NYCの感染状況が悪化する中、エンパイアステートビルは毎晩、真っ赤にライトアップされ、NYCが非常事態下にある点を嫌でも再確認させられる。定期的に白いビームが出て最前線で市民の安全を守るために命を懸けて戦っている緊急対応要員、First Responder、に敬意を表している。バレンタインデーとかに見る真っ赤なエンパイアステートビルとは異なり、毎晩真っ赤に光り続ける最近のエンパイアを見ていると、一日でも早く普通の色に戻りますように、って願わざるを得ない。Social Distancingが徹底していなかったタイミングの感染者が未だに増え続けているので、今週、来週が山場と大統領府は言っているけど、その後、本当にFlatten the Curveになってくれると皆、希望が見えてくるけどね。
製薬、バイオ、今ではタバコ業界も参加して治療薬、感染テスト、抗体テスト、ワクチン、等を時間との闘いで凄い勢いで研究・開発していると報道されている。ハイテク企業もWFHのネットワークを支えてるし、製薬とかハイテク業界ってBase Erosionとかで悪役になりがちだけど、彼らのイノベーションって元々リスキーなベンチャーなんで、たまたま当たって高い収益を上げられるようになったところだけを見て、Fair Shareを払ってないとか多くの税金を課そうとするのは長期的な政策として正しいんだろうか。BEPS 2.0どころではなくなってきたこのタイミングで、BEPS 2.0の大前提となっているポリシーを見直すいいチャンス。この点は別のポスティングで特集して少し考えてみたい。
で、NOLだけど、その昔、クイズダービーってTV番組があって、問題のいくつかは「3択」と言って、3つの選択肢から正解を選ぶパターンで、はらたいらと並んで3択は竹下恵子の正解率が高かった。で、NOLを3択改め4択の問題に変えてみると、「Cares ActでNOL100の換金価値は?」 「35」, 「21」, 「10.5」, 「ゼロ」、皆さん同じ答えになったでしょうか?巨泉風にいくと「いっぺんに開けます。せ~の」で・・・。
実は4つとも全部正解。それじゃもちろんクイズダービーには出題できないけど、ここが定量モデリングをしないと個々の納税者に何がベストが計り知れない理由。FDII、BEAT、Transition Tax、FTCとかを加味すると回答は無数になるけど、チョッと仮に無視して、GILTIだけの世界で考えるてみると、GILTI合算に影響しない形でTCJA前の課税年度にCarrybackできれば35の価値があり得る。TCJA後でもGILTIを相殺しない形でCarrybackできたり、Carrybackしないでも、将来にCarryoverできて、GILTI以外の所得を減額できれば21の価値があると言える。GILTI合算してる課税年度へのCarryの際の運命の分かれ道は、GILTI控除を規定するSection 250をどの程度減額させられるか、っていうところ。FTCを加味する前の状態でいくと、この度合いでNOLの価値は10.5~21の間で変動するものと考えられる。FTCを取っていない、というか取れていないGILTI合算課税年度にCarrybackして、NOLをGILTI合算の減額に費やしてしまうと、10.5の価値しかなくなる。さらに最悪なのは、トップラインでGILTI合算してGross Incomeは大きくなっていたものの、50%GILTI控除やFTCで元々GILTIに基づく米国法人税が生じていない課税年度にCarrybackするパターン。このパターンは前回のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (4) NOLとSection 163(j)規定と実務的な問題」でも触れたパターンになるけど、もともと法人税ゼロだったのにGILTI合算にNOLを無駄に消費するので、換金価値はゼロとなる。前回のポスティングでNOLがGILTIに使われるとGILTIが21%で課税されていることになると書いた点を換言してるだけだけど、NOLの価値っていう視点から考えると、こういう結果となる。
唯一グッドニュースがあるとしたら、GILTIをNOLで消す場合、大概においてNOLは米国内源泉の損失で構成されることが多いと思われ、NOLでGILTIを相殺する度にOverall Domestic Loss (「ODL」)アカウントが創出されることになり、後年、米国源泉の課税所得が生じるタイミングでODLをRecaptureしてGILTIバスケットを増額できることになるはず。ODLのルール的にはそうだよね?そうすると後年ODLをRecaptureする課税年度で、GILTIバスケットのFTC枠が大きくなって、CFCが高税率で法人税を支払っていると、米国源泉所得に対して課税されている米国法人税をFTCで減額することができることになる部分。でもこれはGILTIの基となるTested Incomeが高税率で課税されてないと実効性がない。
