新年になり、今年も確定申告(tax return)のことを考えないといけない季節が迫ってきた。昨年はいろいろ例外的なtax eventが発生していたので、確定しているところから早めに準備しておこうとしたところ、驚愕の事実が発覚: なんと、これまで無料だったTaxActのfederal分が実質的に有料化されている!
以前のblogに書いた通り、筆者は、この分野では定番といわれるTurboTaxのひどいアコギぶりに嫌気がさして2010年からTaxActに乗り換えて以来、とても気に入って使っていた。なんといっても、”free”が本当に無料なのがよかった。IRSのほとんど、たぶん実用上はすべてのフォーム(かなりマイナーなものも含む)が無料版でも生成でき、efileまで無料で完了できたことに感動したものである。TurboTaxを含む他のベンダーも”federal free”などと謳っているが、筆者の知る限り(過去の)TaxAct以外の無料版は著しく制限のきついインチキである。
しかし、年が明けてTaxActのページにアクセスしてみると、商品ラインナップが大幅に変わっており、これまでの無料版に相当するのは”Plus“という$14.99の有料版のようである。”Free”は他社のインチキ無料版並の制限がついており、その上に”Basic”という$9.99版があるが、これも制限のないForm 1040が作成できないようなので論外である。
実際にファイルするまでは無料で使える(これは他社も大体同じ)ので、試しに”Plus”で一部項目を入力してみたところ、Form 1040を含め、作成したファイルをPDFの形で閲覧することはできるが、それを紙に印刷することはできない(パスワードでプロテクトされている)。”Filing”まで進めてみると、やはりクレジットカード情報を入力せよという画面になり、本当に有料化されているようである。
大変残念である。少し検索してみたところではどういう経緯でこうなったのかの情報は見つけられなかったが、もともとの無料版が、この品質のものを無料で提供してどうやって稼ぐのかと思わせるくらいよくできていたので、ある意味では仕方ないのかもしれない。2015年分の作業を開始したときにfeedback formが出てきたので、有料化されたことに「非常に失望した」と書いておいたが、(同じような声が多数あったとしても)それで方針が変わるということもないだろう。たとえ1セントでも、無料かどうかの差は非常に大きく、それで離れるユーザが相当数出ることは予想できるだろうから、その上で敢えて踏み切ったのならよほどの決断だろうと思えるからである。売り上げが思わしくなくて有料化せざるを得なかったのだとすると、これでユーザが離れてさらに売り上げが減り…という悪循環でいずれ潰れたりしないかも心配になってくる(まあ余計なお世話ではあるが)。
それでもたとえばTurboTaxに比べれば相当安い(state taxも含めて同等版同士を比較すると6割くらい安い)ので、他に有力な代替ツールが登場するまでは、筆者は今後もTaxActを使い続けるだろう。上記の通り、フォームの閲覧までは無料でできそう(余談ながら、大昔の記憶だと、TurboTaxはこの辺りもケチで、お金を払うまで閲覧すらさせてくれなかった)なので、それを紙に書き取って郵送すれば一応(郵便代以外)無料で作業が完了できそうだが、郵便事故を含めた各種エラーのリスクも怖いし、たかだか$15程度をケチるためにその手間をかける意味もないだろう(内容がごく簡単なのに何らかの事情でForm 1040を提出しないといけない、というような人ならひょっとすると考慮の余地があるかもしれないが)。
代替ツールという意味では、個人情報という魂を利用する代わりに無料で高品質のサービスを提供することで有名な某G社あたりが乗り出してくれないかと期待しているのだが…(tax returnの内容って某社にとっては垂涎ものの情報だと思うのだけど)。仮に某社がそのサービスを始めたとして、魂を売ってまで筆者自身がそれを使うかはわからないが、他社への価格圧力にはなってくれそうだ。(本当は、そういうツールを使わないと税金を収めるのも苦労するほど複雑怪奇な税制を放置し、それでいて納税者にはそういうツールを提供しないIRSというかアメリカ政府にこそ文句を言いたいが、それは別な話である)。
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