AMT(Alternative Minimum Tax)は、所得の多い人向けに、控除可能項目を減らして実質増税するというシステム。Foreign Tax Credit(FTC)について書いたエントリでも簡単に触れた。
某知人からは「シリコンバレー勤めの普通のエンジニアの給与水準ならまず間違いなくAMTが課せられる」と聞いていたし、webでちょっと検索してみたところでもかなり多くの人が対象になるようなニュアンスの情報をよく見かける(これとかこれなど)ので、自分にも関係してくると覚悟していたが、TurboTaxに計算させてみたら結局対象外だった。
とはいえ、自分にとってはかなり重要なFTCの計算にも大きな影響を与える制度なので、どのくらいのラインに達するとAMTが関係してくるのかを知っておくことは重要だろう、ということでちょっと計算してみた。
結論からいえば、年収20万ドル超にでもならない限り関係ないと判明。幸か不幸か当分(一生?)縁はなさそうだ。
以下は具体的な計算の詳細。
話を簡単にするため、扶養家族なしの単身者で所得は給与所得のみ、項目別控除で控除できる要素は州税部分のみというケースを仮定する。州税についても簡単のためにざっくりAGIの8%で概算する。少し予備的に計算してみると、通常の連邦税の税率で33%の枠(課税対象所得16万4550ドル超)に入らない限りAMT対象にはならないようなので、その前提で計算する。
この場合、AMTでない方の連邦税は、
(AGI - 州税 - 人的控除) * 税率 - 超過累進調整部分 = (AGI - 0.08 * AGI - 3500) * 0.33 - 14249.25 = 0.92 * 0.33 * AGI - 15404.25
(AGI = Adjusted Gross Income, ここの仮定ではほぼ給与と同一視できる)
一方、AMTはForm 6251(instruction)にしたがって以下のように計算する。
(AGI - AMT控除額) * 0.28 - 3500 = (AGI - (46200 - (AGI - 112500) * 0.25)) * 0.28 - 3500 = 1.25 * 0.28 * AGI - 24311
この二つが等しくなるAGIは$191956。これ未満では通常の税額の方が高く、超えるとAMTの対象になる。さらに、401(k)拠出分(2008年だと最大$15500)は通常の税金・AMTともに控除対象にできるといったことも考えると、(額面で)年収20万ドル超になるようなことでもない限りAMTの心配はないと考えてよさそう(幸か不幸かそういう心配はまずなさそうだ…)。
扶養家族があるケースだと、人的控除の額が人数に比例して増えるのでAMTの対象になりやすくなるのかと思ってそのケースでも計算してみたが、結論にはあまり差はなかった(やはり20万ドルくらいの年収がないと対象にならない)。
「ほとんどの人が関係する」かのような噂はどうなってしまったのだろう…(自分の給料が安すぎるのか?)
コメントを追加