景気刺激策や医療改革などアメリカ政府の支出が増え、赤字も増え続けています。エコノミストは歳入不足を補うために税率がいずれは上がると予想してします。実際、増税のための法案も提案されるようになってきており、増税は時間の問題と言えます。
納税者としては可能であれば何らかの対策を取りたいところです。いずれ税率が増えると分かっているのなら今のうちに税金を払ってしまい、税金が掛からないか、掛かっても低い税率の運用先にお金を移してしまう対策が考えられます。
- Roth IRAへのコンバート
- キャピタルゲイン税
- 地方債(Municipal Bond)
- 報酬を早めにもらう
- チャリティへの寄付
IRAは運用している時には非課税ですが、引き出す時に所得税が掛かってしまいます。所得税率が低い今のうちにRoth IRAにコンバートして税金を払ってしまいます。将来、Roth IRAから引き出す時には税金は掛かりません。
ブッシュ政権時代に長期キャピタルゲイン税率は15%になりましたが、現政権の提案がそのまま通れば20%に戻ってしまいます。
地方債は連邦税が掛からず、自分の住んでいる州の債券なら州税や地方税も掛からないものがあります。
会社の役員などは報酬をさまざまな形で後でもらう契約になっている場合があります。それを前倒ししてもらい、通常の給料としてもらい、今のうちに税金を払ってしまいます。
税率が高くなると控除の価値もそれだけ増えます。チャリティへの寄付を税率が高くなってから行う対策が考えられます。
こういった対策はお金持ちのためと思われがちですが、実際には中流階級に一番影響があるかも知れません。全体の収入に対する税率ではなく、今の収入から1ドル増えたら何%の税金が取られるかをEffective Marginal Tax Rate(実質限界税率)と言います。実質限界税率は高額所得者よりも低/中所得者の方が高くなっており、税金対策の効果も大きくなります。
注意点
このような対策が必ずしも節税にならない場合もあります。例えばRoth IRAにコンバートする場合、コンバートした年の収入は増えるので他の控除が使えなくなってしまう場合があります。
寄付を遅らせる対策は節税としては意味がありますが、チャリティにとっては歓迎できることではありません。
増税の時期も不確定要素になります。増税が来年になるのか、先送りされるのかで対策も変わってきます。一度にすべてを行うのではなく、資金の一部だけを移動するなどしてリスクを分散することも検討しましょう。
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