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三軒目の家(8)〜オファー

F Fries

いい加減飽きてきました?まだ続いてます。

さて、文句の多い同居人(どうせタイトルを持つのは私一人なんだから、同居人が反対したからってどういうわけでもないのだが、まあ、一緒に住んでる都合上、相手の好みも考慮に入れなきゃならない)とようやく意見の一致を見て、ミシガン湖から3ブロック、駐車スペースなしという変則的な物件を選んだら、次はオファーである。

はっきり言ってこの周辺の相場はほぼ知り尽くしているつもりだったが、念のため不動産エージェントのおっちゃんにcomp(同地域の似たような物件の最近の値段)を用意してもらった。

駐車スペースのない一軒家というのは、エバンストンといえども数はあまりないらしいが、見せられた値段はだいたい40万ドル代。わたしとしては絶対の基準はわたしの希望する家の売り主が買った値段(4年前)だと思っていたから、compを見ても、ああやっぱりね、くらいの印象でしかなかった。

昔だったら40万代後半で売りに出ている物件を5%以上ローボールなオファーを出すなんてことは考えもしなかったが(しかも時は不動産バブル最盛期の2004年末、エバンストンは一応人気エリア)、人間は年とともに厚かましくなるのか、クリーブランドでの損失が尾を引いているのか、まずは売値の15%引きあたりでオファーを入れてみるようエージェントに頼んだ。

エージェントのおっちゃんは、わたしがこんなに厚かましいとは思ってもいなかったのだろう、「本当にその値段でいいの?本当?本当?」と何度も聞き返した末にオファーの書類を用意してくれた。わたしが15%引きから始めた理由は、その値段なら向こうの買値をまだ上回っているからである。クリーブランドの家を売ったときは、最初のオファーがこちらの買値をうんと下回った額で、そこから何度かカウンターオファーを繰り返して損失を最小限に食い止めることができたが、その経験からして、買値を下回る額というのは売り手にとって心理的に非常に不愉快だが、買値を多少上回っていれば交渉してみようという余裕も出て来る。これで売り手から何の返事もなければこんなヤツとは交渉にすら値しないと売り手が判断したということで、これはこの家を諦めるだけのことである。それにこっちはこの家は通勤路にあるから、どれだけ長い間For Saleになっていたか、途中で一回看板を下ろして、また新しくFor Saleの看板を建て直したことまで知っている。おまけに冬場だから他に競争もないだろう。

一日たっても何の音沙汰もなかったので、やっぱり嫌われたのかなと思っていたら、二日目だか三日目だかに、売値より1万ドル低い額でカウンターオファーが入った。

「向こうは1万ドル下げてきたけど、どうする?少し上げてみる?」エージェントの言葉にもかかわらず、こちらが値をほとんど上げずに再オファーすると、売り手からの連絡は途絶えてしまった。

売り手から再び連絡が入ったのは年が明けてからだった。家を売りに出せば、今日は誰が見に来た、来週は誰が見に来るアポが入っているとエージェントが連絡してくるから、おそらくは他に家を見た人からオファーが入るのを待っていたのかもしれない。しかしそれが空振りだったのだろう。いつまでもFor Saleの物件を抱えてるよりは、さっさと売ってしまいたい、そんな心理だったに違いない。(周辺状況から見て、売り手はNorthwesternのKellogg Business SchoolのMBAに行ってたbusinessmanだったのではないかと思う。)なんじゃかんじゃ、すったもんだの挙げ句、最初の売値の約10%引きの値段でcontractが成立したのは2005年1月のことだった。

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