前回のポスティングでは遂に最終化されたGILTI財務省規則の、HTE規定をメインに触れたけど、これだけ濃厚な規則や規則案が連発されると、全てを消化するのには一日48時間、週に8日(Eight Days a Week – 何か分かるね?)通して規定を読むばかりでなく、内容を良く考え、理解し続ける必要がある。規則や法律の一語一句が全てDeep。余りにDeepなので、規則の理解はEast Riverから朝日が昇ってくる前の早朝4時とかにDeep House聴きながらSpikeしたコーヒーを手に立ち向かうのがベスト。僕がその昔馴染んだ元祖シカゴのHouseはBPMがだいたい125強くらいのスピードでノンストップ系だった。その後House Musicも進化し、ProgressiveとかDeepとかいろいろなサブジャンルに細分化されているけど、BPM120くらいで若干スローなDeepは規則読む際のBGM(ここはBPMじゃないからね)にピッタリ。モーツァルト効果改めDeep House効果で記憶も鮮明(本当?)。TechnicsのDirect Driveターンテーブルを30年以上(40年?)愛用しているので体にBPM感が染みついちゃってる感じ。もし、そんな昔からSubchapter Nの規則とか読み続けてたら、クロスボーダー課税ももっと体に染みついてただろうに残念。でもNever too late。
もう昔と違ってBrooklynのTBAとか行く歳でもないし、HouseとかAcid Jazz系の曲は自宅で静かに聴くのがベスト。この手のジャンルは個人的にはNYC用。西海岸に居る時は、どちらかと言うともう少しJazzyな94.7Waveでエアされているようなタイプとか、下手するとTop 40系の気分。
ちなみにTech-Houseは・・、とかどうでもいい話しに脱線し過ぎる前に約束通り、米国パートナーシップとGILTI、更に米国クロスボーダー課税一般の話しに軌道修正します。
まずは「おさらい」だけど、米国「税務上」パートナーシップと取り扱われる主体に関して。この点は日本企業には未だによく理解されていないように感じることが多い。米国税務上のパートナーシップは広範だ。LLC、LP、LLP、LLLP、とか法的(税法ではなく会社法的)に組成されている主体はもとより、事業または投資目的と認定される信託、さらに事実関係に基づき複数の者がネット利益を協働して追い求めていると認定されるJVやコラボ契約、これらは税務上一派一絡げに「事業主体(Business Entity)」という位置づけとなる。事業主体と認定される主体は、次にパススルー課税または法人課税のいずれか一方の課税関係に区分されるけど、財務省規則に名指しで列挙されている「米国税務上Corporationとしてのみ取り扱いが認められる特定の主体(例、米国の州法で設立されるCorporation、日本だと株式会社)」を除き、区分は納税者側で任意に選択することが認められる。これが前代未聞、クロスボーダー課税のプラニングを一から書き直した1997年のCheck-the-Box規定と言う名のギネス級Inventionだ。それ以前の区分はRulingベースで、まあ実質任意に選択が可能な状態に近かったので、CTBはそれを制度化して面倒な手続きを廃止した「いよっ 財務省!」とでも言うべき画期的なもの。まさかここまでCTBがクロスボーダー課税のプラニングに利用され尽くされるっていうのは1997年当時では想定されていなかったのだろう。
上述した「Corporationにしか区分できな特定の主体」として列挙されていない限り、CTBの選択は米国内外の主体を問わずに適用される。何の選択も行わない場合には、デフォルトの取り扱いが規定されており、米国内の主体であれば通常パススルー、外国の主体はオーナーの有限・無限責任の法的位置づけに基づきデフォルトが変わる。
で、パススルーとなり複数のオーナーが存在する場合には米国税務上、全てパートナーシップとなる。その際、元々会社法上の主体のタイプがLLCでも、LPでも、契約に基づく事実関係に基づくアレンジでも、税務上は全く関係ない。もちろん、パートナーシップと取り扱う上でオーナーの権利関係は実際の法的アレンジに基づくので、所得や負債の配賦計算とかは主体のタイプ、個々の契約により異なるけど、ポイントは一旦事業主体と認定され、パススルー課税扱いになり、複数のオーナーが存在する場合には、全て無差別にパートナーシップ税法、Sub Kの管轄となるという点。
