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アメリカの学生ローン:概要

ポピー

時期的に大学進学費用の工面を考えている親子も多いと思うので、掲示板のMomoさんの投稿をきっかけに、アメリカのUndergraduate(学部生)向けの学生ローンの種類をまとめてみた。

*2013年7月から、連邦系学生ローンの金利は、毎年6月に、米国債10年利回りに一定%を上乗せする形で決定されることになりました。詳しい記述はこちらのブログ記事をご覧下さい。以下のブログ記事は、2013年7月時点での金利%を書いていますので、御注意下さい。*

まずは、アメリカの大学生(学部生)向けの政府系学生ローンで一番メジャーなStafford Loanから少し掘り下げてみたい。

1.学生本人が借りるStafford Loan

学生本人が借りるStafford Loanには、Subsidized Loanと、Unsubsidized Loanの2種類ある。

Subsidized Loanは、FAFSAを通して申請するFinancial Aid Packageの一部として大学からオファーされるもので、金利は固定3.86%(2013年7月現在)。また、学生が大学を出るまでの間は、政府が利息を払ってくれる。

Unsubsidized Loanは、(Subsidized Loanとは別に)学生本人が申し込むローンで、現在では金利は固定3.86%(2013年7月現在)。学生が大学を出るまでは支払い義務はないが、在学中も利息は元本に加算されていく(在学中に利息だけ払うオプションもある)。

Stafford Loanの借入可能額には上限があり、Dependent Studentの場合、

1年生 年$5500($3500)
2年生 年$6500($4500)
3年生 年$7500($5500)
4年生 年$7500($5500)

総額上限 $31000($23000)

まで借りられる(2013年7月現在)。括弧の前の数字は、Subsidized とUnsusidizedを合わせた上限額。括弧の中の数字は、Subsidized Loanの上限額。

また、学生の借りるStafford Loanには1%程のOrigination Feeが掛かる。

2013年7月から、Subsidized LoanとUnsubsidized Loanの金利差はなくなったので、主要な違いは在学中に利子が付くか付かないか。

Subsidized Loanは、卒業までは政府が利息を払ってくれる分、在学中は息抜きができる。親がいずれローンを肩代わりしてやるつもりでも、金利の付かないローンがあれば、親が支払い時期を選べるので便利な事が多い(例えば、親が学費工面のためにリタイアメント口座からお金を動かすことが、親のFAFSA申告所得を増やしてしまう時など)。

これら政府系の学生ローンは、支払い期間、支払い方法等にかなりの柔軟性があるのも大きな特徴。例えば就職が難航したり、失業したりした時に支払いを一時中止が出来たり、支払額を減らしたりすることが出来る。また、Income-Based Repayment Planもあれば、一定のPublic Service Jobに付きながら払う事で支払い義務を軽減してもらうプログラムも存在する。

2.親の借りる Parent PLUS Loan

親が子供の大学進学費用のために借りるParent PLUS Loanというのも存在する。これには親のクレジット審査があるが、子供の大学費用に使う限りは借りられる額に上限はない。金利は固定6.51%(2013年4月現在)と高めで、4%程のOrigination Feeがかかる。支払い義務は借り入れの60日後に始まる。

Parent PLUS Loanにも、親が失職した際の一時支払い停止や、親が死去した際の残額帳消しといった柔軟性がある。

3.プライベート(民間)の学生ローン

政府ローンで間に合わない場合、民間の会社から学生もしくは親が借りる学生ローンも存在する。大手ではSLM(Sallie Mae)といった会社が有名だし、他の銀行やレンダーも学生ローンを貸す所がある。

一般的にプライベートの学生ローンは、変動金利が主体。今は低金利時代なので、政府系の固定金利ローンよりも、民間の変動金利ローンの方が金利が低いこともある。しかし、金利の先行きは分からないので要注意。Origination Feeも民間系は政府系より高めになる。

プライベート学生ローンにはクレジット審査があり、金利やOrigination Feeはクレジット次第で違ってくるし、場合によってはCo-Signerを要求されることもある。

また、連邦政府系のローンにあるような支払い方法の柔軟性は、プライベート学生ローンにはほとんど期待できない。失業・疾患といった場合の支払い一時停止もできないことが多い。借り手が死去しても、遺産にクレームが付いたり、Co-Signerがそのまま支払い責任を負うこともある。

そういった支払い面の柔軟性では、民間系学生ローンと政府系学生ローンは、まったくの別物である。もし民間系学生ローンを利用する必要が出てきた場合、必ずローン契約書を細部まで理解しておきたい。

民間の学生ローンは、直接政府規制されていない分、不透明な部分がある。例えば、低金利の宣伝につられて申請してみたら、審査を経て実際に借り入れる時点では、宣伝の2倍超える金利になっていたという逸話もあったりする。

4.Perkins Loan

ファイナンシャル・ニーズの高い低所得世帯出身の学生にはPerkins Loanと呼ばれる政府系学生ローンがオファーされることがある。これもFAFSAを通して申請するFinancial Aid Packageの一部として大学からオファーされる(資金源は連邦政府だが、大学がローンの分配・サービサーを勤める)。

Perkins Loanは、Dependent Studentよりも、Independent Studentにオファーされることが多い。また、一人の学生にPerkins LoanとStafford Subsidized Loanが両方オファーされることもある。

Perkins Loanは固定金利5%(2013年7月現在)。大学在学中から大学を出た後9ヶ月間のGrace Periodの間は、政府が利息を払ってくれる。

借りられるPerkins Loanの上限額は各年$5500、卒業までの上限は$27500。

Origination Feeは掛からない。また、失業・疾患時等の支払い猶予等の柔軟性もある。

支払い責任

ご存知の方も多いだろうが、アメリカではBankruptcy(自己破産)を申請しても、学生ローンが減額されたりおチャラになることはまず無い。これは、学生ローンが政府系でも民間系でも同じこと。BankruptcyやForecolsureといった強引な遣り方で債務を逃れることがそう珍しく無いアメリカでも、学生ローンだけは厳格に守られている。

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