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アメリカ人と貯蓄

F Fries

今日のCNNにショッキングなニュースが!他のサイトにも配信されていたから見た人も多いと思うが、アメリカ人の43%が、一万ドル未満の貯蓄しか持っていないと!

ニュースというのはある程度ショッキングでないと売れないので、わざとこんな書き方をするのだろうけれど、これ、よく見ると、「25歳以上の勤労者の意見を調査した」とある。この「43%」の年齢別の内訳がどうなってるとかそういうことは、この記事では全くわからない。大体、25歳のときに真剣にリタイアメントのこと考えてる人ってどのくらい?

仕方がないからこの調査のにあたってみることにした。このレポートはなかなか面白いと思ったけれど、ちらりと見たところでは、「Social SecurityやMedicareの財源が枯渇するのを防ぐため、あなたはどういう手段を取るべきだと思いますか」という質問に対して、「給付額を下げる」とか、「税率を上げる」とかいう選択肢はあるのに、「課税対象の上限を上げる(もしくは上限を廃止する)」という選択肢はないのがわたしにはすごく不満だった。(ついでに「43%」の年齢別内訳はついに分らずじまいだった。)

アメリカ人の貯蓄率の低さは以前から指摘されている。現在ではリタイアメントプランといえば401kのようなdefined contribution planが主流だが、401kというのはそもそも一般人のリタイアメントのために考え出されたプランではないらしい。

ちょっと前まではアメリカ人の普通の勤め人のリタイアメントといえばペンション(年金)プランが多かった。401kというのは給料の一部を後でもらったことにして、当座の税金を減らそうというプランで、元々は高給を取る重役のための節税プランだった。それを一般勤労者にまで適用を広げてペンションプランの代替にするようになったのは80年代以降のことという。

雇用主にとって401kは比較にならないほど割安である。このサイトにそのあたりのことがうまくまとまっている。

This concept is much easier to grasp with an example. Let’s say that Joe worked for 30 years and earned $60,000 per year at retirement and that his employer’s policy is to provide a pension equal to 70% ($42,000 per year) of his highest income. If Joe retires and then lives another 30 years, the employer will have to pay him 30 X $42,000 = $1,260,000.

If, on the other hand, Joe’s company provides a 401K plan that matches 5% of his income the picture is quite different. For simplicity, let’s assume Joe earned $60,000 every year that he worked. Let’s say that the company pays $2,000 per year for various 401K plan administration expenses related to Joe’s account. In addition, they match 5% of his income, $3,000, in the plan for 30 years. The employer’s total liability for Joe’s retirement benefits is ($2,000 admin & support X 30 years ) + ($3,000 company match X 30 years) = $150,000.

年収6万ドルのジョーに退職後30年間、現役時代の7割のペンションを払った場合、雇用主の経費は$1,260,000。一方、401kなら5%のマッチをしても$150,000。被雇用者一人につきミリオンダラーの節約になるとなれば、雇用主がどちらを選ぶかは火を見るより明白。

プロが運営する(はずの)ペンションプランと言えど、リターンを上げるためにexoticな金融商品に手を出して、リーマンショックとともに奈落の底に突き落とされたものも少なからずあるし、鉄鋼やGMのように倒産してしまう例もある。そう考えると、わたしなどは他人に頼るよりは自分で貯蓄する方がまだ安心だと思うのだけど、この国には自分で貯蓄できない人が多いからこんな記事がデカデカと載るわけだし。

ついでに今日(3月9日)は今回の不況で株式市場がどん底をヒットした一周年だそうである。そう言えばブッシュ時代にSocial Securityを私営化して、株式に投資するという案がでていたけれど、ブッシュ時代の政策を擁護する人の間でも、この案を擁護する声は聞いたことがないなあ。貯蓄率の低いアメリカ人にとって、Social Securityは最後の頼みの綱である。ブッシュ案が通っていたら、Social Securityは今頃どうなってたことやら。

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