このように、NOLをGILTI合算額相手に使用しないといけない点が、NOLのFDIIやBEATに与える影響と並び、NOL使用時の大きな課題となるになるけど、CARES Actではその点にかかわる救済はない。GILTI合算額にNOLを使用しないオプションみたいな制度は無理なのかな。Transition TaxのSection 965にはTCJA時点で既にNOLを使用しないオプションが規定されていて、FTCを活用させてくれてNOLを無駄に使わないでもいい工夫がされてたんだけどね。CARES Actでも同様にTransition TaxとNOL使用は特殊な選択が認められている。同じようなアプローチがGILTIには規定されていない。Transition Taxは902のプールを使う最後のチャンスだったし、面白いことにその部分だけTCJA以前のフレームワークで課税されているので、特殊なのかもね。GILTIはFTCのCarryoverもCarrybackもなくて、毎課税年度、払い切りなんでその辺りのコンセプトが根本的に異なるってことなんだろうか。この期に及んでできないことはないと思うけど。
で、話しは少し変わって、チョッとだけNOLと支払利息の損金算入制限を規定するSection 163(j)の関係にも再度触れとくけど、CARES Act前の感覚から言うと、Section 163(j)に抵触せずに損金算入できたとしても、業績不振の課税年度に関して言えば、結局NOLが増えるだけのケースも多く、その場合、どっちにしても損金不算入額は無期限にCarryoverできるし、Section 163(j)でCarryoverしてる方が、将来、十分なATIさえあれば、80%所得制限がないことから、考え方次第では反ってそっちの方がいいのかも、っていうようなこともあり得た。CARES Actで状況は一変。Section 163(j)の使用枠は拡大されたけど、それでも業績が低迷して支払利息がSection 163(j)に抵触して損金不算入となると、NOLと異なりCarrybackは規定されておらず、そのまま将来にCarryoverするしかない。しかもNOLをTCJAの前の課税年度にCarrybackできれば、35%の換金価値があり得る一方、Carryoverは21%。結果としてできるだけ支払利息を損金算入してNOLを増額するのが得となるケースが多いことになる。ただ、NOLの換金価値自体も個々の事実関係次第な点は上述の通りなので、最終的にはここもモデリングの世界。アーニングス・ストリッピング規定と言われていた「旧」Section 163(j)には余剰枠自体の繰越が認められたけど、TCJAの「新」Section 163(j)には同様のコンセプトが存在しない。BEPSにも同じことが言えるけど、景気がいい時に議論される制度って、予想外の景気低迷時に使い勝手が悪い。この点もまた別の特集でね。
ということで、考えれば考えるほど、Cares Actも実務的な検討が増えてくる今日この頃でした。
製薬、バイオ、今ではタバコ業界も参加して治療薬、感染テスト、抗体テスト、ワクチン、等を時間との闘いで凄い勢いで研究・開発していると報道されている。ハイテク企業もWFHのネットワークを支えてるし、製薬とかハイテク業界ってBase Erosionとかで悪役になりがちだけど、彼らのイノベーションって元々リスキーなベンチャーなんで、たまたま当たって高い収益を上げられるようになったところだけを見て、Fair Shareを払ってないとか多くの税金を課そうとするのは長期的な政策として正しいんだろうか。BEPS 2.0どころではなくなってきたこのタイミングで、BEPS 2.0の大前提となっているポリシーを見直すいいチャンス。この点は別のポスティングで特集して少し考えてみたい。
で、NOLだけど、その昔、クイズダービーってTV番組があって、問題のいくつかは「3択」と言って、3つの選択肢から正解を選ぶパターンで、はらたいらと並んで3択は竹下恵子の正解率が高かった。で、NOLを3択改め4択の問題に変えてみると、「Cares ActでNOL100の換金価値は?」 「35」, 「21」, 「10.5」, 「ゼロ」、皆さん同じ答えになったでしょうか?巨泉風にいくと「いっぺんに開けます。せ~の」で・・・。
実は4つとも全部正解。それじゃもちろんクイズダービーには出題できないけど、ここが定量モデリングをしないと個々の納税者に何がベストが計り知れない理由。FDII、BEAT、Transition Tax、FTCとかを加味すると回答は無数になるけど、チョッと仮に無視して、GILTIだけの世界で考えるてみると、GILTI合算に影響しない形でTCJA前の課税年度にCarrybackできれば35の価値があり得る。TCJA後でもGILTIを相殺しない形でCarrybackできたり、Carrybackしないでも、将来にCarryoverできて、GILTI以外の所得を減額できれば21の価値があると言える。GILTI合算してる課税年度へのCarryの際の運命の分かれ道は、GILTI控除を規定するSection 250をどの程度減額させられるか、っていうところ。