長期金利が下がり、リファイナンスがブームだが、従来のチャンネルで家をリファイナンスするにはプラスのEquityを要求される。家の値段が下がった今、このEquityが不足でリファイナンスできない人達が多くいる。
モーゲージ残高が家の評価価値を下回ってしまったホーム・オーナーのリファイナンスを助ける目的で、Home Affordable Refinance Program (HARP)という政府プログラムが2009年に施行されたが、条件が厳しくあまり成功しなかった。
このプログラムは、前回ネックだった条件いくつかが緩和され、去年の11月に再開。人呼んでHARP 2.0。(この言葉、私にはどうもこのイメージ、注:音声あり)。
前回はLTV(ローン額と家の評価額の比率)が125%までという制限があったが、今回のHARP 2.0ではLTVの上限無し(少なくとも政府レベルの参加条件では)と言うのが、一番の差。今年3月半ばにFreddie Mac と Fannie Maeの審査過程がコンピューター化されたのも、大きな助けになるだろうと予想されている。
これからこのプログラムで、どれだけリファイナンスが広まり、果たしてフォアクロージャーの波を止めることができるのか、皆が見守っているところ。
HARP 2.0の参加条件
HARP 2.0プログラムに参加するには、政府レベルでは次のような条件を要求している。
1.モーゲージが2009年5月31日までにFreddie MacもしくはFannie Maeに売られた。
誰が自分のモーゲージを所有しているか分からないこともある。これらの機関に自分のモーゲージが売られたかどうかは、オンラインでチェックできる。Fannie はここで、Freddieはこちら。
2.LTVは80%以上である(80%以下はHARPを使わなくてもリファイナンスできるはず)。LTVの上限制限は無し。
3.過去にHARPを使ってリファイナンスしていない。
4.過去6ヶ月間支払いに遅れが無く、モーゲージの支払いがCurrentである。
5.過去12ヶ月内に、30日以上支払いが遅れたことは1回以下。
6.ローン額がConforming Limit内である(Super Conforming Limitが認められている地域ではそれが上限)。
HARP 2.0は、2013年12月31日にプログラム終了する。
Fannie、Freddieの審査基準
上記の参加資格に加えて、Fannie とFreddieにそれぞれの審査基準があり、該当する方の基準を満たす必要がある。その審査基準は、DU Refi Plusというソフトに組み込まれてコンピューター化されており、前回に比べるとかなり簡素化され、かつ緩くなっている。 (DUはDesktop Underwriter®の略)。
どんな書類・情報提供が必要かは、個々の状況次第なので、銀行やモーゲージ・ブローカーに問い合わせるのが一番。
もし、このDU Refi Plusの審査基準を満たさない場合は、マニュアル審査基準が適用され、レンダーも現在のサービサーの銀行に制限されるし、審査スピードも遅くなる可能性がある。
銀行側の追加条件(Overlays)
また銀行(オリジネーター)がそれぞれ独自の条件を追加要求してもよいことになっていて(業界用語でBank Overlaysと呼ばれる)、それがこのプログラムの一番のワイルドカード。
もし銀行の条件が厳しい場合、上記のHARP2.0の政府側条件を満たしていても、銀行独自の条件を満たせずに却下されるといった可能性も出てく るかもしれない。
前回のHARPに比べると、リファイナンス後にモーゲージが焦げ付いた時の銀行の保証責任(Skin in the Gameってやつですね)は軽減されているので、銀行側ももっと熱心にリファイナンスさせるのでは(独自の条件を緩めるのでは)という期待がある。
これはまだ未知数なので、これから様子を見るしかない。
オリジネーターの選択
DU Refi Plusの基準を満たすホームオーナーは、*理論上は*どの銀行・オリジネーターでHARP 2.0のリファイナンスをするか選ぶことができる。
しかし、自分がサービサーをしているモーゲージのみHARP 2.0のリファイナンスを扱う銀行、また他のレンダーからのHARP 2.0リファイナンスにはより厳しい条件を要求する銀行があるらしい。なので、この銀行・オリジネーターの選択が実際どこまであるかはまだ未知数。
また、DU Refi Plusの基準を満たさないホームオーナーは、モーゲージの現在のサービサーである銀行でないとHARP 2.0を利用したリファイナンスはできない。
興味のある人は、まず現在モーゲージのサービサーである銀行のモーゲージ・オフィサーに問い合わせてみるのが順当かもしれない。他のレンダーやブローカーとの比較検討ができるかどうかは、その人の状況次第。様々な理由でひとつの銀行に縛られてしまう場合、レートや手数料が高くなるのではという懸念もある。
その他
-セカンド・モーゲージ(頭金ローン、HELOC、Home Equity Loan等も含め)が存在する場合は、セカンド・モーゲージ・レンダーからリファイナンスとRe-subordinationの許可を得る必要がある。これがどれだけスムースに行くかはまだ未知数。
-HARP 2.0ではプライマリー・モーゲージとセカンド・モーゲージのコンソリデーションはできない。
-自宅(Owner-Occupied)だけでなく、セカンド・ホームや投資物件もこのHARP 2.0でリファイナンスすることは可能。しかし、審査基準や利子率は違ってくるかもしれない。
-PMI(Private Mortgage Insurance)を払っている場合は、それをリファイナンスした後のモーゲージに移行する必要がある。これもどれだけスムースに行くかはまだ分からない。おそらくPMIの種類と保険会社による。
セカンド・モーゲージとPMIは、HARP1.0では頻繁にリファイナンスの障害になったのだが、今回のプログラムの成功のためレンダーや保険会社に協力するよう、政府が圧力を掛けている様子。
全般に見ると、困窮したホームオーナーの救済というよりも、ともかくリファイナンスの奨励という印象のプログラムに変身したようだ。政府側が前回の失敗から学び、できる限りの改善をしたことは、業界人も認めている。あとは、銀行の出方次第というところ(Now, the ball is in the banks' court)。
**私は銀行員でもモーゲージの専門家でもないため、HARP 2.0についての質問すべてに答えられるわけではないので、それは予めご了承くださいね。個々の事情は色々だと思うので、モーゲージの現在のサービサーで ある銀行のモーゲージ・オフィサーやHARP2.0に詳しいモーゲージ・ブローカーに聞いて見るのが一番かと思います。ともかくは概要だけ。**
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