まさかSection 163(j)の財務省規則案公表から2日後に今度はFTCの規則案が公表されるとは・・・。Section 163(j)のパススルーの部分とか連結納税グループ内の配賦とかの理解で時間を掛けている間に、ボリュームこそ312ページとSection 163(j)の439ページには至らないけど、その内容の複雑さ、というか従来の概念からの乖離度合いの観点から、Section 163(j)の数倍複雑怪奇と言っても過言ではない凄いものが出た。覚悟はしていたけど、余りに凄くてSection 163(j)読む時間がなくなったばかりか、FTCの方は読んでもなかなか従来の感覚から頭を切り替え難い部分が山積み。
前回始めたばかりのSection 163(j)のポスティングを続けるか、いきなり脱線してFTCに鞍替えするか、しばらく迷ってたけど、国際税務に係わる者としてFTCの誘惑には勝てない。という訳で、Section 163(j)はFTCをカバーした後にまた、戻ってくるのでそれまでお預けということにする。でもその間にBEATの規則案とか出ちゃうとそっちもカバーしないといけないし、年末年始はどうなることか。CAとか行くと外に行きたくなるから、今回はNYCで財務省規則三昧のお正月にするのがいいかもね。NYCはまあまあ寒くなってきて、東京だったら真冬の一番寒い日くらいの気温の毎日だけど、こんなのはNYCとしてはまだまだ。でもマンハッタンの冬は、特に天気のいい日は寒いとは言えピシッと気が引き締まって気持がいい。今日は週末だったんで、朝からMadison Square Parkの辺にパンを買いに行ったんだけど、朝で道も空いてて、ついついMidtown EastからFDRを南にグルっと回ってバッテリートンネル経由、Westside Highwayに出て、西からMidtownのFlatironに戻るような遠周りをしたくなってしまった。週末のマンハッタンは、短時間の違法駐車も含めて(?)車止め放題だし。パン買って、Gasoline Alleyでカプチーノ買って、財務省規則読んで(笑)、いい感じの土曜日の朝でした。
で、FTCにしても、他の規則案にしても、規則「案」(=Proposed)っていうのはあくまでその名の通り草案なので、法的効果もないし、内容自体、最終化される際に変更がある。FTCの規則案を読んでて思うけど、これだけ複雑なものを財務省やIRSが限られた時間内で際どい判断を下した結果の集大成としての規則案パッケージなので、最終化の暁には結構異なる姿に生まれ変わる可能性は大きい。
FTCの規則案が複雑となる背景には、今回の税制改正が基本的に米国クロスボーダー中心の改正であり、クロスボーダー課税のあり方を根本的に変えてしまったという点が挙げられる。しかも一から書き換えるのではなく、既存の法律の上に大量の新しい規則をダンプしたもんだから、より難しい法律となっている。1年前の今頃は、税制改正可決前夜で、米国も単にテリトリアル課税になって、間接税額控除が撤廃で終わりなのかな~って単純に考えていた。蓋を開けてみてビックリ。海外留保所得一括課税に始まり、グローバル連結納税とでも言える恐怖のGILTI合算課税、海外源泉配当に対する100%配当控除、米国法人税率の21%への引き下げ、Subpart F所得合算課税や少し前に触れたSection 956のは温存、と余りに新しい概念にその全体像の把握に皆数カ月を要する状況だった。これだけクロスボーダー課税のあり方が変わってしまっては、FTCも大幅な見直しを強いられる。
特にこれからはGILTI合算課税で毎期多くの国外所得を米国で強制合算させられ、その弊害を最小限とする唯一の手段は他でもないFTCということになる。BEATにでも引っかかってしまうと、FTCの効果は帳消しだから、CFCを多く持つ米国MNCは詳細なモデリングを通じた定量分析に明け暮れる毎日だろう。
財務省規則の内容は次回から少し時間を掛けて説明したいけど、取りあえず特筆するべき点をいくつか挙げておくと、GILTI合算でSection 78グロスアップされる法人税額は、法文をそのまま読むとGeneralバスケットに行くけど、規則案ではGILTIバスケットに属するとしてくれている点。「くれている」というと全員に有利な感じがしてしまうけど、この額がGILTIバスケットになるのがいいか、Generalバスケットになるのがいいかは個々の納税者のFTCポジション次第。
