The Credit Card Accountability Responsibility and Disclosure Act of 2009、略してCard Actはクレジットカードの利用者を「保護」するためにさまざまな規制を導入した。以前にThe New Credit-Card Tricks
- 手数料を値上げ
- プロフェッショナルカード
- 支払期限を厳密に適用
- リベートを減らす形で実質利率を上げる
- 最低利息金額を上げる
- 実質的に休眠手数料を取る
- 低い限度額のカード
特に規制をかいくぐる分かりにくいものではないが、単純に手数料を上げている。例えば年会費の場合、業界の平均は18%上がって$59、クレジットユニオンは67%も上がって$25(正確には中央値)。
企業向けクレジットカードのようだが消費者向けと同じ条件のプロフェッショナルカードと呼ばれるタイプは今回の規制強化の対象外。昨年同時期に比べてこのタイプのカードのダイレクトメールは3.5倍ほどに増えている。
新しい規制では支払期限が休日に当たるときには、翌営業日まで支払えばよいことになっている。日曜日が支払期限であれば、翌日の月曜日でよい。但しこれには条件があって「カード会社が休日の支払いを受け付けていない場合」に適用される。カード会社が休日も支払いを受け付けていたら(いまどき、オンラインで払えるので受け付けているほうが普通だろう)、休日の支払期限が厳密に適用される。
これは規制のまさに裏をかく方法。カードの利率を上げるには60日以上支払いが遅れた場合だけに規制された。しかし、Citibankは、期日前にちゃんと支払いをしたらリベートを消費者にあげると言う方法を取った。一見、リベートがもらえるので有利なように思う。しかし実際にはカード利率を高く設定し、「ちゃんと払っている人はリベートがあるから実質的に低い利率ですよ」ということにする。支払いが1日でも遅れたらリベートはもらえなくなる。これで、延滞したらすぐに実質的に利率を上げることができる。
少額の利息しか付かない場合でも最低利息金額(Minimum Finance Charge)は取られる(但し、利息そのものが付かない場合は関係ない)。Minimum Finance Chargeは50セントが相場だったが、それを最大で$1.50に引き上げる動きがあるそう。一度の金額は大きくないが全体で見れば大きい。
新しい規制では休眠手数料(Inactivity Fee)を取ることは出来なくなった。しかし、実質的には同じことを仕組みを変えて合法的に行っている。Citibankの例では、今まで無料だった年会費を取るようにする。その代わりカードを年間$2,400以上使ったら年会費を免除することにする。普通にカードを使っている人にとっては実質的に年会費は要らないことになる。ところが、カード利用が減ってしまうと(Inactiveになると)免除されていた年会費が掛かることになる。これでは今までのInactivity Feeと同じか、それよりも悪い。
クレジットスコアが低い人などが対象の低限度額カードを使って手数料を取る悪質な方法。学生などでカードが作りにくい場合、申し込みの際にProcessing Fee(審査料とでも訳すだろうか)を取るカードがある。通常の手数料は利用限度額の25%を超えてはならないが、カード発行前に掛かる費用は別扱い。このProcessing Feeをカード発行と同時にカードにチャージ。$250の限度額で$170のProcessing Feeをチャージされ、カードを使おうと思ったときには限度額を超えてしまう。これでさらにOver the limit fee (限度額超過手数料)が掛かる。個人的にはほとんど詐欺に近いと思う。
問題なのはこういった手法がすべて合法であること、また主にカードの仕組みなどを知らない無知な消費者からお金を取ること。この規制はこういった消費者を保護すると言う大義名分だったが、結局、余計に分かりにくい仕組みで「騙される」人が増えるだけだろう。いくら規制があっても消費者が自ら学ばなければ損をすると言う仕組みは変わっていない。
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