ネットをうろうろしている最中に、イギリスの不動産関連サイトを見つけた。自分の郵便番号もしくは街の名前を入れると、その地域の特徴を教えてくれるというもの。
これだけなら、「なんだ、そんなこと。」と思うかもしれないが、問題(?)はその内容である。
「この地域に住むのは、子供が成長して家から出て行ってしまったempty nesterが多く、街全体に成熟した雰囲気を与えている。ここの住民は銀行預金以外にしばしば株式にも投資しており、さらに家のローンは支払い終えている家庭が多い。この地域の住民が愛読する新聞はこれこれである。」
…アメリカの不動産関連サイトでここまで立ち入った情報を書いているところはないんじゃないかな。似たようなアメリカの不動産サイト(Multiple Listing Serviceではないもの)にはZillow.comがあるけれど、demographicの統計的数字は載せていても、それを文章にすることはしていない。
思うに、統計的数値そのものは客観的事実だから掲載することに問題がなくても、それを文章にしたとたん、どうしても書き手の主観が入り込む。(上の文章でも、「街全体に成熟した雰囲気云々」というのは主観的表現である。)アメリカではそのようなことをすれば必ず、「あなたのところのサイトの記事によって我が家の不動産価値が低下した。賠償しろ。」などという訴訟が起こるに決まっているので、数値は載せても文章にはしないようにしているのだろう。
これで思い出したのだけど、シカゴで家を探しているときに、ひやかしで入ったオープンハウスのエージェントに「この地域の学校はどう?」と尋ねたら、「ここがどの学区かは教えることはできるけれど、その学校の評判がどうこうということは言ってはいけない決まりになっている。必要なら自分で調べてほしい。」と言われてしまった。見終わってからカレーでも食べに行こうかということになり、これまたエージェントに「この近くでおいしいインド料理が食べられるのはどのあたりか?」と尋ねたら、「どの地域にどの人種がたくさん住んでいるなんて言ったら大問題になる。言えない。」の一点張り。いかにもアメリカらしいと言えばそれまでだけど。
コメントを追加