人口の高齢化は、多くの社会で避けて通ることのできない問題となっている。年をとって介護が必要になった場合、どのようにして適切なケアを受けるか — アメリカでは必要な費用をカバーするために、長期介護保険 (Long-Term Care Insurance) というものが売られている。
11月は Long-Term Care Insurance Awareness Month とかいうことで、それに関する記事が New York Times にいくつか出ていたので紹介する。
- アンケート調査の結果によると、回答者の37パーセントがメディケアで介護費用がカバーされると思っていることが判明した。しかしこれは間違いである。確かにメディケアはナーシングホームのある種の費用をカバーするが、長期介護はカバーしない。
- 介護が必要となる確率。65歳以上で、長期介護保険をかけている人が、実際にこの保険を利用する確率はおよそ45パーセント。いったん介護を受けはじめると、3年以上介護を受ける確率は13.9パーセント。5年以上となる確率は4.3パーセントだそうだ。
- 自分の貯蓄で賄えるか?現在、ナーシングホームで個室に入ると、一日平均$299かかるそうだ。つまり一年で$83,595。最低これだけのキャッシュフローがなければ、保険なしでやっていけないということですね。ちなみに、この値段はこれから毎年5パーセントずつ上がるものと予想されている。自宅にヘルパーさんに来てもらう場合は、一時間あたり平均$21。
- メディケアではなく、メディケイドになると、ナーシングホームの費用がカバーされる。しかし、メディケイドの適用を受けるには、財産のほとんどを使ってしまう必要があるし、すべてのナーシングホームがメディケイドの患者を受け入れるわけではない。
- 子供にケアをしてもらう。親をナーシングホームに入れることを良しとしない文化もあるが、一般的に言って、大人のケアというのは大変なものである。
- 子供に介護費用を出してもらう。費用のことは前もってはっきりと話し合って、ちゃんと書面にしておかないと、とかくトラブルの種になる。その時点では金銭的に余裕があると思っていても、リーマンショックのときにように、あっという間に資産が激減することもある。
- 政府が面倒見てくれる。健康保険改革の一環として、一種の長期介護保険を政府が提供することになっているが、このプランの開始は早くて2012年。将来的にこのプランがどのように運営されるかは今のところ不明。
- 現在のコスト。一般的な長期介護保険の2010年前半期の掛け金は、年間$2180。この不景気の中、決してお安くない。
- 将来のコスト。実は長期介護保険の掛け金は、大幅な値上げに直面している。この詳細はその2へ。
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