New York Timesから「あなたの意見をお聞かせください」というメールが来た。「所要時間20分」とあったので、ちょっと嫌な気がしたのだが、(向こうが「20分」と言ってくるアンケートは、たいてい非常に長い。)こういうものにはなるべく参加するようにしているので、指定のURLをクリックした。
アンケートの内容は、「あなたはどのようなメディアを通じてニュースを知りますか?」という質問から始まって、紙媒体の新聞、雑誌の購読の有無、ニュースにアクセスするのにどのような電子メディアを使っているか(デスクトップ、ラップトップ、スマートフォン、電子リーダー)、iPadを持っているか若しくは近いうちに購入する予定はあるか、どのようなニュースサイトを定期的に利用するか。
ここまでは言ってみればまあ、時候の挨拶みたいなもので、New York Timesが本当に知りたいのはここから先。
「nytimes.comは来年から有料になります。月$10ならあなたはアクセスしますか?」
これに「ノー」と答えたら、次は「$10の8割引ならアクセスしますか?」(何でこんな回りくどい言い方をせず、$2と書かないんだろう?)
「次の料金設定のうち、あなたが一番良いと思うものを選んでください。」
この料金設定の質問が延々と続いた。日曜版(紙媒体宅配)プラス電子版無制限で月$60とか、日曜版プラス電子版記事月に10本で$20とか(正確な設定、金額はよく覚えていない)、とにかくありとあらゆる組み合わせ、値段で、これでもか、これでもかと聞いてくる。しかもページによって、同じ組み合わせでも値段が違ったり。わたしは紙媒体の宅配購読料を払っている以上、電子版に追加料金を払う気は全くないので、「以上のどれでもない」と答えたかったのだが、そういう選択肢はなかったので、適当に安そうなのを選んでおいた。ちなみにうちは同居人が紙媒体を好むので、今のところ紙媒体なし、電子版オンリーという購読モデルは厳しい。
インターネットの普及で、従来のジャーナリズムが存亡の危機に立たされていることは理解している。無料のニュースサイト、ブログが山のようにあるとはいえ、それらの記事の中には、プロのジャーナリストの記事を焼き直しただけのもの、他人の取材を元にしたものが多いこともよくわかる。でも、わたしの個人的な意見を言わせてもらうと、すでに紙媒体にお金を払ってる読者に追加料金を払わせようというのはどうもいただけない。ついでに言うと、わたしはNew York Timesに限って言えば、紙媒体に印刷されている広告も好きなので、電子版にそれが一緒に含まれてきてもかまわない。むしろ、ネット用の変なおばちゃんがお尻を振ってる品のない広告より、ルイヴィトンやティファニーの広告の方がずっと気が利いていると思う。
イギリスのTimes(Murdochの新聞)は、有料化してから訪問者数が90%減ったらしい。しかし、一部にはこれは予想通りの数字で、訪問者数が激減しても、残った読者からお金を取る方が経営上は良いのだともいう。インターネットのおかげで外国の新聞、雑誌も送料、配達の遅れを気にすることなく読めるようになったのはありがたいのだが、いったん無料システムに慣れてしまうと、有料化されるとすごく損したような気になるのは否めない。
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