New York Timesで大学の学費と学生ローンの借入額の分布を表す興味深いグラフがあったので、紹介したい。
Student Debt at Colleges and Universities: New York Times
グラフの丸それぞれはアメリカの個々の大学を表す。オレンジの丸は私立大、灰色の丸は公立大。丸の大きさはその大学に在籍する学部生の数を表す。
グラフの横軸はその大学の学費(州立はIn-State Tuitin, どれも生活費は入ってないので、最終費用はこれプラス1.2~2.2万ドル)、縦軸は卒業時点で学生ローンを借りている学生の平均借入額(借りなかった生徒は分母に入っていない)。
Playボタンを押すと、2004年から2010年にかけて、学費と平均学生ローン借入額がどう伸びていったのか、見ることができる、。バブル期は学費がどんどん上がり、バブル崩壊後は平均学生ローン借入額がぐぐっと伸びた。
年を固定して丸にカーサーを置くと、どの丸がどの大学なのか判別できる。
当たり前のことだが、私立大の方(オレンジ)が公立大(灰色)より学費が高い。学生ローンの平均借入額も学費を追って緩やかに上昇するが、ばらつきも大きいし例外もある。例えば、公立大でも、学生がかなりの学生ローンを抱えて卒業する大学もある(例:Penn Stateは平均借入額31K)。
右の方の大学に行くほど、親の所得層も高くなり、親がかなりの額を負担するのもあるのだろう。また、親が学生ローンを借りることもあるが、それはこれらの計算に入っていない。
学生の借りる一番一般的な連邦系学生ローンはStafford Loanで、これはSubsidized/Unsubsidized合わせて4年間で総額31Kほどまで借りられる。それ以上借りるとなると、Private Student Loanになってしまうことが多い。(低所得家庭出身の場合、連邦系のPerkins Loanが4年間で総額20Kまで借りられることがある。)
ハーバード、イェール、プリンストンのような名門大学はこのグラフの右下隅に固まっている。こういった大学は、学費は高いものの、巨額なEndowment(寄贈基金)があるので、学生・家庭のFinancial Needを満たすFinancial Aid(それも多くはローンでなく返済の必要の無いGrant)をオファーすることが多く、ローンの利用率も借入額も低め(Financial Needの説明はこちら)。
一方、私立校でもEndowmentがそれほど大きくない所は、Financial Aidで学生・家庭のFinancial Needを充分満たせないこともあり(俗にGappingと呼ばれる)、学生や親はそのギャップを追加のローンで埋めることが多い(New York Universityとか)。また、自学のランクを上げようとする大学は、Need-Based Financial Aidの充実よりも、Merit-Based Financial Aidに力を入れて優秀な学生を勧誘しようとする。
多額の学生ローンを抱え込む例は、親の援助を期待できない学生が、学費の高い割にNeed-Based Financial Aidをあまり出さない大学に行ってしまうパターンが多い(かつMerit-Based Financial Aidを期待できるほどの学力でもない)。
NYTの記事にも、Ohio Northern Universityの例が出てくる。この大学の卒業生の平均借入額は$48、886。Lower-Middle Class出身の18歳の子供が、大学の教授やAdmissionスタッフの「費用は心配せずに夢を追求しなさい」なんて言葉にほだされて(理想論を言ってるだけでなく、この年齢層向けのマーケティング戦略があるらしい)、年間費用$49Kのこの大学に進学し、卒業時に80~120Kの学生ローンを抱えるなんて逸話もある。自己責任とはいえ酷な話だよね。
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