銀行の企業向け融資には、よく担保を要求される。苦肉の策を練って、ともかく価値のありそうな物をかき集めて担保に放り込むんだけど、意外な「物件」が担保に入っていたり、それが意外な場所に現れたりする。
ちょっと前(2009年)のニュースだけど、イタリア、エミリア=ロマーニャ州のチーズ製造業者が、パルメジャン・チーズを担保に入れて銀行から運用資金を借りているという話があった。といっても、私が子供の頃使ってたこれじゃなくて、本家本元のパルミジャーノ・レジアーノ。
銀行が気温・湿度を厳格管理する倉庫には、ひとつ35kgもする巨大チーズ・ウィール44万個が担保として保管されている。借り入れ期間はチーズの熟成期間に合わせて24ヶ月。
ローンが不履行になって、担保のチーズが差し押さえられたら、銀行員に現物給与するんじゃなくて、銀行が売って、もし利益が出たらメーカーに還元するとか。
イタリアでは、このパルミジャーノ担保制度にならい、生ハム(Prosciutto Crudo)や高級ワイン(Brunello di Montalcino)を担保に受け付ける銀行もでてきた。
ワインとかなら保存が利くけど、しかし、なんといっても難しいのは、生きてる担保。
農家が借りたローンに債務不履行すると、農場とともに担保に入っていた家畜が差し押さえられ、銀行が家畜の面倒まで見なきゃならないという展開もあるらしい。あまり手のかかる担保も困ったもんですね。
去年からニュースになっているけど、欧州のサッカーチームReal Madridの花形選手二人が 欧州中央銀行(ECB:European Central Bank)のローンの担保に入っている。
どうしてそんな事態が起きたかと言うと、まず、2009年、Real Madridは、スター選手Cristiano RonaldoとKakaの二人を他チームから引き抜き、地元の銀行 Caja Madridから75.5ミリオン・ユーロの借金をして、彼等の移籍費用を賄った(いかにもバブルっぽい話)。このローンの担保はずばりRonaldoとKakaの選手本人達。
その後Caja Madridはスペインの大手銀行Bankiaに吸収される。さらにBankia自体が破綻しかけて救済されたが、BankiaがECBに差し出した担保の中にCaja Madridから受け継いだローンが(この二人の選手の担保も含めて)入っていた。
万が一ECB がこの担保を差し押さえたらどうなるの?万が一でもそんな展開が実現するかどうかは分からないけど、メディアは色々と勝手な空想に浸っている。ECB の本拠地、フランクフルトのチームに移籍させる?いっそのこと、Team ECB なんてサッカーチームを作ったら、強そうじゃないですか。あ、でも、チームプレイが下手くそで、延長戦ばっかりだったりね。
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