたような頑固爺さんである。

Vanguard Groupは、同社のMutual Fundへの投資家達が共同で所有するという特異な会社形態をしている。それも、投資信託会社は投資家のみに仕えるべき存在だというBogleさんの哲学の反映。例えばFidelityを創立したJohnson一家のように、VanguardをPrivate Comapnyといった会社形態にして巨額の富を築くことも、Bogleさんがそうしようと思えばできたはずなのだ。でも、Jackさんはそれを敢えてしなかった。

Bogleさんは、時に『金融業界・ファンド業界の良心(Conscience)』と呼ばれ、この業界では稀な、お金や権力に左右されることのない御意見番として今でもメディア活動や本の執筆をしている。

まあ、Bogleさんの信条に賛同するかどうかは人それぞれだけど、この人の生き様には何らかの敬意を払わずにはいられない人も多いのではないだろうか。

Bogleさんには、これからも長生きして頑張って欲しい。

P.S. Bogleさんの息子さん(John C. Bogle Jr)は、Actively Managed Mutual Fundのマネージャーだそうですね。世の中って面白い。

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