少し前に「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (7) Section 163(j)各種選択手続ガイダンス」で、CARES Actで緊急に規定されたSection 163(j)の緩和措置 のうち、不動産事業に認められている免除の新たな選択、取り消し等の手続きに触れた。今日は肝心のSection 163(j)そのものにかかわるCARES Act絡みの3つの選択に関して。
まず、CARES ActによるSection 163(j)の緩和措置をサラッとおさらいしておく。
詳しくは「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (3) Section 163(j)」を参照して欲しいけど、暦年2019年中または暦年2020年中に開始する課税年度のネット支払利息は、修正後課税所得(ATI)の30%の代わりに50%を使用して損金算入額を計算することが認められる。納税者が50%ではなく、引き続き30%の使用を希望する場合には「30%使用選択」が可能。当選択は2019年、2020年に開始する課税年度の各々別々に認められる。
パートナーシップに関して、2019年中に開始するパートナーシップ課税年度には、緩和措置の50%の制限緩和規定は適用がない代わり、パートナーシップからパートナーに配賦された損金不算入支払利息の50%は、パートナー側の暦年2020年中に開始する課税年度の支払利息として取り扱われ、Section 163(j)の制限対象から除外される。残りの50%は通常の規定通り、パートナーシップから配賦されるETIに基づく通常のベンチ待機ルールに基づき損金算入の判断を行う。このパートナー側で2020年に50%を問答無用に使用できるという措置が気にいらない場合には、「パートナー2020年50%損金算入不適用選択」が認められる。2020年中に開始するパートナーシップ課税年度に関しては、法人同様にATIの50%に基づく損金算入制限枠を計算することになるけど、法人同様、2020年に関してはパートナーシップにも「30%使用選択」が規定されている。
また、2020年に開始する課税年度は、当年度のATIの代わりに前年、すなわち2019年中に開始する課税年度、のATIを使用する選択が認められる。
組み合わせがなかなか複雑なので選択の部分だけ再度整理すると、30%使用選択、前年ATI使用選択、そしてパートナー2020年50%損金算入不適用選択、となる。
まず、せっかくCARES Actで、2019年と2020年の支払利息はATIの50%まで損金算入していいです、って言ってくれているにもかかわらず、「うちはATIの30%を適用して損金不算入額を決めます」っていう「30%使用選択」。なぜこんな天邪鬼な選択があり得るかってというと、特定の条文適用時には有利に見える取り扱いも、他の条文との複合的な絡みで総合的に必ずしも有利でないケースがあるから。TCJAは複数条文のインターアクションに基づく検討の重要性に拍車を掛けている。30%でも50%でもどっちにしても制限に抵触しない納税者はムキになってこんな選択をする必要はないので、基本的には30%を選択して本来損金不算入としなくてもいい金額を損金不算入にしたり、50%でも制限に抵触する納税者がより多くの金額を不算入にする際に使う選択となるはず。そんな選択をしたい納税者は2019年または2020年の申告書、またはこれらの課税年度にかかわる修正申告書で、30%ATIを適用することで選択をしたことになる。特定の選択を宣言するStatementは不要。パートナーシップに関しては2019年は30%使用が強制されるので、当選択は2020年のみに関係する。また以前もチラッと触れたけど、パートナーシップもForm 1065を修正することができ、そこで30%使用選択ができるけど、BBAっていうパートナーシップレベル税務調査にかかわる特別な規定に抵触するパートナーシップで、一定の要件下で修正申告ではなく、Administrative Adjustment Requests (AARs)と呼ばれる別手続に基づき、実質修正同様の手続きを済ます必要がある場合には、AARsを通じて実質修正をする。今後、パートナーシップの修正申告に触れる際、基本的に全てこのBBA下のAARsの適用があるって覚えておいて欲しい。毎回いちいち「BBAの場合は・・・」って注意書きしないのでよろしく。
優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり素直に50%で計算しとけばよかったな、って気が変わった場合には修正申告を提出すれば、選択取り消しにかかわるIRSの承認を自動的に受けた形となる。簡単に言えば、時効が成立するまでは気が変わったら修正するばいいということ。また、今のところSection 163(j)の規則草案に基づき、Section 163(j)はCFCにも適用があるけど、CFCに30%使用選択をする場合には、支配米国株主全員で行う必要がある。
