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接待交際費の損金算入制限にかかわる財務省規則案 (1)

それにしても今年のNYCの冬は暖かくて楽。NYCの公立校が一斉に「Midwinter Recess」でお休みになる頃、例年だと氷点下の毎日が続くんだけど、今年は全然。カリフォルニア並みとは言わないけど、朝のMidtownは連日適度に寒くて気持ちがいい。2月も後半を迎え、朝6時前でもQueensのLIC辺りは朝焼けになってくるし、徐々に日照時間も長くなってきてるのが実感できる。まさしくHere Comes the Sun。しかも3月前半からは早くもDaylight Savings(夏時間)開始だ。Daylight Savingsに突入する日曜日は1時間少なくて一日23時間だから、朝5時に起きたつもりが6時だったりして毎年のことながらショック。ただ、昔と違ってiPhoneとかPCとか勝手に時間変えてくれるんで、時間間違えたりすることはなくなったけど。

で、テリトリアル課税の対象所得がどれだけ少ないか、っていう話しも一応ラップアップでき、その一環で前回はGILTIの高税率免除規定にも触れることができたし、次はBEATとパートナーシップの関係、またはOECDピラー1のAmount A、B、Cと既存ALPのDeepな関係とか、いろいろと面白そうなトピックが山積みなので、何にしようかな、と考えていた矢先の2020年2月21日、TCJAで一部改定されてたSection 274、すなわち接待交際費の損金算入制限規定にかかわる財務省規則案が公表された。接待交際費っていう和訳はチョッとMisleadingで、正確には「Meals and Entertainment」にかかわる規定。Mealsは接待に限らず、社内のパーティーとか事業目的の飲食全てを網羅する。M&Eって略され、Big 4だと、M&Eばかりやってる専門家が結構居るほどこれはこれで奥深いエリアだ。

M&EってMedia and Entertainmentセクターを意味することもあるんで、社内で使われる際も、文脈でどっちのこと言ってるのか判断する必要がある。アルファベットの頭文字の略語、アクロニムが次々誕生するので要注意。例えばUTPって言うと、僕たち米国税務の世界では「Uncertain Tax Position」のことだったけど、最近は気を付けないとOECDピラー2のUndertaxed Paymentのことだったりする。まあアルファベットは26文字で構成されるから、3つのアルファベットの組み合わせでも算数的には1万7千以上あるからまだまだ安心(?)。コマーシャルジェットが離着陸するAirportは世界に1万程度って言われているので、Airportのコードが3文字で足りる訳だね。でも、プライベートジェット専用とかを含むと世界で4万とも言われてる。ということは3文字のコードはない空港もあるってことになるよね。まさか重複して使用はできないだろうし。モンタナに行くつもりがミズーリに行っちゃたり大変なことなるもんね。

って、またどうでもいい話になってきたので、M&Eの話しに戻るけど、Section 274はM&Eを費用扱いしていいですよ、って言ってくれている条文ではない。それは事業にかかわる必要経費を規定しているSection 162とかの世界。したがって必要経費でなければそもそも損金算入は認められない。この区分は主に個人事業主にとっての課題。で、Section 274は200番台、しかも261番以降に位置する点からも分かる通り、仮にSection 162とか他の条文で損金算入できるって規定されている費用項目でも、特別に制限を加えている条文のひとつだ。

で、今回はクロスボーダー課税でも、Sub Cの組織再編でも、Sub Kのパススルーでもなく、柄にもなくM&Eのお話し。余り得意分野じゃないので、適度に「ふ~ん」って感じで読んで頂きたい。即時償却が初めて中古資産にも適用が認められたのを受けて、M&Aばかりやっている連中が急に有形資産の償却を定義しているSection 167とか168とか、更に定義に使用されている179とか従来の守備範囲外に手を出したりしてて面白いけど、M&Eもその類の話しだ。ちなみに即時償却とM&Aの関係は超Deepなので、そのうち触れてみたいけどね。

