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銀行口座の開設

銀行口座の作り方

アメリカで銀行口座を開くのは比較的簡単です。普通の銀行*1であれば、支店に出向けばその日に口座を開くことができます。銀行で口座を開くには、次のものが必要です。
  • 身分証明書(アメリカの運転免許、パスポートなど)
  • Social Security Number(SSN) または Individual Taxpayer Identification Number(ITIN)
  • 現住所を証明するもの
  • Initial Deposit (最初に預け入れるお金)

身分証明書

アメリカで運転免許を取った場合、免許証があれば身分証明になります。また、免許を取っていなくてもパスポートがあれば良いようです。免許を持っている場合でも念のためにパスポートも持って行ったほうが良いでしょう。また、免許以外に自身を証明するものとして、クレジットカードやATMカードなど、自分の名前の入った何らかのカードを見せるようにいわれる場合があります。日本のクレジットカードや銀行のカードなど、とにかく自分の名前が入っているものを持っておきましょう。

SSN または ITIN

アメリカでは個人の税金は全て社会保障番号(Social Security Number)で管理されています。銀行に口座を作ると利息が発生し、その利息は収入としてIRS(Internal Revenue Service = 米国内国歳入庁)に自動的に報告されます。その時に個人を特定するものとしてSSNが使われるわけです。SSNを持っていない外国人はITIN(Individual Taxpayer Identification Number)を取得することでSSNの代わりにすることができます。 銀行によってはSSNを持っていないと口座を開けない場合もあります。しかし、SSNを持っていなくても現在合法的にアメリカに住んでいることを示せれば、その場でITINの申し込み用紙(Form W-7)を記入して、申請もしてくれる銀行もあります。例えば私の友人の場合、長期出張で滞在し、アメリカの免許もSSNもありませんでした。しかし、住所を証明するものとパスポートを見せたら、すぐにITINの申請書を出してくれ、その場で口座を作ることができました。こういったことは大手の銀行のほうがすぐにしてくれるかもしれません。また、銀行がITINを取ってくれなくても自分で申請することもできます。IRSのフォームはここからダウンロードできます。

現住所を証明するもの

現住所を証明する方法としていちばん簡単なのは、公共料金の請求書です。自分の名前で自分が住んでいる住所宛に送られてきた請求書などを持っていきましょう。電話、電気/ガス、あるいはケーブルTVなどの請求書でもOKです。念のために複数持っていけば安心です。また、まだ引っ越したばかりで請求書がない場合はアパートのリース書類(住所、名前、サインがあるもの)を持っていけば認められる場合もあるようです。口座開設後、この住所宛に銀行から書類が送られてきます。

Initial Deposit (最初に預け入れるお金)

口座を開くわけですから、当然預けるお金が必要になります。口座の種類によって最低の預け入れ額が決まっていますので、できればそれ以上を用意しておきましょう。現金のほか、トラベラーズチェック、自分宛のチェック(小切手)、あるいは自分自身の小切手(他に銀行口座を持っている場合)などが使えます。気を付けないといけないのは、口座を開いてもすぐに引出しはできない場合があることです。トラベラーズチェックなどの場合は、現金化されて口座から引き落とし可能になるまでに数日間程度かかる場合があります。

口座を開く時に知っておくこと

口座を開く時にはいろいろなことを聞かれます。慣れてない人はあらかじめ準備してから行くと良いでしょう。

PIN (暗証番号)

暗証番号のことを一般的にPIN(Personal Identification Number)と言います。ATMのPINは日本と同じで大抵4桁ですが、6桁やそれ以上を指定できる場合もあります。いずれにせよ、人が推測できない番号を選びましょう。また、口座開設のときにその場でキーパッドを使って入力するように言われます(書類に書いたりはしません)。この時、周りの人や銀行員にさえも見えないように入力したほうが良いでしょう。