次に、2020年に2019年のATIを使用して損金算入額を決める前年ATI使用選択だけど、これも2020年の申告書、または修正申告書で2019年のATIを使用すれば良く、選択を宣言する特別なStatementを添付したりする必要はない。30%使用選択同様、優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり2020年のATIベースにしとけばよかったな、って気が変わった場合には時効成立前に修正申告を提出すれば、2020年ATIベースとすることができる。CFCにかかわる手続きも30%使用選択同様。
最後に、パートナー2020年50%損金算入不適用選択だけど、こちらもパートナーが提出する申告書で、不適用とすれば、すなわち、通常のルール通りにETIに基づく処理をすれば、不適用選択をしたと認められる。上述の2つの選択同様、後から気が変わったら時効成立前に修正をすればいい。
ということで、Section 163(j)にかかわるCARES Act系の選択はこんな感じなんで、次回は話題の適格内装かな。それにしてもGoogle/AppleのContact Tracing使ってでも何でもいいから、そろそろ経済活動開始のタイムラインを具体化してもらわないとね。民主党大統領候補に実質決まっているJoe Biden曰く、次のCARES Act 2.0では「hell of a lot more」の公的資金をつぎ込む!ってことだけど、既に$2.5T使ってしまったのに、これから「hell of a lot more」って言われても、最後は誰かが支払う訳で、次世代にそんな多額の負の遺産を残すべきではないと思うんだけど。そもそも、州知事の権限で経済活動を止め続けて、その代償を連邦政府が公的資金で補填し続けるモデルにはSustainabilityがない。大統領のアップデートとか見てても日によって言うことが全然違うし、州政府も結局、元々はヘルスケアシステムの受け入れに余裕が生じるまでの臨時措置のはずだったロックダウンから抜け出す切り札がないまま無暗にロックダウンを延期したいりしていて、一部ロックダウンを解除したジョージア州知事をみんなで叩いたり、なんか米国政府の無策ぶりを世界に露呈している感じ。個人の自由を保障する立派な憲法があっても、第二次大戦時のKorematsuケースとか、9・11直後の動きとか、有事の際には結局あまり機能しないのかな、って今後いろんなことがある毎にロックダウンとなるような変な前例にならないといいけど、って考えるのは大げさなんだろうか。何年待ってもワクチンができる保証はない中、まさかワクチンできるまでロックダウンしている訳にはいかないし。そんなことしたら2021年のGDPは2019年比較で25%行くかな~。そうなったら米国のGDP、今の日本と同じ。中国も減速するとは言え、グリーンのQRコードを駆使して復活気味なので、そこまでGDP下がりそうにないよね。まあ、過去の歴史振り返っても今回も最後はApocalypse的な話しにはならないと信じてるけどね。
まず、CARES ActによるSection 163(j)の緩和措置をサラッとおさらいしておく。
詳しくは「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 (3) Section 163(j)」を参照して欲しいけど、暦年2019年中または暦年2020年中に開始する課税年度のネット支払利息は、修正後課税所得(ATI)の30%の代わりに50%を使用して損金算入額を計算することが認められる。納税者が50%ではなく、引き続き30%の使用を希望する場合には「30%使用選択」が可能。当選択は2019年、2020年に開始する課税年度の各々別々に認められる。
パートナーシップに関して、2019年中に開始するパートナーシップ課税年度には、緩和措置の50%の制限緩和規定は適用がない代わり、パートナーシップからパートナーに配賦された損金不算入支払利息の50%は、パートナー側の暦年2020年中に開始する課税年度の支払利息として取り扱われ、Section 163(j)の制限対象から除外される。残りの50%は通常の規定通り、パートナーシップから配賦されるETIに基づく通常のベンチ待機ルールに基づき損金算入の判断を行う。このパートナー側で2020年に50%を問答無用に使用できるという措置が気にいらない場合には、「パートナー2020年50%損金算入不適用選択」が認められる。2020年中に開始するパートナーシップ課税年度に関しては、法人同様にATIの50%に基づく損金算入制限枠を計算することになるけど、法人同様、2020年に関してはパートナーシップにも「30%使用選択」が規定されている。
また、2020年に開始する課税年度は、当年度のATIの代わりに前年、すなわち2019年中に開始する課税年度、のATIを使用する選択が認められる。
組み合わせがなかなか複雑なので選択の部分だけ再度整理すると、30%使用選択、前年ATI使用選択、そしてパートナー2020年50%損金算入不適用選択、となる。
