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401K制度は失敗か?

ポピー

New York Timesのコラムニスト、Joe Noceraさんが「401Kは制度として失敗だった」という内容のコラムを書いて、色んな所で話題になっている。

My Faith-Based Retirement:New York Times

60歳の誕生日を目前にしたJoeさんは、自分のリタイアメント・プランの現状を引き合いにだしている。Joeさんの401Kはドットコムバブルのの崩壊で半減、その数年後の離婚でまた半減。その後に買った家の改築にまとまったお金を引き出し、今のJoeさんの401Kの残高はリタイアメント資金としては救いようも無いほど不十分だという。

Joeさんは、長いことビジネスやファイナンスの記者・コメンテーターとして活躍した人で、90年代の半ばには401Kを「金融の民主化だ」と讃えた本も書いている。401K制度については精通しているはずの人なのだが、そのJoeさんにしてこの顛末は、紺屋の白袴というか、猿も木から落ちるというか、メディアでもネットでも、「あのJoeさんが?」「Joeさん、お前もか?」と驚いている様子。

ここでJoeさんは、Teresa Ghilarducci教授というかなりラディカルな労働関係の専門家に意見を聞く。Ghilarducci教授によると、Joeさんのパターンは例外ではなく、よくあることらしい。転職、失業、病気・怪我、離婚といったイベントで401Kを引き出してしまうのに加えて、圧倒的多数の人が貯金・投資する技術・鍛錬・心理を欠いているから、「401K制度は(社会)実験としては失敗だった」というのが、この教授の意見。

(この教授は401Kの代わりに、強制リタイアメント貯金制度のようなものを推奨しているらしい。NPRのラジオインタビューはこちら。でも、アメリカ人は一度手にした自由・選択肢を失うのを嫌がるから、実現は難しそう。)

401Kは拠出するかしないか、またいくら拠出してそれをどう投資運用し、いつ引き出すかといったことを自分で決められる。その柔軟性がこの制度の魅力ではある一方、選択肢がある以上は、ほとんど拠出しない人、投資ミスをする人、リタイア以前に引き出してしまう人達が出てきてしまう。Joeさんのようなベービーブーマー世代でも、401Kを上手く利用してリタイアメント資金を貯めた人達、上手く利用できなかった人達が両方出てきて、老人社会にもこれから経済格差が広がっていくだろうと予想されている。

Joeさんのコラムは、NYTで多数のコメントを集め、ネットのここかしこでも反響を呼んでいる。大まかに、「401Kは制度として欠陥がある」という意見(主に企業・公務員ペンションを賞賛する人達)と、「いや401K制度が悪いのではなく、個人の責任・ミステイクだ」という意見に分かれている。意見や視点は違っても、皆が何かを言わずにいられない課題らしい。

確かに401Kも色々問題があるが、企業ペンションも行き詰っている所がかなりある。私はお金のことは自分で管理・運用決めて行きたいタイプなので、401Kは自分の気質に合っていると思う。ただ、401K制度下の様々な選択肢に圧倒されてしまう人や、投資リスクを負いたくない人達も多いのが難しい所。

Kayさんのブログにもあったけど、日本や他の国が401K的な制度に移行しつつある中で、401Kの起源国であるアメリカで再検討の声が出てきているのはちょっとアイロニー。

皆さんは、どう思われますか?

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