水曜日にラジオでやたら明るい声ではしゃいでいると思ったら、デトロイトのGM工場が第三の深夜シフトを始めたというニュースだった。
自動車工場では1シフト8時間で、1日最高3シフトを組める。2009年に米国自動車業界が急ストップして以来、一時は1~2シフトのみで操業していた工場が、やっと3シフト操業に戻りつつあるという話。
ニュース記事はこちら。
Auto Plants at Capacity Buoying All Parts of US Economy、Cars(Bloomberg)
米国自動車産業の設備稼働率は2009年の最悪期には49%まで落ちたが、今81%まで回復している。GMだけでも米国全州で4300人の雇用拡大だという。クライスラーや、日産、KIAの米工場でも3シフトに戻っている。
現在アメリカ人の乗っている自動車・トラックの平均年齢は10.8年。 これは歴史的にも最長記録で、不景気で買い替えする人が少ないのに加えて、最近の車はきちんとメンテすれば10万マイルを越えても延々と走り続けるというのもある(私も20万マイルまで実証済み)。でも、さすがに「そろそろ買い替え時期か」と思う消費者も増えてきたのか、去年のQ4から自動車販売数は大きく伸びていて、自動車業界アナリストは比較的好調な2012年を予測している。
ご存知の方も多いだろうが、自動車工場の増産は、その傘下の下請け企業とその下請け、そのまた下請けにも即座にプラスの影響が出てくる。
上のBloombergの記事はジャーナリズムのお手本みたいな記事で、この深夜シフトの追加が、雇われた工員の生活・家計事情だけでなく、下請け工場での操業・雇用拡大、近辺のレストランやパブの営業時間が延びてそういったお店で新たに人を雇う話、さらには近辺のデイケアセンターの増設プランに至るまで、地域の経済にどれだけインパクトを持つのか具体的に描写している。
記事に出てくるThe Center for Automotive Researchによると、中西部の自動車工場1つで1シフトが増えると直接雇われるのは1000人だが、関連業界や地域のサービス業・販売業・建設業など間接的に7850人の新たな仕事を生み出すそうだ。業界お抱えリサーチ機関の数字なので、ちょっと眉に唾をつけて読んでおきたいが、大きな影響があることは事実だろう。
アメリカの経済の2割強が、直接的・間接的に何らかの形で自動車産業に関与している(製造、販売、ローン、ガソリン、保険、道路建設などなど)という話を聞いたことがあるが、あながち嘘ではないのかもしれない。このニュース以外にも、アメリカの製造業が徐々に回復しつつある兆しはあり、一般雇用と経済全体の回復に貢献すればよいのだが。以前のようにHousing Sectorが経済回復を引っ張ってくれない今度の景気サイクルでは、製造業は経済回復のエンジンとしての期待を担っている。
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