前回久々にハードコアなSub Cの話し(F型再編と事業継続要件)をしたついでに、もうひとつSub Cの話しをしたい。今回はD型再編で使用される現金対価(=Boot)が配当となるかどうかの判断をする際のE&Pの考え方に係るものだ。
*D型再編
D型再編というのはA型やC型同様に資産取得型(B 型のような株式取得型ではなく)だが、基本的にグループ内の再編に適用されるということ、場合によってはIRS側がD型再編を認定したがることがあること、持分継続の考え方がA型やC型と異なるため、株式以外のBoot(例、現金)を対価として使用し易いこと、などの点で特殊な非課税再編だ。
持分継続に関してはA型でもかなり弾力的だが(株式対価が40%あれば安全)、D型は更に凄くて「All Cash D」と言って、再編の対価が全て現金でもD型再編となり得ることがある。
*非課税再編とBoot
非課税再編の際に現金等のBootが利用されると、株主側でその現金をどのように取り扱うかという検討事項が発生する。まず、非課税再編で受け取るBootの基本的な考え方だが、Bootを受け取っても株式売却益(再編で手放すこととなる株式の含み益)の範囲でのみで株主は課税される。すなわち、非課税再編となる限り、どれだけ現金を受け取っても、株式売却益の範囲でのみで課税される。Bootの受け取りをキャピタルゲイン的に考えればこの点は納得がいく。
一方でBootの受け取りが実態として配当に近いケースもある。この点に関してはSec.356(a)(2)があるので、実質的に配当同様の効果を持つ場合には配当として処理される。どのようなケースが配当に当たるかに関しては株主の持分低下がどれほどのものかをお馴染みSec.302の考え方で図る。その図り方は最高裁判所のケースである「クラーク」の判例で明確にされている。
D型再編はグループ内再編であるからBootの受け取りは配当となることが多い。再編がらみのBootが通常の配当と比べて有利なのは、配当扱いされる金額は、上のキャピタルゲイン見合いのケース同様にあくまでも再編で手放す株式の「含み益」を上限としてのみ配当となるという点だ。これは一般に「Boot within Gain」と呼ばれる規定で、All Cash Dなどを利用して非課税で株主に現金を渡すプラニングに大いに利用されている。濫用が目立つことから、配当見合いとなる場合にはBoot全額を配当所得とするべき、という税法改正案が議会で審理されている(この点に関しては2009年11月11日のポスティング「All Cash D再編とオバマ国際課税改定」を参照)。
*誰のE&Pを見るか
米国では会社法上配当であっても、税務上は配当を支払う法人のE&P(税務上の剰余金のような考え方)の範囲のみで配当となる。
D型再編でBootを受け取り、手放した株式に含み益があり、したがってその範囲で配当となる場合に、再編のどの法人のE&Pを基に配当金額を決定するべきかという検討事項が発生する。一般的な取引であるにも係らず、この点は長らく専門家の議論の集中するところだ。IRSは再編のターゲット(消滅す方の法人)と存続法人の「双方」のE&Pを基に考えるべきというポジションを取っている。今回、公表されたCCA(Chief Counsel Advice)201032035でもIRSはこのポジションだ。
一方、専門家の間にはなぜ存続法人のE&Pまでも加算しなくてはいけないのかを疑問視する向きも多い。
*法律改正間近?
現時点では今回のCCAの決定、過去の同様のIRSのポジションは単なるIRS側の主張であり、その気になれば法的にチャレンジも可能であるが、上述の「Boot within Gain」の撤廃が法律化される暁には、双方のE&Pを取り込むべきというIRSの主張がそのまま法制化される可能性が高い。
ちなみに通常はE&Pは累計とCurrentのどちらかがあれば配当だが、確か、再編のSec.356目的では累計のE&Pのみを見ると理解している。
*D型再編
D型再編というのはA型やC型同様に資産取得型(B 型のような株式取得型ではなく)だが、基本的にグループ内の再編に適用されるということ、場合によってはIRS側がD型再編を認定したがることがあること、持分継続の考え方がA型やC型と異なるため、株式以外のBoot(例、現金)を対価として使用し易いこと、などの点で特殊な非課税再編だ。
持分継続に関してはA型でもかなり弾力的だが(株式対価が40%あれば安全)、D型は更に凄くて「All Cash D」と言って、再編の対価が全て現金でもD型再編となり得ることがある。
*非課税再編とBoot
非課税再編の際に現金等のBootが利用されると、株主側でその現金をどのように取り扱うかという検討事項が発生する。まず、非課税再編で受け取るBootの基本的な考え方だが、Bootを受け取っても株式売却益(再編で手放すこととなる株式の含み益)の範囲でのみで株主は課税される。すなわち、非課税再編となる限り、どれだけ現金を受け取っても、株式売却益の範囲でのみで課税される。Bootの受け取りをキャピタルゲイン的に考えればこの点は納得がいく。
一方でBootの受け取りが実態として配当に近いケースもある。この点に関してはSec.356(a)(2)があるので、実質的に配当同様の効果を持つ場合には配当として処理される。どのようなケースが配当に当たるかに関しては株主の持分低下がどれほどのものかをお馴染みSec.302の考え方で図る。その図り方は最高裁判所のケースである「クラーク」の判例で明確にされている。
D型再編はグループ内再編であるからBootの受け取りは配当となることが多い。再編がらみのBootが通常の配当と比べて有利なのは、配当扱いされる金額は、上のキャピタルゲイン見合いのケース同様にあくまでも再編で手放す株式の「含み益」を上限としてのみ配当となるという点だ。これは一般に「Boot within Gain」と呼ばれる規定で、All Cash Dなどを利用して非課税で株主に現金を渡すプラニングに大いに利用されている。濫用が目立つことから、配当見合いとなる場合にはBoot全額を配当所得とするべき、という税法改正案が議会で審理されている(この点に関しては2009年11月11日のポスティング「All Cash D再編とオバマ国際課税改定」を参照)。
*誰のE&Pを見るか
米国では会社法上配当であっても、税務上は配当を支払う法人のE&P(税務上の剰余金のような考え方)の範囲のみで配当となる。
D型再編でBootを受け取り、手放した株式に含み益があり、したがってその範囲で配当となる場合に、再編のどの法人のE&Pを基に配当金額を決定するべきかという検討事項が発生する。一般的な取引であるにも係らず、この点は長らく専門家の議論の集中するところだ。IRSは再編のターゲット(消滅す方の法人)と存続法人の「双方」のE&Pを基に考えるべきというポジションを取っている。今回、公表されたCCA(Chief Counsel Advice)201032035でもIRSはこのポジションだ。
一方、専門家の間にはなぜ存続法人のE&Pまでも加算しなくてはいけないのかを疑問視する向きも多い。
*法律改正間近?
現時点では今回のCCAの決定、過去の同様のIRSのポジションは単なるIRS側の主張であり、その気になれば法的にチャレンジも可能であるが、上述の「Boot within Gain」の撤廃が法律化される暁には、双方のE&Pを取り込むべきというIRSの主張がそのまま法制化される可能性が高い。
ちなみに通常はE&Pは累計とCurrentのどちらかがあれば配当だが、確か、再編のSec.356目的では累計のE&Pのみを見ると理解している。
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