前回のポスティングでは4月26日のトランプ大統領・行政府による税法改正プラン初の公式発表の話しから少し逸れて(とは言っても大いに全体の流れとしては関連深い)、下院がオバマケア廃案そして代替案のAHCAを通したので、急遽、税法改正との関連に関して触れてみた。
今回は前々回からの続きに戻り、国家経済会議委員長Cohnが個人所得税減税プランを説明し終わり、ビジネスおよび法人税の発表のため財務長官Mnuchinが登場したところから再開したい。
Cohnに紹介され壇上に登場したMnuchinも「今回の税法改正プランの目的は米国ビジネスを世界で最も競争力が高いものにするために他なりません」とハイレベルなところから入る。そして「現状を見ると、法人税35%で未だに全世界課税と、世界で最も複雑な規則でかつ競争力に欠ける税率です。このような状況では多くの米国企業がオフショアに何兆ドルという資金をため込んで米国に還流させないのも驚きではありません」と海外子会社に眠る巨額の埋蔵金の存在に触れ、早速テリトリアル課税(海外子会社からの配当非課税制度)を匂わせる展開となる。
そして「トランプ大統領は、ビジネスに巨額の減税、そして驚くような税法の簡素化をプランしています。ビジネス課税は15%に低減し、テリトリアル課税に移行します。テリトリアル化への移行時には制度変更時点で溜まっている海外の剰余金に一括課税を実施し、それらの資金が米国で資本投資、雇用創出等、有効活用される環境を整えます」と早速話しの真髄に入った。20%ではなくやっぱり今でも選挙運動中に言ってた15%に固執するんだ・・?でもビジネス課税って何?法人税、それとも前夜にWSJがすっぱ抜いたようにパススルー課税のこと?テリトリアル課税への制度変更時の一括みなし配当課税は何%なんだろう?選挙運動中にトランプ候補が言っていた10%か、それともThe Blueprintの下院通り3.5%または8.75%なんだろうか?とかなり基本的な点に関して興味が沸く展開になっている。
でも、これらの肝心な詳細には余り触れない。代わりに「トランプ大統領は米国ビジネスのため経済成長パワーを解き放す断固とした決意を持って税法改正に臨んでおり、減税は大手法人ばかりでなく、中小企業にも同様に適用があるのでご安心を」みたいな話しとなっている。ここの部分の表現は分かり難かったが、要は法人税率を15%にするばかりでなく、多くの中小企業が事業形態として採択しているパススルー(LP、LLC等)やSchedule Cで報告する個人商店(Sole Proprietorship)にも15%を拡充するという意味のことのようだ。パススルーという用語を全く使用しないところが面白い。何か深い訳があるんだろうか?
で、法人税だのパススルー課税だのはただでさえ難解な分野なので、ここから若干掘り下げた内容になるのかと思いきや全然で、結局、税法改正に関してはこれだけで、その後は経済成長がどうのとかまたハイレベルな発表に戻ってしまった。Cohnが言っていたことを繰り返す形で「下院、上院とは毎週プロダクティブなミーティングを持っており、今後も話し合いを続け、2017年中のできるだけ早期に税法改正を実現させます」ということ。以前にMnuchinが触れていた8月の議会散会の前に法制化という話しはもちろん蜃気楼のように消えて無くなり、2017年中という実現可能な(それでもかなりアグレッシブな)期限設定を表明している。一応、未だ2017年中を目標にしていることが確認できただけでも収穫と考えないとね。
下院、上院との会議だけではなく「Listening Sessions」も持ち続けるとのこと。このListening Sessionsはどのように訳すと一番雰囲気が伝わるか分からないけど、各業界首脳との情報交換、ヒアリングの機会を引き続き設けていくということらしい。そしてMnuchinは表情一つ変えず「トランプ大統領の優れている点のひとつに人の話しにじっくり耳を傾けること」を挙げた。ワンマン社長だったのに本当(?)って思うところだけど、既に何百というビジネスリーダーと会い、インプットをもらっているという。確かに就任前からソフトバンクの孫さんにも会っていたし、いろんな人に会っているのは本当だ。製造業、小売業、航空、地銀、大手金融、多くの業種からインプットをもらっていて、今後もそれを続けるようだ。でも余りに各業界のフィードバックをいちいち真に受けていると、税法改正には勝者・敗者の双方が存在するだけに何も実行できなくなってしまうのでは、とチョッと心配になったけど、話しを物理的に聞くのとそれを受け入れるのは別の話しなのでトランプ大統領だったら大丈夫かもね。
そして最後にMnuchinは「大統領の目標は経済成長です」と繰り返した。「以前にも主張した通り、我々は米国で3%以上のGDP成長が持続可能だと信じています」と巨額減税の財源の多くを経済成長に頼る伏線とも取れる発言に至った。「経済成長戦略は巨額減税、税法改正、規制緩和、そして通商条約の見直し、から成ります」とし「これらの戦略で長らく抑圧されてきた経済成長に本領を発揮させることができるのです」と超ハイレベルな結論で発表を締めくくった。う~ん早い。Mnuchin登場から僅か2分20秒だ。米国法人税を2分で語ることができる大物は余りいないだろう。で、ここでCohnとMnuchinの2人は「A few questions」に答えると言う。早速プレスから多くの手が挙がる。Q&Aは結構面白いので次回はQ&A部分に触れてみたい。