で、M&EのSection 274ってもちろんTCJA前からあるんだけど、M&EのEに当たるEntertainment費用はTCJAにより原則全額損金不算入になってしまった。以前は結構なケースで費用化できていたのに。一方、MのMealは従来から引き続きTCJA後も原則50%制限。ただ各々の原則ルールには多くの例外が規定されていて、たかがM&Eのくせにとても複雑怪奇になっている。

Entertainment費用は損金不算入だけど、Mealは50%OKっていうのがSection 274の原則っていうのは上述の通りだけど、規則案では、このルールを具体的な異なるSituationにおける適用例を結構突っ込んで規定していて面白い。まず、Mealだけど、50%の損金算入が認められるのは通常のMealで、LavishだったりExtravagantだったり、つまり過度に贅沢な食事は全額損金不算入。何がLavishかはケースバイケースなんだろうけど。例えばインディアナ州のSouth Bendの会食とNYCのMidtownの会食では相当金額的に差異があるんで、Lavish度合いも異なる。

会食費用もMealなんで50%損金算入できるけど、会食と認められるには、カスタマー、クライアント、サプライヤー、従業員、エージェント、パートナー、アドバイザー系の相手が同席してないといけない。でも、まだクライアントじゃない相手を会食に誘ったらどうなっちゃうの、って心配した方がいるようで、そんなSituationを想定して、会食をしてる時点で必ずしもクライアント等である必要はなくて、潜在的にクライアントになる現実的な可能性があればOKだそうだ。

Entertainment費用はダメでMealは50%となると、EntertainmentにMealが一部入ってたらどうなるの、とか現実的によくある状況への適用が気になる。この点に関する基本的なアプローチは、別々にバラして各々のルールを適用っていうことなんだけど、Entertainmentの一環でMealが出てMeal代がEntertainment費用にごちゃごちゃに含まれちゃってて明細みてもどれがMeal代が分からないようなケースは全額Entertainment費用になってしまうので要注意。

例えば、ある納税者がクライアントを誘って野球を見に行ったとする。野球のチケット代はEntertainment費用に当たるので、野球場でどれだけ商談したり、野球そっちのけでビジネスの話しをしてたとしても関係ない。問答無用に全額損金不算入。もちろん、趣味で野球見に行っているだけだったらそもそも私的な支出なので個人事業主だったら最初から費用にはならないし、法人の役員とかだったらみなし給与だろう。で、野球見に行ったら当然、ホットドッグとドリンクを買うことになるけど、納税者が自分は下戸なのでホットドッグとコーク、クライントにはホットドッグとビールを買ったら、それはもちろん野球のチケットに込みじゃないし、別に支払うのでMeal代として50%損金算入となる。

え~、ドリンクってMealなの?って思われた方は中々面白い。規則案ではMealは広く定義され、ドリンクやスナックを含むとされる。更にデリバリーにかかるコストやチップ、更にSales Taxなんかが掛かれば、これらも付随費用としてMeal代に含まれる。ただし、付随費用と言っても限界があり、例えば自社のカフェの運営に必要な人件費やオーバーヘッドはMeal代には当たらない、としている。なかなか常識的。

今度はバスケットボール。この納税者はチョッとハイエンドでStaples CenterとかMSGでSuiteを借り切ってクライントを招待したとする。で、Suiteを借りると当然いろんなMealが付いてくるけど、それはSuite代に込みとする。その場合、Mealが別に請求されないので、全額Entertainment費用と取り扱われ、損金不算入となる。せっかく野菜のスティック食べながらバスケットボールそっちのけでビジネスの話ししてたのにね。

で、このクライアント結構お腹空いたみたいで、Suiteで提供される食事にはあきたらず、外のBoothからまずいお寿司とチーズNachosのHelapino入りをオーダーしたとする。凄い食べ合わせで翌日腹痛になったかどうかは不明だけど、請求書にお寿司代とHelapino入りチーズNachos代が明記されていて、かつその価格が外のBoothで一般の観客に販売されている金額と同じだったら、その部分だけ50%損金算入される。他のSuite代とかはEntertainment費用として全額損金不算入だ。

ということで、次回はもう少しMeal、特にどんな時に100%損金算入できるか、とかに関して。