で、税務上のパートナーシップは米国会社法その他の米国法制度に基づき組成されている場合には米国パートナーシップになり、他は外国パートナーシップと区分される。LLCとかLPとか州の会社法に基づいて登記されているような主体はどこのパートナーシップか分かり易いけど、国外の法人が米国外でJV契約とかして、米国も含む複数の国で事業展開するようなアレンジが米国税務上のパートナーシップとなるケースは、米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのか、という区分は必ずしも容易ではない。まあ、グッドニュースがあるとすれば、米国パートナーシップでも、外国パートナーシップでも、レポーティング法とか除くと、最終的な課税関係は原則余り変わらないという点だろうか。すなわち、パートナーシップは課税主体ではないので、そこで認識される所得はオーナーに配賦(パススルー)され、オーナーが自分のタックスポジションと通算して米国の税金を支払う。パートナー自身が米国人(米国法人含む)であれば、米国パートナーシップでも外国パートナーシップでも、またどこから所得を得ていても、配賦される所得は基本全額課税対象。一方、パートナー自身が外国人(外国法人含む)であれば、パートナーシップが認識する所得のパートナーへの配賦額のうちECI部分に関してのみ米国での課税関係が発生する。この取り扱いもパートナーシップそのものが米国パートナーシップなのか外国パートナーシップは関係なく同じ。外国人パートナーが条約居住者で、適用しようとする条約に規定されているLOBを充足し、さらにHybrid規定に基づき条約の特典が与えられるケースでは、ECIではなくパートナーシップから配賦される所得の米国PE帰属部分に関して米国の課税関係が発生する。ECIがあるかないか、PEに帰属する所得があるかないか、はパートナーシップ側の米国事業、施設等を全てパートナーに帰して、米国税務風に言うとAttributeして、検討することになる。
なかなかDeepになってきてるけど、これらの処理だけでも一冊本になるほどDeeper。相変わらず米国タックスにはDeep Houseが良く似合う(?)。
で、このように米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのかっていうのは通常、余り大きなインパクトを持たないことが多いんだけど、米国のアウトバウンド系のクロスボーダー課税に関しては、この違いが大きくものを言うことになる。クロスボーダー課税適用時の、米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのかにより取り扱いの差異はチョッと恣意的だ。ここからはさらにDeeper and deeper。
従来のCFC課税で、Subpart F所得の合算が求められる者は「CFCの米国株主」と規定されている。双方とも税法上、定義されている用語で、米国株主とはまず「Person」で、そのPersonが米国Personであり、外国法人の議決権、価値のいずれかに関して最低10%の持分を保有している者をいう。CFCはこの定義に当てはまる米国株主が合わせて50%超の議決権または価値(この価値の部分は2017年の税制改正で追加された規定)を保有する外国法人のことを言う。なので、EYのNYC事務所のみんなには口酸っぱく言っているけど、まずCFCを決めてその後米国株主を決めるような本末転倒な分析をしないように。米国株主が決まらないと外国法人がCFCかどうかも決まらない。その後、実際にCFCからSubpart FやGILTIを誰が合算するのかは、必ずしも米国株主の定義そのものと同じではなく、米国株主のうち「合算持分」を持つInclusion株主を特定する必要がある。米国税法で言うところのSection 958(a)株主というカテゴリーだ。で誰が合算するか判明したら、次にいくら合算する必要があるかをPro-rata持分という難しいコンセプトを適用する。ここまで来て、ようやく合算に漕ぎつけることができる。
で、問題は従来のCFC課税制度のルール、すなわちGILTIにも流用される予定のルールでは、米国パートナーシップがCFCを保有している場合、パートナーシップは税法上「Person」と定義されることから、パートナーシップが米国パートナーシップの場合、米国Personになり、パートナーシップそのものが10%以上の持分を保有している場合には、「米国株主」と位置付けられ、外国法人がCFCの場合には、パートナーシップそのものがSubpart F所得を認識し、パートナーに合算課税対象額を配賦する仕組みとなっている点だ。一方で外国パートナーシップは基本Look-throughされるので、この点に関してパートナーシップが米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのか、という点に基づく取り扱いが大きく異なる。GITLI合算も、原則Subpart F所得の合算に係わる法的枠組みを踏襲して行うと規定されているので、そのままにしておくと、米国パートナーシップそのものがGILTI合算計算を行うことになってしまう。一方でGILTIはSubpart F所得のようにCFC側の属性がそのままPull-Upされるのではなく、Tested IncomeやTested Loss、QBAI等のCFC側で認識される属性を米国株主側で加工する米国側の属性となので、米国株主が保有する全CFCからの金額を通算してGILTI合算額を確定するという新たな法的フレームワークに基づく新コンセプト。さらにGILTI控除(税率を21%から10.5%とするための合算額の50%の想定控除)やGILTI間接税額控除は法的に米国法人のみに認められるため、パートナーシップが米国株主としてGILTI合算算定を行うと、GILTI控除も外国税額控除も認められず、GILTI合算額がそのまま米国法人パートナーに配賦されるという不都合が起こる。