まず、せっかくCARES Actで、2019年と2020年の支払利息はATIの50%まで損金算入していいです、って言ってくれているにもかかわらず、「うちはATIの30%を適用して損金不算入額を決めます」っていう「30%使用選択」。なぜこんな天邪鬼な選択があり得るかってというと、特定の条文適用時には有利に見える取り扱いも、他の条文との複合的な絡みで総合的に必ずしも有利でないケースがあるから。TCJAは複数条文のインターアクションに基づく検討の重要性に拍車を掛けている。30%でも50%でもどっちにしても制限に抵触しない納税者はムキになってこんな選択をする必要はないので、基本的には30%を選択して本来損金不算入としなくてもいい金額を損金不算入にしたり、50%でも制限に抵触する納税者がより多くの金額を不算入にする際に使う選択となるはず。そんな選択をしたい納税者は2019年または2020年の申告書、またはこれらの課税年度にかかわる修正申告書で、30%ATIを適用することで選択をしたことになる。特定の選択を宣言するStatementは不要。パートナーシップに関しては2019年は30%使用が強制されるので、当選択は2020年のみに関係する。また以前もチラッと触れたけど、パートナーシップもForm 1065を修正することができ、そこで30%使用選択ができるけど、BBAっていうパートナーシップレベル税務調査にかかわる特別な規定に抵触するパートナーシップで、一定の要件下で修正申告ではなく、Administrative Adjustment Requests (AARs)と呼ばれる別手続に基づき、実質修正同様の手続きを済ます必要がある場合には、AARsを通じて実質修正をする。今後、パートナーシップの修正申告に触れる際、基本的に全てこのBBA下のAARsの適用があるって覚えておいて欲しい。毎回いちいち「BBAの場合は・・・」って注意書きしないのでよろしく。
優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり素直に50%で計算しとけばよかったな、って気が変わった場合には修正申告を提出すれば、選択取り消しにかかわるIRSの承認を自動的に受けた形となる。簡単に言えば、時効が成立するまでは気が変わったら修正するばいいということ。また、今のところSection 163(j)の規則草案に基づき、Section 163(j)はCFCにも適用があるけど、CFCに30%使用選択をする場合には、支配米国株主全員で行う必要がある。
次に、2020年に2019年のATIを使用して損金算入額を決める前年ATI使用選択だけど、これも2020年の申告書、または修正申告書で2019年のATIを使用すれば良く、選択を宣言する特別なStatementを添付したりする必要はない。30%使用選択同様、優柔不断というか、後から課税関係が変わってしまって、やっぱり2020年のATIベースにしとけばよかったな、って気が変わった場合には時効成立前に修正申告を提出すれば、2020年ATIベースとすることができる。CFCにかかわる手続きも30%使用選択同様。
最後に、パートナー2020年50%損金算入不適用選択だけど、こちらもパートナーが提出する申告書で、不適用とすれば、すなわち、通常のルール通りにETIに基づく処理をすれば、不適用選択をしたと認められる。上述の2つの選択同様、後から気が変わったら時効成立前に修正をすればいい。
ということで、Section 163(j)にかかわるCARES Act系の選択はこんな感じなんで、次回は話題の適格内装かな。それにしてもGoogle/AppleのContact Tracing使ってでも何でもいいから、そろそろ経済活動開始のタイムラインを具体化してもらわないとね。民主党大統領候補に実質決まっているJoe Biden曰く、次のCARES Act 2.0では「hell of a lot more」の公的資金をつぎ込む!ってことだけど、既に$2.5T使ってしまったのに、これから「hell of a lot more」って言われても、最後は誰かが支払う訳で、次世代にそんな多額の負の遺産を残すべきではないと思うんだけど。そもそも、州知事の権限で経済活動を止め続けて、その代償を連邦政府が公的資金で補填し続けるモデルにはSustainabilityがない。大統領のアップデートとか見てても日によって言うことが全然違うし、州政府も結局、元々はヘルスケアシステムの受け入れに余裕が生じるまでの臨時措置のはずだったロックダウンから抜け出す切り札がないまま無暗にロックダウンを延期したいりしていて、一部ロックダウンを解除したジョージア州知事をみんなで叩いたり、なんか米国政府の無策ぶりを世界に露呈している感じ。個人の自由を保障する立派な憲法があっても、第二次大戦時のKorematsuケースとか、9・11直後の動きとか、有事の際には結局あまり機能しないのかな、って今後いろんなことがある毎にロックダウンとなるような変な前例にならないといいけど、って考えるのは大げさなんだろうか。何年待ってもワクチンができる保証はない中、まさかワクチンできるまでロックダウンしている訳にはいかないし。そんなことしたら2021年のGDPは2019年比較で25%行くかな~。そうなったら米国のGDP、今の日本と同じ。中国も減速するとは言え、グリーンのQRコードを駆使して復活気味なので、そこまでGDP下がりそうにないよね。まあ、過去の歴史振り返っても今回も最後はApocalypse的な話しにはならないと信じてるけどね。
コメントを追加