FTCを加味する前の状態でいくと、この度合いでNOLの価値は10.5~21の間で変動するものと考えられる。FTCを取っていない、というか取れていないGILTI合算課税年度にCarrybackして、NOLをGILTI合算の減額に費やしてしまうと、10.5の価値しかなくなる。さらに最悪なのは、トップラインでGILTI合算してGross Incomeは大きくなっていたものの、50%GILTI控除やFTCで元々GILTIに基づく米国法人税が生じていない課税年度にCarrybackするパターン。このパターンは前回のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (4) NOLとSection 163(j)規定と実務的な問題」でも触れたパターンになるけど、もともと法人税ゼロだったのにGILTI合算にNOLを無駄に消費するので、換金価値はゼロとなる。前回のポスティングでNOLがGILTIに使われるとGILTIが21%で課税されていることになると書いた点を換言してるだけだけど、NOLの価値っていう視点から考えると、こういう結果となる。
唯一グッドニュースがあるとしたら、GILTIをNOLで消す場合、大概においてNOLは米国内源泉の損失で構成されることが多いと思われ、NOLでGILTIを相殺する度にOverall Domestic Loss (「ODL」)アカウントが創出されることになり、後年、米国源泉の課税所得が生じるタイミングでODLをRecaptureしてGILTIバスケットを増額できることになるはず。ODLのルール的にはそうだよね?そうすると後年ODLをRecaptureする課税年度で、GILTIバスケットのFTC枠が大きくなって、CFCが高税率で法人税を支払っていると、米国源泉所得に対して課税されている米国法人税をFTCで減額することができることになる部分。でもこれはGILTIの基となるTested Incomeが高税率で課税されてないと実効性がない。
このように、NOLをGILTI合算額相手に使用しないといけない点が、NOLのFDIIやBEATに与える影響と並び、NOL使用時の大きな課題となるになるけど、CARES Actではその点にかかわる救済はない。GILTI合算額にNOLを使用しないオプションみたいな制度は無理なのかな。Transition TaxのSection 965にはTCJA時点で既にNOLを使用しないオプションが規定されていて、FTCを活用させてくれてNOLを無駄に使わないでもいい工夫がされてたんだけどね。CARES Actでも同様にTransition TaxとNOL使用は特殊な選択が認められている。同じようなアプローチがGILTIには規定されていない。Transition Taxは902のプールを使う最後のチャンスだったし、面白いことにその部分だけTCJA以前のフレームワークで課税されているので、特殊なのかもね。GILTIはFTCのCarryoverもCarrybackもなくて、毎課税年度、払い切りなんでその辺りのコンセプトが根本的に異なるってことなんだろうか。この期に及んでできないことはないと思うけど。
で、話しは少し変わって、チョッとだけNOLと支払利息の損金算入制限を規定するSection 163(j)の関係にも再度触れとくけど、CARES Act前の感覚から言うと、Section 163(j)に抵触せずに損金算入できたとしても、業績不振の課税年度に関して言えば、結局NOLが増えるだけのケースも多く、その場合、どっちにしても損金不算入額は無期限にCarryoverできるし、Section 163(j)でCarryoverしてる方が、将来、十分なATIさえあれば、80%所得制限がないことから、考え方次第では反ってそっちの方がいいのかも、っていうようなこともあり得た。CARES Actで状況は一変。Section 163(j)の使用枠は拡大されたけど、それでも業績が低迷して支払利息がSection 163(j)に抵触して損金不算入となると、NOLと異なりCarrybackは規定されておらず、そのまま将来にCarryoverするしかない。しかもNOLをTCJAの前の課税年度にCarrybackできれば、35%の換金価値があり得る一方、Carryoverは21%。結果としてできるだけ支払利息を損金算入してNOLを増額するのが得となるケースが多いことになる。ただ、NOLの換金価値自体も個々の事実関係次第な点は上述の通りなので、最終的にはここもモデリングの世界。アーニングス・ストリッピング規定と言われていた「旧」Section 163(j)には余剰枠自体の繰越が認められたけど、TCJAの「新」Section 163(j)には同様のコンセプトが存在しない。BEPSにも同じことが言えるけど、景気がいい時に議論される制度って、予想外の景気低迷時に使い勝手が悪い。この点もまた別の特集でね。
ということで、考えれば考えるほど、Cares Actも実務的な検討が増えてくる今日この頃でした。
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