前回に引き続き、もし議会が何もしなかった場合に税制がどうなるかをお伝えします。オバマ政権下で継続が議論されている減税措置もありますので、今後の議会の動き次第ではさらに変更になる可能性があるのでご注意ください。
所得税率
所得税率はほぼすべての区分で増税となります。現時点では最低区分の10%がなくなり、最高は39.6%に達します。2010年と比較するとインフレ調整があったとしても税額は増えることが予想されます。2011年の税区分(Tax Bracket)はまだ発表されていませんが、インフレ率を3%として予想しているサイトがあります。
2011 Federal Income Tax Brackets (Projected Tax Rates)
気をつけたいのは自分の限界税率(Marginal Tax Rate)だけでは正確に増税の影響を計れないことです。例えば25%区分の人が28%になったら3%、税金が増えるわけではありません。累進課税のために、下の税区分から10%の部分が15%になり、15%の部分はほぼそのまま、25%の部分が28%にと、それぞれの区分で率が違い、その合計が税額になります。
2010年と2011年の税区分をイメージしやすくした図がT.Rowe Priceのサイトにあります。
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ちなみにこのページの図は某Tax関連のブログが勝手に引用していました(おそらく著作権に触れる)。ここでは正式なウィジェットとして掲載しています。
投資関連の変更点
ブッシュ政権の減税措置がなくなるので、キャピタルゲイン(Capital Gain)および配当金(Dividends)に対する税率が高くなります。
- 15%の長期キャピタルゲインが20%に
- 5年以上保有した場合の税率が復活
- 配当金の特別税率は撤廃
長期キャピタルゲインの税率は15%だったものが20%に戻ります。所得税の税区分(Tax Bracket)が15%以下の人は、長期キャピタルゲインの税率は0%だったものが10%になります。
さらに面倒な5年以上保有した場合の税率である18%が復活します(税区分15%以下は8%)。
配当金はQualified Dividend(主に米国企業の普通株の配当金)として特別に15%(税区分15%以下は5%)でした。この特別措置がなくなり、以前と同じように所得税率が適用されることになります。そのため、必ず税率が上がることになります。
このように労働所得、投資所得とも増税となります。共和党、民主党ともにブッシュ政権の減税措置を存続させようとしていますが、議論は進んでいません。今日のニュースでは中間選挙が終わるまでオバマ政権(民主党)はこの問題を先送りするといっていました。減税措置の継続は簡単に成立しそうにはありません。
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