シカゴ大学の法学部教授が、「ブッシュ減税が期限切れで失効し、オバマが常々言ってるように、夫婦で所得が25万ドルを越える家庭は増税することになったら、自分たち夫婦は非常に困る。」旨のブログを書いたところ、経済関係のメジャーどころに取り上げられて大炎上。あげくのはてに本人は当該エントリーを削除し、ブログ断筆宣言まで出すはめになったそうである。
(日本語ではこの記事が詳しい。)
本人は「夫婦合わせると25万ドルのカットオフを越える」としか書いていないが、この記事を引用、批判した他のブロガーの試算では、夫婦の収入は合わせて45万ドル。(本人は後にこの数字を否定。)
元記事はもう削除されており、他所に引用されたものでしか読むことはできないが、まあ、25万ドルを越える収入があるのに、ブログみたいな公の場で大学教授が「お金がない」と書くのは、やっぱりその判断に誤りがあったと言わざるをえない。(アッパーミドルクラスは入るお金が増えた分、出るお金も多くなるから、気持ちはわからんではないが。)
元記事を批判する側も問題がないわけではない。自分の論点を強調するために、とかく推定年収をできるだけ高く設定しようという魂胆が丸見え。上にリンクを貼ったブログの記事では
* $60,000 in student loan payments
* $40,000 is employer contributions to 401(k) and similar retirement savings vehicles
* $15,000 is employer contributions to health insurance
* $60,000 is untaxed employee contributions to tax-favored retirement savings vehicles
* $25,000 building equity in their house
* $80,000 in state and federal income taxes
* $15,000 in property taxes
* $10,000 for automobiles
* $55,000 in housing costs for a $1M house (three times the average price in the Hyde Park neighborhood
* $60,000 in private school costs for three children
* $35,000 in other living expenses
と試算しているが、これを見てわかるよう、リタイアメントプランや健康保険の雇用主負担分も収入に入れて計算してるし、シカゴのハイドパーク地区の平均住宅価格の3倍の値段の家に住んでいる、というのも意地の悪いコメントだ。(ハイドパーク地区の平均住宅価格が30万ドルくらい、というのは、コンドミニアムを含めてのはず。)
しかし、夫婦合わせてstudent loanが50万ドルあるというのは相当痛いだろう。(法学部教授の奥さんは医者だそうだ。)NIHは医学部出身者を研究の道に勧誘するため、研究に進んだ医者のstudent loan免除プログラムを施行しているが、私大医学部の卒業生のかかえるstudent loanは、NIHが払ってくれるくらいの額(一年につき3万5千ドルまで)ではあまり足しにならないらしい。
(しかし、この元記事の教授、ちゃんと計算したわけではないが、合計45万ドルはないというのは本当だろうし、student loanやらmortgage interest やらいろんな控除入れたらtaxable incomeは25万ドル未満なんじゃないかという気がしてならない。)
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