今回は前々回からの続きに戻り、国家経済会議委員長Cohnが個人所得税減税プランを説明し終わり、ビジネスおよび法人税の発表のため財務長官Mnuchinが登場したところから再開したい。
Cohnに紹介され壇上に登場したMnuchinも「今回の税法改正プランの目的は米国ビジネスを世界で最も競争力が高いものにするために他なりません」とハイレベルなところから入る。そして「現状を見ると、法人税35%で未だに全世界課税と、世界で最も複雑な規則でかつ競争力に欠ける税率です。このような状況では多くの米国企業がオフショアに何兆ドルという資金をため込んで米国に還流させないのも驚きではありません」と海外子会社に眠る巨額の埋蔵金の存在に触れ、早速テリトリアル課税(海外子会社からの配当非課税制度)を匂わせる展開となる。
そして「トランプ大統領は、ビジネスに巨額の減税、そして驚くような税法の簡素化をプランしています。ビジネス課税は15%に低減し、テリトリアル課税に移行します。テリトリアル化への移行時には制度変更時点で溜まっている海外の剰余金に一括課税を実施し、それらの資金が米国で資本投資、雇用創出等、有効活用される環境を整えます」と早速話しの真髄に入った。20%ではなくやっぱり今でも選挙運動中に言ってた15%に固執するんだ・・?でもビジネス課税って何?法人税、それとも前夜にWSJがすっぱ抜いたようにパススルー課税のこと?テリトリアル課税への制度変更時の一括みなし配当課税は何%なんだろう?選挙運動中にトランプ候補が言っていた10%か、それともThe Blueprintの下院通り3.5%または8.75%なんだろうか?とかなり基本的な点に関して興味が沸く展開になっている。
でも、これらの肝心な詳細には余り触れない。代わりに「トランプ大統領は米国ビジネスのため経済成長パワーを解き放す断固とした決意を持って税法改正に臨んでおり、減税は大手法人ばかりでなく、中小企業にも同様に適用があるのでご安心を」みたいな話しとなっている。ここの部分の表現は分かり難かったが、要は法人税率を15%にするばかりでなく、多くの中小企業が事業形態として採択しているパススルー(LP、LLC等)やSchedule Cで報告する個人商店(Sole Proprietorship)にも15%を拡充するという意味のことのようだ。パススルーという用語を全く使用しないところが面白い。何か深い訳があるんだろうか?
で、法人税だのパススルー課税だのはただでさえ難解な分野なので、ここから若干掘り下げた内容になるのかと思いきや全然で、結局、税法改正に関してはこれだけで、その後は経済成長がどうのとかまたハイレベルな発表に戻ってしまった。Cohnが言っていたことを繰り返す形で「下院、上院とは毎週プロダクティブなミーティングを持っており、今後も話し合いを続け、2017年中のできるだけ早期に税法改正を実現させます」ということ。以前にMnuchinが触れていた8月の議会散会の前に法制化という話しはもちろん蜃気楼のように消えて無くなり、2017年中という実現可能な(それでもかなりアグレッシブな)期限設定を表明している。一応、未だ2017年中を目標にしていることが確認できただけでも収穫と考えないとね。
下院、上院との会議だけではなく「Listening Sessions」も持ち続けるとのこと。このListening Sessionsはどのように訳すと一番雰囲気が伝わるか分からないけど、各業界首脳との情報交換、ヒアリングの機会を引き続き設けていくということらしい。そしてMnuchinは表情一つ変えず「トランプ大統領の優れている点のひとつに人の話しにじっくり耳を傾けること」を挙げた。ワンマン社長だったのに本当(?)って思うところだけど、既に何百というビジネスリーダーと会い、インプットをもらっているという。確かに就任前からソフトバンクの孫さんにも会っていたし、いろんな人に会っているのは本当だ。製造業、小売業、航空、地銀、大手金融、多くの業種からインプットをもらっていて、今後もそれを続けるようだ。でも余りに各業界のフィードバックをいちいち真に受けていると、税法改正には勝者・敗者の双方が存在するだけに何も実行できなくなってしまうのでは、とチョッと心配になったけど、話しを物理的に聞くのとそれを受け入れるのは別の話しなのでトランプ大統領だったら大丈夫かもね。
そして最後にMnuchinは「大統領の目標は経済成長です」と繰り返した。「以前にも主張した通り、我々は米国で3%以上のGDP成長が持続可能だと信じています」と巨額減税の財源の多くを経済成長に頼る伏線とも取れる発言に至った。「経済成長戦略は巨額減税、税法改正、規制緩和、そして通商条約の見直し、から成ります」とし「これらの戦略で長らく抑圧されてきた経済成長に本領を発揮させることができるのです」と超ハイレベルな結論で発表を締めくくった。う~ん早い。Mnuchin登場から僅か2分20秒だ。米国法人税を2分で語ることができる大物は余りいないだろう。で、ここでCohnとMnuchinの2人は「A few questions」に答えると言う。早速プレスから多くの手が挙がる。Q&Aは結構面白いので次回はQ&A部分に触れてみたい。
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