Mother's Maiden Name

電話で銀行に問い合わせをする時など暗証番号のほかに本人を確認するため、自分の母親の旧姓(Mother's Maiden Name)を聞かれることがあります。これは母親の旧姓は通常、家族やごく親しい人しか知らないからです。仮に養子縁組などで結婚の時に母親が姓を変えていなくても、その姓が使われます。ローマ字でスペルがすぐに言えるようにしておくと良いでしょう。登録されたMaiden Nameのスペリングを忘れないように。また、銀行に電話することがアメリカでは意外と多いです。その時、Mother's Maiden Name以外にも、現住所や最近行った取引(引出しや預け入れ)を本人かどうか確認するために聞かれることがあります。

最初のチェック番号

チェックの最初の番号を何番にするか聞かれる時があります。普通は100番から始まるようですが、チェックの番号は支払った先を特定するために便利ですから、必要があればもっと大きい数字から始まるように指定しても良いでしょう。チェックは後日、郵送で送られてきます。

小切手

Checking Accountに口座を作ると、その場で仮の小切手をもらうことができます。この小切手は口座番号が書かれていますが、自分の名前や住所が書かれていません。自分の名前、住所が入った小切手が送られてくるまではこの仮の小切手に使うたびに自分の名前と住所を書いて使います。通常の買い物はこの仮の小切手でできますが、高額なものや現金化するのには使えないことがありますので注意してください。通常、仮の小切手は10枚程度で番号が90~99番までとなってます。本物の小切手が送られてきたらそちらを使うようにしましょう。

Debit Card

日本でもデビットカードが使われ始めたようなので知っている人も多いと思いますが、Debit Cardの仕組みを説明しておきます。Debit Card は銀行が発行するATMカードそのものについている機能で、物を買ったときにすぐに口座からその金額が引かれるのがデビットカードです。Debit Cardは、買い物をしたときにレジにあるキーパッドから暗証番号を入力し、サインはしません。 スーパーなどで使う場合は、購入と同時に口座から現金を引き出す事もできます。レジで「Money Back?」と聞かれたときに、「$20 Please」などと言うと購入金額に$20を追加して、レジの中から$20を手渡してくれます*2。 クレジットカードとの違いで重要なのは、クレジットカードのように後から請求書がくるのではなく、使った瞬間に支払い金額が自分の口座から引かれることです。ですから、自分の口座(Checking Account)に支払額以上の残高がないと使えません。小切手を書くのと同じ事を電子的に一瞬で行うのがDebit Cardと考えると良いでしょう。そのためか、Check Cardと呼ぶ銀行もあるようです。 クレジットカードとは仕組みが違うものの、ほとんどのDebit CardにはMaster CardやVISAなどのクレジットカード会社のロゴが着いてます。クレジットカードを使えるお店なら、クレジットカードのようにサインをして使う事が出来ます。サインをして買った場合でも口座からお金がすぐに引かれる事には変わりありません。

Debit Cardの注意点

Debit Cardの購入限度額は一般に$300~$1000程度と、それほど高くありません。不正使用された場合でも限度額が低いので損害も低くなりますが、高額の買い物をする時は使えないなど、不便なこともあります。 また、スーパーなどでは「Credit or Debit?」と聞かれる場合があります。この場合、Debitとして使うとPINをキーパッドで入力して購入します。Creditとして使えばサインをします。PINとサインの違いだけのように思われますが、デビットとして処理されると、銀行によっては手数料を取るところがあります。クレジットとして処理されれば、手数料を取られません。そのため、「Credit or Debit?」と聞かれた場合、Credit扱いで処理したほうがいいようです。 ただし、執筆時点(2002年12月)では、Credit扱いだと消費者には負担は掛からないものの、お店が手数料を負担している実態があります。そのため、大手スーパーやディスカウント店などがCredit扱いに反対する運動や、Credit Card会社を不当に手数料を取るとして訴える動きがあります。将来、手数料は変わるかもしれませんので、常に自分の銀行のDebit Cardがどのようになっているか、注意してください。 私個人はDebit Cardを使うことは余りありません。人前で暗証番号を入力するのがいやなことと、カードを使う必要があればCredit Cardを使うことが多いからです。Credit CardがAmerican Expressであるために使えないお店でも、Debit Card がならVISAかMasterCardだから使えるという場合もあるでしょうから、必要に応じて使い分けると良いでしょう。いずれにしても使った金額をきちんと記録して、その月の明細書と比べてあっているか、必ず確認するようにします。

