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BEAT財務省最終規則 (2)

Max Hata
という訳で342ページ飛ばして読んでみたけど、多岐に亘り過ぎていてどこから話したいいものか。特に大きなSurpriseはなかったけど、関心が高そうなポイントをいくつか挙げると次の通り。

BEATそのものは各納税者、連結納税グループの場合には連結納税グループ単位で計算するんだけど、そもそも自分がBEAT適用対象になるかどうかっていう判断は基本50%超の資本関係にある「特定グループメンバー」を合算して行う。すなわち過去3年売上が$500Mでしたか、とBase Erosion%が3%ですか、の2つの計算だけは特定グループ単位で行うことが強制される。

で、特定グループ内に異なる課税年度を持つメンバーが存在する場合、規則案では、他の特定グループメンバーの決算期にかかわらず、適用対象判断を行う法人の決算期に合わせて金額を確定するっていう面倒な規定になっていて、実際に2019年3月期に申告書作成に関して既にそのような情報収集をしてしまったんだけど、最終規則ではこの部分は変更。

最終的には適用対象判断を行う法人の課税年度と同時にまたは年度内に終了する特定グループメンバーの課税年度の数字を合算して計算することになった。例えば、3月決算の法人の特定グループ内に12月決算のメンバーが居たりすると、BEATになるかどうかは各々がグループの数字を取り込んで算定するので、2020年3月期に自分が適用対象かどうか決める場合、12月決算のメンバーの2019年12月期の売上、費用、やBase Erosion Paymentを合算することにな。一方、12月決算の法人にしてみると、例えば自分が2020年12月期にBEAT適用対象になるかどうかを決める際、3月決算メンバーの2020年3月期の数字を合算することなる。まあ吉報と言えるけど、できればもう少し早く決めて欲しかったけどね。

次に結構期待されていて空振りに終った規定として、支払先の国外関連者がCFCの場合の取り扱い。支払いを受け取る外国関連者が受取額を米国支店として課税所得処理しているケースはBase Erosion Paymentではない、っていう点は規則案でも確認済みだったけど、CFCが支払いを受け取るケースも受取額はTested Incomeの一部を構成し、最終的にGILTIとなったりするので、同じようにBase Erosion Paymentから除外できないものか、という希望が存在していた。最終規則ではECIと異なり、GILTIはCFC自身に対する課税ではない点、また受け取る金額と最終的にGILTIとして米国で課税される金額の間に多くの処理が入り、直接的な関係が見え難い点を理由にバッサリ却下されている。

次はある程度予想通りだけど、規則案でビックリした取り扱いの一つに適格出資、適格清算、組織再編等を通じた外国関連者からの資産取得もBase Erosion Paymentになるというもの。最終規則では一転、これらの取引は対価が株式の範囲でBase Erosion Paymentにはならないとしている。もちろんBootを交付する場合にはその部分は引き続きBase Erosion Payment。

後、Good NewsだったのはPE帰属所得の算定を、米国税法ベースではなく資産、リスク、機能を参照した独立企業ベース、いわゆるAOAで算定する場合のBase Erosion Paymentの考え方。AOAでみなし計上される費用、特に支払利息は、実際に本店が対外的に支出している費用の配賦ではないことから、規則案ではInternal Dealingsとして全額Base Erosion Paymentになる得るような規定になっていた。最終規則では、支払利息に関しては、米国税法下の処理とハイブリッドアプローチとし、米国税法の1.882-5(金融やっている人は良く分かるね?)の範囲では1.882-5に適用されるTracingの考え方を適用してBase Erosion Paymentかどうかの判断をし、Internal Dealingsの金額が1.882-5でECIやPEに配賦される利息を超過する部分のみをInternal Dealingsに基づくものとしてBase Erosion Paymentと取り扱うとしている。AOAを適用するのは、ある意味、1.882-5よりも多額の支払利息を計上できるからだっていう背景を考えると、幾ばくかのBase Erosion PaymentとなるInternal Dealingsに基づく金額は残るんだろうけど、全体には相当な緩和措置のように思えた。

同じく金融っぽい流れで続けると、規則案では、FRBが規定するTLAC、すなわち外国G-SIBsの米国中間持株会社に適用される総損失吸収力(TLAC)最低基準を充たすために発行される内部TLAC適格債に基づく支払いをBase Erosion Paymentから除外としていたが、最終規則ではこの除外を米国外の法令に基づくTLACにも拡大している。これで、外銀G-SIBsの米国支店にも除外規定が適用されることになる。更に除外対象金額枠も最低基準額に15%のバファーを上乗せしてくれることになった。

まだまだあるけど、今日は公表されて未だ数時間なのでこの辺で。
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