この点を大胆かつ高尚な提案で解決しようとしたのが2018年9月に公表されていた財務省規則案のハイブリッドアプローチだった。さて、このような高尚なポリシーコールに最終規則ではどのような運命が待ち受けていたか?長くなってきたのでここからは次回。
もう昔と違ってBrooklynのTBAとか行く歳でもないし、HouseとかAcid Jazz系の曲は自宅で静かに聴くのがベスト。この手のジャンルは個人的にはNYC用。西海岸に居る時は、どちらかと言うともう少しJazzyな94.7Waveでエアされているようなタイプとか、下手するとTop 40系の気分。
ちなみにTech-Houseは・・、とかどうでもいい話しに脱線し過ぎる前に約束通り、米国パートナーシップとGILTI、更に米国クロスボーダー課税一般の話しに軌道修正します。
まずは「おさらい」だけど、米国「税務上」パートナーシップと取り扱われる主体に関して。この点は日本企業には未だによく理解されていないように感じることが多い。米国税務上のパートナーシップは広範だ。LLC、LP、LLP、LLLP、とか法的(税法ではなく会社法的)に組成されている主体はもとより、事業または投資目的と認定される信託、さらに事実関係に基づき複数の者がネット利益を協働して追い求めていると認定されるJVやコラボ契約、これらは税務上一派一絡げに「事業主体(Business Entity)」という位置づけとなる。事業主体と認定される主体は、次にパススルー課税または法人課税のいずれか一方の課税関係に区分されるけど、財務省規則に名指しで列挙されている「米国税務上Corporationとしてのみ取り扱いが認められる特定の主体(例、米国の州法で設立されるCorporation、日本だと株式会社)」を除き、区分は納税者側で任意に選択することが認められる。これが前代未聞、クロスボーダー課税のプラニングを一から書き直した1997年のCheck-the-Box規定と言う名のギネス級Inventionだ。それ以前の区分はRulingベースで、まあ実質任意に選択が可能な状態に近かったので、CTBはそれを制度化して面倒な手続きを廃止した「いよっ 財務省!」とでも言うべき画期的なもの。まさかここまでCTBがクロスボーダー課税のプラニングに利用され尽くされるっていうのは1997年当時では想定されていなかったのだろう。
上述した「Corporationにしか区分できな特定の主体」として列挙されていない限り、CTBの選択は米国内外の主体を問わずに適用される。何の選択も行わない場合には、デフォルトの取り扱いが規定されており、米国内の主体であれば通常パススルー、外国の主体はオーナーの有限・無限責任の法的位置づけに基づきデフォルトが変わる。
で、パススルーとなり複数のオーナーが存在する場合には米国税務上、全てパートナーシップとなる。その際、元々会社法上の主体のタイプがLLCでも、LPでも、契約に基づく事実関係に基づくアレンジでも、税務上は全く関係ない。もちろん、パートナーシップと取り扱う上でオーナーの権利関係は実際の法的アレンジに基づくので、所得や負債の配賦計算とかは主体のタイプ、個々の契約により異なるけど、ポイントは一旦事業主体と認定され、パススルー課税扱いになり、複数のオーナーが存在する場合には、全て無差別にパートナーシップ税法、Sub Kの管轄となるという点。
で、税務上のパートナーシップは米国会社法その他の米国法制度に基づき組成されている場合には米国パートナーシップになり、他は外国パートナーシップと区分される。LLCとかLPとか州の会社法に基づいて登記されているような主体はどこのパートナーシップか分かり易いけど、国外の法人が米国外でJV契約とかして、米国も含む複数の国で事業展開するようなアレンジが米国税務上のパートナーシップとなるケースは、米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのか、という区分は必ずしも容易ではない。まあ、グッドニュースがあるとすれば、米国パートナーシップでも、外国パートナーシップでも、レポーティング法とか除くと、最終的な課税関係は原則余り変わらないという点だろうか。すなわち、パートナーシップは課税主体ではないので、そこで認識される所得はオーナーに配賦(パススルー)され、オーナーが自分のタックスポジションと通算して米国の税金を支払う。パートナー自身が米国人(米国法人含む)であれば、米国パートナーシップでも外国パートナーシップでも、またどこから所得を得ていても、配賦される所得は基本全額課税対象。一方、パートナー自身が外国人(外国法人含む)であれば、パートナーシップが認識する所得のパートナーへの配賦額のうちECI部分に関してのみ米国での課税関係が発生する。この取り扱いもパートナーシップそのものが米国パートナーシップなのか外国パートナーシップは関係なく同じ。外国人パートナーが条約居住者で、適用しようとする条約に規定されているLOBを充足し、さらにHybrid規定に基づき条約の特典が与えられるケースでは、ECIではなくパートナーシップから配賦される所得の米国PE帰属部分に関して米国の課税関係が発生する。ECIがあるかないか、PEに帰属する所得があるかないか、はパートナーシップ側の米国事業、施設等を全てパートナーに帰して、米国税務風に言うとAttributeして、検討することになる。