口座が作れたら

口座が作れたからと言って安心してはいけません。1~2週間で銀行から書類などの郵便がいくつか来ます。それぞれ、自分の名前や住所などを確認して、間違いがあればすぐに銀行に連絡しましょう。また、3週間たっても何も送られて来ない場合も連絡して、正しい住所が登録されてるか、手続きがきちんとできているか確認しましょう。

小切手の書き方

小切手は口座を作る時に同時に注文します。最初の小切手が送られてきたら自分の名前や住所を確認し、間違いがなければ仮の小切手ではなくこちらを使い始めましょう。 小切手に書く内容は慣れれば大した事ではないのですが、最初は戸惑うこともあるかも知れません。
  • Date(日付)
  • 日付は小切手を書いた日、または支払日として指定したい日を書きます。アパートの家賃などは毎月1日が締め切りなので、例えば25日に郵送しても翌月の1日の日付を書く時もあります*3。書き方は割と自由で 04-30-2002 と数字で書いたり、April, 30th, 2002 と月をスペリングしても良いようです。
  • Pay to the order of(支払い先)
  • 支払い先の名前を書きます。公共料金などは会社名、個人宛の時はその人の名前(フルネーム)を書きます。大抵、請求書に「Please make check payable to XYZ」などと書かれているので、そこで指定された名前を書きます。
  • 金額
  • 金額は数字とSpell out した単語の両方を書きます。$129.95が支払い金額だとしたら「$129.95」と右側の数字欄に書き、「One Hundred Twenty Nine and 95/100 --------」とSpell out した金額を中央に書きます*4。1ドル未満のセントの部分は数字のまま書くことが多いようです。また、左端ぴったりから書き始め、右側のあまった部分には傍線を引いておき、あとから金額を書き加えたりできないようにします*5
  • Memo
  • メモ欄には何を書いても良いようですが、一般的には支払い先が見て、誰が払ったか分かる情報を書くことが多いようです。公共料金の支払いなら自分のアカウント番号、アパートの支払いなら何月分の支払いかなどを書きます。また、自分が後で見てわかるようなメモを書いても構いません。
  • Signature
  • 意外と忘れがちなのがサインです。これがないと支払い先が現金化できずに未払いとなってしまうかもしれませんので、ご注意を

Cancelled Check

支払いが終わり、相手が現金化した小切手は、銀行から明細書が送られてくる時に一緒に送られてきます。小切手の裏側には相手が入金した銀行のスタンプが押されていたり、相手のサインが書いてあったりします。この使用済みの小切手を「Cancelled Check」と言います。Cancelled Check は支払いをした証拠として領収書の代わりになりますから、一定期間とっておくと良いでしょう。万が一、相手から未払いの通知がきた場合など、これが支払いをして相手が既に現金を受け取っている証拠になります。また、税金の申告などでも経費や寄付金の証拠になりますから、とっておくといいでしょう。 最近は銀行の経費削減のため、Cancelled Checkを送ってこないところが多いようです。Cancelled Checkの電子イメージだけ保存するところが増え、明細の最後のページに縮小画像がついているものもあります。口座を開設する時に、Cancelled Checkは送られてくるのか、縮小イメージが明細書についているのか、あるいはこちらから請求しないといけないのか、確認しておくと良いでしょう。 いずれの場合も、普段は帳尻が合っていれば良いので、Cancelled Check自体は証拠として念のために取っておくに過ぎません。支払いの証拠を示さないといけない場合は、普段は送ってこない銀行でも、請求すれば銀行発行のコピーを送ってもらえます*6
*1:ここで「普通の銀行」とは支店を持った銀行を指しています。オンラインバンクなどは少し手続きが違うこともあります。
*2:Money Backの上限は$100~200程度です。これ以上の金額はレジでは引き出せません。
*3:支払い先によっては未来の日付の小切手を受け付けない場合があります。
*4:Hundred, Forty, Thousandなど間違えやすいので、慣れないうちは小切手帳に良く使う数のスペルを書いておきました。
*5:左が余っていたらOne Thousandなんてのを書き加えられるかもしれません!
*6:無料とは限らず、手数料が取られる場合もあります。