NOL Carrybackやその手続き、Carrybackでトリガーされる多くの追加検討事項に関してはCARES Act可決以降、何回かに分けて触れてきた。興味ある方はぜひ過去のポスティング「新型コロナウイルス対策法フェーズ3「CARES Act」 」(2)、(4)、(5)、(6)、(8)、(9)を読んでみて欲しい。そこで何回も触れている通り、複雑な検討の多くは5年間のCarryback期間にTCJA前後の課税年度双方が含まれることに起因するケースが多い。
そんな複雑な取り扱いの一つにAMTがある。TCJAで、AMTの法人に対する適用は2018年以降撤廃されている一方、Carrybackする先の課税年度が2017年以前の場合、それらの過年度には法人にも未だAMTが適用される。NOLをCarrybackするってことは通常の課税所得を減額するってことだから、その当然の結果として、AMTに抵触したり、元々使用していたAMTクレジットが使えなくなるケースが続出することになる。AMTの算定時にもNOLの使用は認められるけど、計算は複雑で、NOL発生年度の数字を基に「AMTベースのNOL額」に計算し直さないといけないし、Carrybackする先の課税年度のAMT計算時には、NOLの使用可能額はAMT算定の基となる暫定AMT課税所得の90%が上限となる。う~ん、相変わらず面倒。しかも、複雑な計算をしてAMTが発生したり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなったりする結果、それらがドミノ式にCarryback期間内の後年に繰り越され、使用し切れないクレジットは、CARES Actで加速還付が可能という最終的にはゼロサムゲームとなる。超面倒でなんかまどろこしい。
で、法的には、すなわちInternal Revenue Code的には、面倒だけどこれらのステップを踏まざるを得ない、っていう点は比較的明確で、テクニカルには余り異論の余地はない。2018年以降、AMTっていう制度自体が法人に不適用になっているとは言え、2017年以前にNOLをCarrybackして、過年度のAMTを算定し直す際には、その目的で使用するNOLは、通常のNOLではなく、AMTのルールを適用して算定するAMT NOLでなくてはいけない。Secton 56だね。でも、AMTのルール自体、2018年以降、法人には存在しないんだから、調整額はないのでは、って思うかもしれないし、それも一つの見識ではあると思うけど、たぶん厳密にはそうではない。というのは法人にAMTは課されないけど、AMT算定時に加減算が求められる「調整額」はそのまま法的に2018年以降も存在している。唯一例外はACE調整で、これは撤廃されている。結果として、通常のNOLにACEを除く調整を加えて、AMT NOLの金額を算出し、それをCarrybackして、Carryback期間の古い課税年度から順々にAMTを計算、後年にクレジット、そしてクレジットし切れなければ、2018年と2019年に開始する課税年度で還付、さらに選択をすれば2018年に開始する課税年度に全額還付となる。
っていうのが法律なんだけど、昨日(2020年5月28日)、CARES Act下で禁じ手乱発的になりつつあるIRSのFAQがまた公表され、簡易措置が規定された。IRSが公表した当FAQによると2020年6月1日以降にファックス(覚えてる?デジタル送信!)するForm 1139では、AMT NOLはナンと「ゼロ」と取り扱う、って言い切っている。え~、そんな法律どこにあるの、って感じではあるけど、まあ便利だから文句言う納税者はいないよね。
FAQに基づく構想は、2018年以降の課税年度にはAMT NOLはない、という大胆なもの。法人納税者にしてみると、2018年以降のNOL発生年度に関して、適用のないAMTを想定算定してCarrybackしたり、Carryback対象年度に90%制限を加えて2017年以前のAMTを計算したりする手間が省けるので、ゼロサムゲームってことを考えると、単純に作業が若干簡素化され、ありがたい助け舟なのは確か。AMT NOLをゼロってみなすことから、より多くのケースでCarrybackする先の課税年度でAMTが発生することになり、それらは結局はAMTクレジットとして還付される。FAQって法的効果がない点が気になるけどね。
で、FAQでは、ついでにゼロサムゲームを一枚のForm 1139で完結できるよう、Carrybackを理由にAMTが増えたり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなって後年に繰り越されたりする処理も同じForm 1139内で処理できる点を再確認している。さらに、クレジットを使えきれなくて、CARES Actで規定される「2018年に開始する課税年度で全額残りを還付申請」する選択を行う際も同じForm 1139上で処理するできる、って規定してくれている。Form 1139に記載するべき選択にかかわる文言も公表してくれている。ただし、同じForm 1139上でクレジットを処理できるのは、クレジットをCarryback期間内に使用する、または2018年に開始する課税年度で残高全額を還付請求するケースのみ、とも言っている。まあ、敢えて選択しない理由も余り見当たらないので、多くの法人納税者がこの処理をすることになるんだろう。超法規的措置って言うと大げさだけど、IRSもなかなかやるよね。