なかなかDeepになってきてるけど、これらの処理だけでも一冊本になるほどDeeper。相変わらず米国タックスにはDeep Houseが良く似合う(?)。
で、このように米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのかっていうのは通常、余り大きなインパクトを持たないことが多いんだけど、米国のアウトバウンド系のクロスボーダー課税に関しては、この違いが大きくものを言うことになる。クロスボーダー課税適用時の、米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのかにより取り扱いの差異はチョッと恣意的だ。ここからはさらにDeeper and deeper。
従来のCFC課税で、Subpart F所得の合算が求められる者は「CFCの米国株主」と規定されている。双方とも税法上、定義されている用語で、米国株主とはまず「Person」で、そのPersonが米国Personであり、外国法人の議決権、価値のいずれかに関して最低10%の持分を保有している者をいう。CFCはこの定義に当てはまる米国株主が合わせて50%超の議決権または価値(この価値の部分は2017年の税制改正で追加された規定)を保有する外国法人のことを言う。なので、EYのNYC事務所のみんなには口酸っぱく言っているけど、まずCFCを決めてその後米国株主を決めるような本末転倒な分析をしないように。米国株主が決まらないと外国法人がCFCかどうかも決まらない。その後、実際にCFCからSubpart FやGILTIを誰が合算するのかは、必ずしも米国株主の定義そのものと同じではなく、米国株主のうち「合算持分」を持つInclusion株主を特定する必要がある。米国税法で言うところのSection 958(a)株主というカテゴリーだ。で誰が合算するか判明したら、次にいくら合算する必要があるかをPro-rata持分という難しいコンセプトを適用する。ここまで来て、ようやく合算に漕ぎつけることができる。
で、問題は従来のCFC課税制度のルール、すなわちGILTIにも流用される予定のルールでは、米国パートナーシップがCFCを保有している場合、パートナーシップは税法上「Person」と定義されることから、パートナーシップが米国パートナーシップの場合、米国Personになり、パートナーシップそのものが10%以上の持分を保有している場合には、「米国株主」と位置付けられ、外国法人がCFCの場合には、パートナーシップそのものがSubpart F所得を認識し、パートナーに合算課税対象額を配賦する仕組みとなっている点だ。一方で外国パートナーシップは基本Look-throughされるので、この点に関してパートナーシップが米国パートナーシップなのか外国パートナーシップなのか、という点に基づく取り扱いが大きく異なる。GITLI合算も、原則Subpart F所得の合算に係わる法的枠組みを踏襲して行うと規定されているので、そのままにしておくと、米国パートナーシップそのものがGILTI合算計算を行うことになってしまう。一方でGILTIはSubpart F所得のようにCFC側の属性がそのままPull-Upされるのではなく、Tested IncomeやTested Loss、QBAI等のCFC側で認識される属性を米国株主側で加工する米国側の属性となので、米国株主が保有する全CFCからの金額を通算してGILTI合算額を確定するという新たな法的フレームワークに基づく新コンセプト。さらにGILTI控除(税率を21%から10.5%とするための合算額の50%の想定控除)やGILTI間接税額控除は法的に米国法人のみに認められるため、パートナーシップが米国株主としてGILTI合算算定を行うと、GILTI控除も外国税額控除も認められず、GILTI合算額がそのまま米国法人パートナーに配賦されるという不都合が起こる。
この点を大胆かつ高尚な提案で解決しようとしたのが2018年9月に公表されていた財務省規則案のハイブリッドアプローチだった。さて、このような高尚なポリシーコールに最終規則ではどのような運命が待ち受けていたか?長くなってきたのでここからは次回。
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