$2T、すなわちザックリ200兆円相当にのぼる新型コロナウイルス対策フェーズ3が、5日間に亘る喧喧囂囂の議論の末、上院両党および大統領府で基本合意された旨をMitch McConnellがDC時間水曜日早朝に当たる午前1時37分に公表した点は昨晩「200兆円新型コロナウイルス対策法フェーズ3合意」で速報した。$2Tのパッケージは米国の法律としても最高値。McConnellが「戦時中の法案と実質同様の母国への投資」と位置付ける超大型Rescueプランだ。
前回、上院を通過しなかった月曜日のバージョンと異なり(「新型コロナウイルス対策法フェーズ3法案に潜むTCJAテクニカル訂正規定 – Downward Attribution例外復活その他」を参照)、法文そのものがリークされていないのでTechnical Correctionの行方等、分からなかったんだけど、ついさっき上院財政委員会のChuck Grassley(同じChuckでもSchumerじゃないからね)がフェーズ3の税務関連の規定を公表した。
ちなみに月曜日の上院法案の名称が。「Coronavirus Aid、Relief、and Economic Security Act」だったので、略は「CARESA」かな?って書いたけど、そうではなく「CARES」Actとなるそう。なるほどね。米国の法律はアクロニムとして読んでどうなるか考えて命名されることが多いので、CARESAはチョッと車みたいでぴんと来なかったんだけど(それはPorscheのCarreraだね)、Caresだったんだね。よく考えるね。今日、上院を通過するバージョンも同じ名前なのかな。
で、上院はようやくというか、無理やり仕方なく一枚岩になれた感じだけど、これから下院も通過させないといけない。民主党内の異なるイデオロギーに基づく各派をどうやって一致団結させるかはNancy Pelosiの腕の見せ所。今回、上院で調整に手間取った一つの理由に、大統領府代表で交渉を一手に請け負っていた財務長官のMnuchinが、フェーズ2のFamilies First Act可決時に、最終段階で民主党に妥協してSick Leaveの規定を知らぬ間に(?)変更した点を嫌い、上院共和党議員が徹底的に法文内容を検証した点が報道で指摘されている。
上院リーダーのMcConnellにしても下院議長のPelosiにしてもいざとなると政治家としての力量を見せつけてくれる。ちなみに上院Minority LeaderのChuck Schumerは今回のフェーズ3に基づくビジネス支援の対象から、大統領、副代表、議員、閣僚、に支配される主体は除く規定を入れた、と誇らしく語っていたけど、要はトランプ系の会社には何の支援もないということ。
で、Grassleyが公表したシートによると税務関連の規定は大概において予想通り。低所得からミドルクラスまでの就労権を伴うSSNを所有する納税者を対象にした$1,200の「Recovery Rebate」。所得制限は単身、Head of Householdの場合には$75,000、夫婦合算の場合には$150,000で、2018年または2019年の確定申告書ベースで判断するそう。ブッシュ政権の還付前払いではなく、本当のRebateなので、後の税金と相殺とかそういうことではなく手続きは楽。また子女一人当り$500の追加Rebateがあるので、4人家族だと$3,400となるはず、とのことだ。
他にも、雇用の確保、事業主が当面必要とする資金確保、流動性の補填をサポートする規定が続く。失業保険カバレッジの拡大、適格退職金プランからの引き出しやローンにかかわる制限緩和、慈善団体への寄付金控除制限枠の緩和、学費ローンの雇用者による非課税返済、雇用者による人材リテンションにかかわる給与コストの50%の税額控除化、雇用者によるPayroll Taxの支払延期、パススルーや個人事業主の事業損失使用制限の緩和、過年度の支払ったAMTの早期還付、などが含まれる。
で、期待のNOL使用制限緩和だけど、2018年、2019年、2020年に開始する課税年度に生じるNOLは5年間の繰り戻しが認められ、80%所得制限の適用一時停止。またSection 163(j)の支払利息損金算入制限に関しても、予想通りEBITDA x 「30%」の枠が、2019年および2020年課税年度に関して「50%」に引き上げられる。
で、肝心のTechnical Correctionは、と言うと・・・。大ショック。唯一生き残ったのは即時償却の対象となるはずが法文ドラフトエラーで適用から漏れていた適格内装にかかわる修正のみ。Downward Attributionのクロスボーダー課税の適用例外とTransition Taxにかかわる還付制限の緩和はどこにも見当たらない(泣)。McConnellが公表した共和党案にはしっかり入っていたのに。民主党が大企業に甘いって内容勘違いして、交渉過程で削除されてしまったのだろうか。元々、立法趣旨に沿わない形で法文が最終化されてしまった間違いで、それを基にみんな苦労してるんだけどね。理不尽なGILTI合算とかこのまましばらく継続ってことなんだろう。