そんな複雑な取り扱いの一つにAMTがある。TCJAで、AMTの法人に対する適用は2018年以降撤廃されている一方、Carrybackする先の課税年度が2017年以前の場合、それらの過年度には法人にも未だAMTが適用される。NOLをCarrybackするってことは通常の課税所得を減額するってことだから、その当然の結果として、AMTに抵触したり、元々使用していたAMTクレジットが使えなくなるケースが続出することになる。AMTの算定時にもNOLの使用は認められるけど、計算は複雑で、NOL発生年度の数字を基に「AMTベースのNOL額」に計算し直さないといけないし、Carrybackする先の課税年度のAMT計算時には、NOLの使用可能額はAMT算定の基となる暫定AMT課税所得の90%が上限となる。う~ん、相変わらず面倒。しかも、複雑な計算をしてAMTが発生したり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなったりする結果、それらがドミノ式にCarryback期間内の後年に繰り越され、使用し切れないクレジットは、CARES Actで加速還付が可能という最終的にはゼロサムゲームとなる。超面倒でなんかまどろこしい。
で、法的には、すなわちInternal Revenue Code的には、面倒だけどこれらのステップを踏まざるを得ない、っていう点は比較的明確で、テクニカルには余り異論の余地はない。2018年以降、AMTっていう制度自体が法人に不適用になっているとは言え、2017年以前にNOLをCarrybackして、過年度のAMTを算定し直す際には、その目的で使用するNOLは、通常のNOLではなく、AMTのルールを適用して算定するAMT NOLでなくてはいけない。Secton 56だね。でも、AMTのルール自体、2018年以降、法人には存在しないんだから、調整額はないのでは、って思うかもしれないし、それも一つの見識ではあると思うけど、たぶん厳密にはそうではない。というのは法人にAMTは課されないけど、AMT算定時に加減算が求められる「調整額」はそのまま法的に2018年以降も存在している。唯一例外はACE調整で、これは撤廃されている。結果として、通常のNOLにACEを除く調整を加えて、AMT NOLの金額を算出し、それをCarrybackして、Carryback期間の古い課税年度から順々にAMTを計算、後年にクレジット、そしてクレジットし切れなければ、2018年と2019年に開始する課税年度で還付、さらに選択をすれば2018年に開始する課税年度に全額還付となる。
っていうのが法律なんだけど、昨日(2020年5月28日)、CARES Act下で禁じ手乱発的になりつつあるIRSのFAQがまた公表され、簡易措置が規定された。IRSが公表した当FAQによると2020年6月1日以降にファックス(覚えてる?デジタル送信!)するForm 1139では、AMT NOLはナンと「ゼロ」と取り扱う、って言い切っている。え~、そんな法律どこにあるの、って感じではあるけど、まあ便利だから文句言う納税者はいないよね。
FAQに基づく構想は、2018年以降の課税年度にはAMT NOLはない、という大胆なもの。法人納税者にしてみると、2018年以降のNOL発生年度に関して、適用のないAMTを想定算定してCarrybackしたり、Carryback対象年度に90%制限を加えて2017年以前のAMTを計算したりする手間が省けるので、ゼロサムゲームってことを考えると、単純に作業が若干簡素化され、ありがたい助け舟なのは確か。AMT NOLをゼロってみなすことから、より多くのケースでCarrybackする先の課税年度でAMTが発生することになり、それらは結局はAMTクレジットとして還付される。FAQって法的効果がない点が気になるけどね。
で、FAQでは、ついでにゼロサムゲームを一枚のForm 1139で完結できるよう、Carrybackを理由にAMTが増えたり、過去に使用していたAMTクレジットが使えなくなって後年に繰り越されたりする処理も同じForm 1139内で処理できる点を再確認している。さらに、クレジットを使えきれなくて、CARES Actで規定される「2018年に開始する課税年度で全額残りを還付申請」する選択を行う際も同じForm 1139上で処理するできる、って規定してくれている。Form 1139に記載するべき選択にかかわる文言も公表してくれている。ただし、同じForm 1139上でクレジットを処理できるのは、クレジットをCarryback期間内に使用する、または2018年に開始する課税年度で残高全額を還付請求するケースのみ、とも言っている。まあ、敢えて選択しない理由も余り見当たらないので、多くの法人納税者がこの処理をすることになるんだろう。超法規的措置って言うと大げさだけど、IRSもなかなかやるよね。
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