一方、米国株主がCFCから受け取る配当、利子、賃貸料、ロイヤルティーはLook-Through規定があるけど、結構期待されていたCFCのTested IncomeにLook-throughして、結果として米国株主が受け取るこれらの所得をGILTIバスケットに帰属させるという案は認められていない。
ということでFTCは相当テクニカルなので乞うご期待。
前回始めたばかりのSection 163(j)のポスティングを続けるか、いきなり脱線してFTCに鞍替えするか、しばらく迷ってたけど、国際税務に係わる者としてFTCの誘惑には勝てない。という訳で、Section 163(j)はFTCをカバーした後にまた、戻ってくるのでそれまでお預けということにする。でもその間にBEATの規則案とか出ちゃうとそっちもカバーしないといけないし、年末年始はどうなることか。CAとか行くと外に行きたくなるから、今回はNYCで財務省規則三昧のお正月にするのがいいかもね。NYCはまあまあ寒くなってきて、東京だったら真冬の一番寒い日くらいの気温の毎日だけど、こんなのはNYCとしてはまだまだ。でもマンハッタンの冬は、特に天気のいい日は寒いとは言えピシッと気が引き締まって気持がいい。今日は週末だったんで、朝からMadison Square Parkの辺にパンを買いに行ったんだけど、朝で道も空いてて、ついついMidtown EastからFDRを南にグルっと回ってバッテリートンネル経由、Westside Highwayに出て、西からMidtownのFlatironに戻るような遠周りをしたくなってしまった。週末のマンハッタンは、短時間の違法駐車も含めて(?)車止め放題だし。パン買って、Gasoline Alleyでカプチーノ買って、財務省規則読んで(笑)、いい感じの土曜日の朝でした。
で、FTCにしても、他の規則案にしても、規則「案」(=Proposed)っていうのはあくまでその名の通り草案なので、法的効果もないし、内容自体、最終化される際に変更がある。FTCの規則案を読んでて思うけど、これだけ複雑なものを財務省やIRSが限られた時間内で際どい判断を下した結果の集大成としての規則案パッケージなので、最終化の暁には結構異なる姿に生まれ変わる可能性は大きい。
FTCの規則案が複雑となる背景には、今回の税制改正が基本的に米国クロスボーダー中心の改正であり、クロスボーダー課税のあり方を根本的に変えてしまったという点が挙げられる。しかも一から書き換えるのではなく、既存の法律の上に大量の新しい規則をダンプしたもんだから、より難しい法律となっている。1年前の今頃は、税制改正可決前夜で、米国も単にテリトリアル課税になって、間接税額控除が撤廃で終わりなのかな~って単純に考えていた。蓋を開けてみてビックリ。海外留保所得一括課税に始まり、グローバル連結納税とでも言える恐怖のGILTI合算課税、海外源泉配当に対する100%配当控除、米国法人税率の21%への引き下げ、Subpart F所得合算課税や少し前に触れたSection 956のは温存、と余りに新しい概念にその全体像の把握に皆数カ月を要する状況だった。これだけクロスボーダー課税のあり方が変わってしまっては、FTCも大幅な見直しを強いられる。
特にこれからはGILTI合算課税で毎期多くの国外所得を米国で強制合算させられ、その弊害を最小限とする唯一の手段は他でもないFTCということになる。BEATにでも引っかかってしまうと、FTCの効果は帳消しだから、CFCを多く持つ米国MNCは詳細なモデリングを通じた定量分析に明け暮れる毎日だろう。
財務省規則の内容は次回から少し時間を掛けて説明したいけど、取りあえず特筆するべき点をいくつか挙げておくと、GILTI合算でSection 78グロスアップされる法人税額は、法文をそのまま読むとGeneralバスケットに行くけど、規則案ではGILTIバスケットに属するとしてくれている点。「くれている」というと全員に有利な感じがしてしまうけど、この額がGILTIバスケットになるのがいいか、Generalバスケットになるのがいいかは個々の納税者のFTCポジション次第。
一方、米国株主がCFCから受け取る配当、利子、賃貸料、ロイヤルティーはLook-Through規定があるけど、結構期待されていたCFCのTested IncomeにLook-throughして、結果として米国株主が受け取るこれらの所得をGILTIバスケットに帰属させるという案は認められていない。
ということでFTCは相当テクニカルなので乞うご期待。
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