ということで、とりあえずSneak Previewでした。
前回、上院を通過しなかった月曜日のバージョンと異なり(「新型コロナウイルス対策法フェーズ3法案に潜むTCJAテクニカル訂正規定 – Downward Attribution例外復活その他」を参照)、法文そのものがリークされていないのでTechnical Correctionの行方等、分からなかったんだけど、ついさっき上院財政委員会のChuck Grassley(同じChuckでもSchumerじゃないからね)がフェーズ3の税務関連の規定を公表した。
ちなみに月曜日の上院法案の名称が。「Coronavirus Aid、Relief、and Economic Security Act」だったので、略は「CARESA」かな?って書いたけど、そうではなく「CARES」Actとなるそう。なるほどね。米国の法律はアクロニムとして読んでどうなるか考えて命名されることが多いので、CARESAはチョッと車みたいでぴんと来なかったんだけど(それはPorscheのCarreraだね)、Caresだったんだね。よく考えるね。今日、上院を通過するバージョンも同じ名前なのかな。
で、上院はようやくというか、無理やり仕方なく一枚岩になれた感じだけど、これから下院も通過させないといけない。民主党内の異なるイデオロギーに基づく各派をどうやって一致団結させるかはNancy Pelosiの腕の見せ所。今回、上院で調整に手間取った一つの理由に、大統領府代表で交渉を一手に請け負っていた財務長官のMnuchinが、フェーズ2のFamilies First Act可決時に、最終段階で民主党に妥協してSick Leaveの規定を知らぬ間に(?)変更した点を嫌い、上院共和党議員が徹底的に法文内容を検証した点が報道で指摘されている。
上院リーダーのMcConnellにしても下院議長のPelosiにしてもいざとなると政治家としての力量を見せつけてくれる。ちなみに上院Minority LeaderのChuck Schumerは今回のフェーズ3に基づくビジネス支援の対象から、大統領、副代表、議員、閣僚、に支配される主体は除く規定を入れた、と誇らしく語っていたけど、要はトランプ系の会社には何の支援もないということ。
で、Grassleyが公表したシートによると税務関連の規定は大概において予想通り。低所得からミドルクラスまでの就労権を伴うSSNを所有する納税者を対象にした$1,200の「Recovery Rebate」。所得制限は単身、Head of Householdの場合には$75,000、夫婦合算の場合には$150,000で、2018年または2019年の確定申告書ベースで判断するそう。ブッシュ政権の還付前払いではなく、本当のRebateなので、後の税金と相殺とかそういうことではなく手続きは楽。また子女一人当り$500の追加Rebateがあるので、4人家族だと$3,400となるはず、とのことだ。
他にも、雇用の確保、事業主が当面必要とする資金確保、流動性の補填をサポートする規定が続く。失業保険カバレッジの拡大、適格退職金プランからの引き出しやローンにかかわる制限緩和、慈善団体への寄付金控除制限枠の緩和、学費ローンの雇用者による非課税返済、雇用者による人材リテンションにかかわる給与コストの50%の税額控除化、雇用者によるPayroll Taxの支払延期、パススルーや個人事業主の事業損失使用制限の緩和、過年度の支払ったAMTの早期還付、などが含まれる。
で、期待のNOL使用制限緩和だけど、2018年、2019年、2020年に開始する課税年度に生じるNOLは5年間の繰り戻しが認められ、80%所得制限の適用一時停止。またSection 163(j)の支払利息損金算入制限に関しても、予想通りEBITDA x 「30%」の枠が、2019年および2020年課税年度に関して「50%」に引き上げられる。
で、肝心のTechnical Correctionは、と言うと・・・。大ショック。唯一生き残ったのは即時償却の対象となるはずが法文ドラフトエラーで適用から漏れていた適格内装にかかわる修正のみ。Downward Attributionのクロスボーダー課税の適用例外とTransition Taxにかかわる還付制限の緩和はどこにも見当たらない(泣)。McConnellが公表した共和党案にはしっかり入っていたのに。民主党が大企業に甘いって内容勘違いして、交渉過程で削除されてしまったのだろうか。元々、立法趣旨に沿わない形で法文が最終化されてしまった間違いで、それを基にみんな苦労してるんだけどね。理不尽なGILTI合算とかこのまましばらく継続ってことなんだろう。
ということで、とりあえずSneak Previewでした。
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