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米国タックス行く年・来る年(1)過少資本最終規則はそのうち廃案(?)

2016年も早くも12月後半となってしまったけど、米国税務的にはいろいろと忙しい一年だった。トランプ政権の誕生で2017年は更にDisruptiveな一年となること確実だ。Disruptiveっていうのは最近ではPositiveな表現なようで、テクノロジーその他の進化が激しい中、Status Quoは認められないってことのようだ。

今回から数回、行く年来る年ということで2016年のハイライトそして2017年に注目のトレンドとかを個人的な視点からまとめてみたい。まず今回は2016年後半のおさらいから。

2017年から全くフォーカスの異なる新政権ということもあり、現財務省は2016年後半のこの期に及んで乱発的にかなりの数の規則を発行しまくっている。ここ2ヶ月位のスパンで見ても発行された規則の数、またその重要性の高さは凄まじい。さながらオバマ政権の花火大会終了直前のクライマックス連発打ち上げ花火のよう。花火と言えば、旧正月の香港ビクトリアハーバーのやつとか、NYCの独立記念日のも豪快でいいし、最近でこそ海外の花火もハイテクになったけど、やはり夏の河川敷きとかで企画される昔からの日本の花火大会のものが情緒深い。古くからの和火の影響で色が豊富で繊細さがあり球状で掛け星、と味がある。小さかった頃、多摩川大橋の辺でやってた花火大会をうちの2階にあった洗濯物干し場のバルコニーみたいなところから「アイスキャンディー」(米国で言うところのPopsicleです)食べながら見た日が懐かしい。

さて、ここ2~3ヶ月クライマックス花火シリーズで発行された規則を列挙してみるとその内容の充実振りが分かるだろう。過少資本の最終規則(Section 367)は今更言うまでもなく、12月にはKiller B系の取引に更に網をかけクロスボーダーの三角合併の扱いに大きな影響を与えるNotice(2016-73)、USドル以外の外貨を機能通貨としている支店等のQBUの為替差損益の認識を規定した暫定規則(Section 987)、スピンオフ+適格組織再編である「Morris Trust」取引に対する制限の更なる厳格化(Section 355)、Foreign Goodwillを非課税で外国法人に移管する適格出資や組織再編のシャットダウン(Section 367(d))、買収の合意に達しておきながらもっといいDeal(Superior Proposal)が出てきたりしてFiduciary Outに基いてClosingしない際にターゲットが買収を断念する側に支払う「Break Up Fee」の扱いに対する新たな指針(Section 1234A)、FTCを算定する際に海外の資産を米国で課税所得を認識することなくステップアップさせて人工的にHigh Tax Poolを作り出すCovered Asset Acquisition規則(Section 901(m))、デルタワンその他のEquityオプションに基く「配当」を源泉税対象とする規則(Section 871(m))、最近のポスティングで触れたホットドッフスタンドのスピンオフ規制(Section 355)など。

凄いラインアップだ。これをひとつひとつ解説など試みようものなら2017年が終わってしまいそうだ。オバマ政権の過剰規制は高税率と並び、ビジネス界で不評だったのでその意味ではトランプ政権誕生のひとつの理由となったとも言える。トランプ政権はオバマケア、ドッドフランクに代表されるこれら「悪法」90%を政権誕生100日以内に廃案にすると言ってくれていて頼もしい。

税法的には廃案を望む声が一番高いのはもちろんSection 385の過少資本最終規則だろう。個人的な予想だけど、過少資本最終規則は今の形では夏まで持たないのではないか、と推測(期待?)している。もしかしたらSection 1.385-2の文書化要件はそのまま残るかもしれないけど、Section 1.385-3の使途・Funding規定の部分はSection 385下で財務省にあんな規則を策定する権利が付与されているかどうか自体も怪しい上に、その内容たるやルービックキューブの色合わせをさせられているように膨大な数のピースを繋ぎ合わせて扱いを検討しないといけないとんでもない代物だ。518ページ読破した個人的にはそのまま在ってくれてアドバイスするのも知的な謎解きという観点だけからは悪くないかもしれないけど(Short-term Debt Instrumentの定義のところは除いて・・)、実際のビジネスの局面であのルールに対応させられるのは米国への投資意欲減となること間違いなく好ましくないほどこの上ない。

では本当にこんな発行ホヤホヤな規則を簡単に廃案にすることは現実的だろうか?その実現性に関する法的なフレームワークは次回。