サン・フランシスコからシリコンバレーは昨今の家賃上昇バトルの最前線。家賃上昇は一昨年あたりに始まり、去年後半から加速している。
レントの値上げは逸話的にSF市内で前年比15~20%、シリコンバレーで10~15%だが、噂になるのは派手な値上げのみなので、平均はこれより低いかもしれない (平均はこちらにあるが、どれだけ信用できるかは不明)。
賃貸物件のレントは地域の人口動向や所得事情に敏感。周辺の企業は積極的に人を雇っているし、州外ナンバープレートをの車を多数見るので、かなりの人が移ってきているのが分かる。
住宅バブル期には家賃に比べて土地代が高くなりすぎて、アパートの新規建設は稀だった。逆に、アパートがコンド・コンバージョンされたり、賃貸一軒家が売られて取り壊されMcMansionに変わったりで、レンタル物件の供給は縮小気味。
地域から出て行く人の数も少なくて、ともかく市場に出てくる賃貸物件の数が少ない。激戦区SFではひとつアパートが空けば、何十・何百のアプリケーションがあるという。外部から移って来た人達は、聞きしに勝る高いレントと激しい競争に唖然としている様子。
この記事では今年の地域のレンタル市場のVacancy Rateが3%を下回るだろうと予測している。Vacancy Rateがそこまで落ちるのは、1990年代後半のドットコム時代以来の話。
あまりレンタル市場がタイトになると、家賃が払えるどうかに加えて、要領や運が良くないとアパートを見つけるのも難しくなる。ドットコム時代の昔は、フルタイムの仕事があるのに通勤圏にアパートが見つからずにシェルターに滞在していた人や、100Kのお給料をもらいながらホームレスになった男性の話もあった。
今は極端なレント上昇は一部地域に限られていて、地域や質にピッキーでなければまだ物件は見つかるようなので、ドットコム時代ほどまでは悪化していない。
住宅市場もシリコンバレーの評判の良い学区や成長企業の周辺だとインベントリーが非常に低い。Sellerは皆FacebookのIPOを待っているのだという噂もあるがどうなのだろう(*)。
早春には$1.2Millionでリストされた家に(要改築のかなり古い家)、38件のオファーが集まり、その中にはAll Cash Offerも複数あったようで、競り合いの結果$1.65Millionで売れたという。
”Bidding wars are back!!”とリアルターさん達は喜んでいる一方、学童期の子供を持って家を探している人達にはRude Awakeningだったよう。
これから夏にかけて異動期が始まり、SF Bay Areaにはさらに人が集まってくるだろうし、しばらくは加熱を続けそう。
Boom & Bustとそれに伴う人口の動きはは、ゴールド・ラッシュの頃からのカリフォルニア経済の特徴だから、季節のゆっくりした移り変わりのようなものと考えて慣れるしかないと、歴史家の知り合いが言っていた。といっても、慣れるのは中々大変。
SF Bay Areaで家やアパート・賃貸を探している方達は、焦らず慌てず、頑張って下さい。
_____________
(脚注*)Facebook社員がオプションを行使できるのは、おそらく90日のLock-up Periodの終わる8月か9月。でも、Secondary Marketを利用した人が一部いたり、金融機関から借りたりで、時期の融通は多少効くはず。でも、以前不動産市場への「Google効果」を目撃した人達は、「Facebook効果」もあるはずだと信じて疑わない。
コメントを追加